キッズ興奮! 期間中に国立博物館の国宝すべてに出会える!/国宝 東京国立博物館のすべて

子ども時代に出かけた美術館や博物館の面白さは子どもにとって一生ものの体験です。親子でぜひ訪れてほしい美術館や博物館のイベントを紹介します。

第12回は東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」です。(東京国立博物館主催の展示会に招待されました)

東京国立博物館(上野)が2022年(令和4年)に150周年を迎えることを記念して開催されるこの展覧会では、所蔵する国宝89点を展示替えしながら期間中にすべて公開!  展示の見どころを紹介するメディアレビューでの佐藤寛介研究員による解説を紹介します。

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

「国宝 東京国立博物館のすべて」の展示は2部構成! 

 

【第1部】東京国立博物館の国宝
…所蔵する国宝89件すべてを展示(会期中一部展示替えあり)
【第2部】東京国立博物館の150年
…明治から令和まで東京国立博物館の歩みを紹介

 

佐藤寛介研究員「『国宝 東京国立博物館のすべて』の展示は2部構成です。第1部は『東京国立博物館の国宝』、第2部は『東京国立博物館の150年』」

「期間中展示する作品数は合計150点。そのうち国宝が89点、重要文化財が27点で、東京国立博物館の歴史の中でも類を見ない大規模な展示と言えます」

 

「見どころは大きく3つほどあげられます」

【見どころ1】史上初!東京国立博物館の国宝89件すべてが見られる
【見どころ2】国宝刀剣19振を期間中展示替えなしに公開
【見どころ3】東京国立博物館の歴史を追体験

 

「史上初国宝89件がすべて見られること、国宝刀剣19件すべてを期間中展示替えなしにいつでもすべてを見られること。東京博物館の150年の歩みを追体験できることなどです」

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

【見どころ1】史上初! 東京国立博物館の国宝89件すべてが見られる

国宝89件公開スケジュール一覧

「国宝89件は、東京国立博物館のおよそ12万点の所蔵品の頂点もいえる貴重なものです。89件という所蔵数は一つの博物館が所蔵する国宝の数としては日本一。今回の展示では、展示替えを行いながらそのすべてを紹介します」

「国宝は通常、保存と公開を両立するために、数年間のサイクルで分野ごとに数点ずつ展示公開を行います。今回のように一度にまとめて公開するためには展覧会の数年前から数年後までの展示計画を綿密に調整しなければ行うことができず、創立150年という節目だから実施ができたとも言えます」

「展覧会の期間を大きく4つのタームに分けて絵画書籍を中心に会期中に展示替えを行いますが、いつ来ていただいても、60点前後の国宝を展示するように企画していますので、いつ行くと得だとかいつ行くと損だとかいうことありませんが、ぜひ何度も足を運んでいただけるとうれしいです」

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

【国宝 埴輪 桂甲の武人(古墳時代 6世紀)】
武器・武具が精巧に表現された高さ130.5㎝の埴輪像。背中には矢を収めた靫(ゆき)を背負っています。
1983年(昭和58年)から1989年(平成元年)までNHK 教育テレビで放送された幼児向けの教育番組「おーい!はに丸」や1966年(昭和41年)に制作された映画「大魔神」のモデルにもなったことでも知られる埴輪です。

兜の下の顔にはよく見ると眉毛があり、甲冑を紐で結んだ10か所の蝶結びや、甲冑の様子など、360度どこからみても精巧に作られているこれぞ国宝! という埴輪です。
国宝 埴輪 桂甲の武人(古墳時代 6世紀)

【国宝 十六羅漢像(平安時代 11世紀)】
羅漢(らかん)とは「一切の煩悩を断って修行の最高位に達し、人びとの供養を受けるに値する仏弟子や聖者」のこと。
修行の最高位にあるため、釈迦が涅槃に入るときについて行こうとすると、釈迦から現世にとどまり人々を救済するように言われ、各地で仏法を伝えたとされます。

「国宝 十六羅漢像」は、現存する十六羅漢図では最古のもの。一幅ごとに一人の羅漢を中心にした場面が描かれており、右上には羅漢の名前と住んでいる場所が記されています。
国宝 十六羅漢像(平安時代 11世紀)

【国宝 古今和歌集(元永本)上帖(平安時代 12世紀)】
藤原定実(さだざね)の筆と推定される古今和歌集です。序から本文すべてが完全にそろったものとしては最古の写本です。

文様や箔が映し出された紙の模様を生かしながら流れるように美しい文字が見られます。使用されている紙の豪華さ、筆運びの流麗さともにため息が出る美しさです。
古今和歌集(元永本)上帖(平安時代 12世紀)

【見どころ2】国宝刀剣19振を期間中展示替えなしに公開

「19件の国宝刀剣の所蔵も、一つの博物館としては最大数です。今回は19件すべてを一つの展示室で一度に見られるように展示しました。刀剣の波紋や地金を美しくみられるようにこだわって展示しています」

「期間中展示替えがないので、いつ来ていただいても東京国立博物館の国宝刀剣すべてをみられるまたとない機会です」

【国宝 三条宗近(名物 三日月宗近)(平安時代 10~12世紀)】
刃文に三日月の形がいくつも浮かび上がってみえることから「三日月宗近」の名前で知られる天下五剣の1つとして知られる刀剣です。

細長いシルエットと反り返ったフォルムで、19件の中でも一際目を引きます。
豊臣秀吉の正室・高台院の持ち物であったものが、徳川秀忠に贈られ、徳川家に伝わりました。
国宝 三条宗近(名物 三日月宗近)(平安時代 10~12世紀)

【見どころ3】東京国立博物館の歴史を追体験

「東京国立博物館は、1872年湯島聖堂博覧会をきっかけに誕生しました。博物館の歴史を見ていくことは、日本の近代史にも重なります」

「第2部の『東京国立博物館の150年』の展示は、博覧会で最も人気を集めた、名古屋城の金の鯱(しゃちほこ)のレプリカからスタートし、博覧会の展示ケースや、当時の展示品が並び、博覧会を楽しんだ人々のワクワクを追体験できるようになっています」

「やがて博物館は1886年に宮内省の所管となり、国家の文化的な象徴としての役割を果たすようになります。そのような歴史を知る上でぜひ注目していただきたいのが『鳳輦』(ほうれん)という乗り物です」

「天皇専用の乗り物で、屋根には天皇を象徴する鳳凰が見られます。今回の展示では、明治天皇が京都から東京へ移るときに使用されたものを展示しています」

特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

「また博物館は、創立当初から動物のはく製や植物の標本などの天然資料(てんさんしりょう)の収集や展示にも力を入れてきました」

「今回の展示では、明治40年、日本に生きたまま日本にやってきたキリンのはく製が100年ぶりに里帰りして展示されています。キリンは日本では上野動物園で展示され大人気となりましたが、1年で死亡してしまい、はく製として展示されたものです」

「展示の最後のエリアは、東京国立博物館の新収蔵品を紹介するコーナーです」

「ここでの注目は、3メートルもの大きさの筋骨隆々とした平安時代(12世紀)の金剛力士像です」

「東京国立博物館が所蔵する仏像としては最大のもので、数年にわたる修復を経て、今回が初公開となります」

「今回の展覧会では、この金剛力士像と最後を飾る菱川師宣の『見返り美人図』のみ撮影が可能です。どちらもこれからの先の東京国立博物館の代表的収蔵品となることが期待される作品です。この機会にぜひご覧ください」

「東京国立博物館は、日本でもっとも長い歴史をもつ博物館として、かけがえのない文化財の保存と公開という命題を両立させながら、日本の文化を未来へ、そして世界へ伝えていく役割を果たしてきました」

「今回の展覧会は、150 年の間に積み重ねられた約 12 万件という膨大な所蔵品の中から、国宝 89 件すべてを含む名品を紹介するメモリアルイヤーにふさわしい特別な展覧会です。ぜひ訪れてみてください」

【展覧会タイトル】:特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
会期:2022 年 10 月 18 日(火)~ 12 月 11 日(日)
会場:東京国立博物館 平成館(東京都台東区上野公園 13-9)
特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
※本展覧会のご観覧には事前予約(日時指定券)が必要です。なお、すでに予約枠に空きがない場合があります。予約状況や開館日時の最新情報については展覧会公式サイトをご確認ください。
※国宝89件公開は展示替えがあります。
国宝89件公開日程一覧

【子どもと行きたい・美術館・博物館一覧】
第1回/「鉱物展」の楽しみ方/角川武蔵野ミュージアム
第2回/「体験型美術展」の楽しみ方/びじゅチューン展
第3回/「ゴッホ展」の楽しみ方/東京都美術館
第4回/「好き」を見つける展覧会の楽しみ方/君も博士になれる展
第5回/「絵本原画展」の楽しみ方/柚木沙弥郎 life・LIFE展 PLAY!MUSEUM
第6回/「北斎展」の楽しみ方/すみだ北斎美術館
第7回/「バンクシー展」の愉しみ方
※この連載のお知らせをお届けするためにぜひ未来へいこーよのツイッターやフェイスブックにご登録ください
※内容は予定です。都合により変更する場合があります。

SHARE ON
Facebook
Twitter
出版社、教材編集を経て2013年に「いこーよ」へ。小学生の女の子2人のママ。大学院、モンテッソーリ教育教師、華道、ダイビング資格有。ライフテーマは幼児教育から小学校、中学校、高校、大学、社会人へとどのように学びをつなげていくか。特に幼児教育から中学受験への連携に日々奮闘中。

RELATED ARTICLEあなたにおすすめの記事

  1. 小豆で挑戦! 子どもと3月の手仕事「手作りあんこ」のレシピとポイント

  2. キッズ興奮! アートによる社会批判とは何か?を感じよう/バンクシー展 天才か反逆者か

  3. 透明クレヨン はみだしてもいいぬりえ

    子どもがはみだして塗っても気にならない!大人も癒されるクレヨンと塗り絵【子育て文房具】

  4. 【おもちゃ会社&クリエイターに聞く】子どもと大人が対等に遊べるおもちゃ&ゲームは?

  5. 子どもの「やってみたい!」を実現!<第2弾> 親子一緒に元サッカー選手とサッカーで遊ぼう!【レポート】

  6. 小学生の「子ども記者」がパラ陸上大会とアスリートに取材! 達成感と学びに満ちた1日を密着レポート(PR)

  1. 発達障害の人が見ている世界

    子どもは「散らかしている」と思っていない⁉ 片付けられない人の心…

    2023.11.28

  2. 発達障害の人が見ている世界

    好き嫌いが多すぎる=食わず嫌いではない? 発達障害の子を多く診…

    2023.11.24

  3. 発達障害の人が見ている世界

    「寝食を忘れてゲームをばかりする子」を精神科医が「悪いことばか…

    2023.11.24

  4. 発達障害の人が見ている世界

    小学生なのに「順番が待てない」…発達障害の患者を多く見ている精神…

    2023.11.21

  5. 発達障害の人が見ている世界

    「小学校の授業で座っていられずにウロウロしてしまう」子どもへの…

    2023.11.20

  1. どんぐりを貯金できる「どんぐり銀行」とは? 交換品も紹介!

  2. 子どもと12月の手仕事 子供と作れる! 簡単おせちレシピ2選(伊達…

  3. “本物”のサンタさんが回答! ママパパも驚きの「秘密」大公開

  4. 子供と冬(12月・1月・2月)の昆虫採集 カマキリの卵・テントウム…

  5. 【季節の絵本連載】雪だるまや雪遊び、冬に親子で読みたい絵本

みらいこSNSをフォロー