キッズ興奮!「体験型美術展」の楽しみ方/ びじゅチューン!EXPO展

子ども時代に出かけた美術館や博物館の面白さは子どもにとって一生ものの体験です。とはいえ、子どもと美術館や博物館に行っても途中で飽きてしまったり、展示内容を楽しむ方法がわからないという悩みも聞きます

人気の美術館や博物館の展示の中から家族でぜひ出かけてほしいものをセレクトし、まずはこれだけは見てみよう! という鑑賞ポイントを紹介します

第2回は「体験型美術展」の楽しみ方にせまります。教えてくれるのは2021年11月29日(月)まで開催されている「びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~」の監修を務める井上涼さんと、展示を企画したキョードー関西の西尾千絵さんです。(株式会社キョードー関西主催の展示会に招待されました)

ネットでも公開中『びじゅチューン!』のアニメーション作品
『びじゅチューン!』は、難しい説明なしに美術のおもしろさを感じられると人気のNHK・Eテレの番組です。作詞・作曲・歌・アニメーション制作は、すべてアーティストの井上涼さんが手がけており、作品はYouTube上でも見られます。記事で取り上げた作品のリンクもぜひチェックしてください。
→『びじゅチューン!』の曲とアニメをYouTubeでチェック!

『びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~』流の「体験型美術展」の楽しみ方は「立体化された世界を探検して元気になる」!

未来へいこーよ「『びじゅチューン!』の世界が巨大な立体になるとこうなるのか! という楽しい展示ですね

風神雷神図屏風デート

井上涼さん『びじゅチューン!』は、美術は難しいと思っている人でもその魅力にふれる機会となればと、これまで100を超える作品を制作してきました。2020年に今回主催されているキョードー関西から、そんな『びじゅチューン!』の世界観を立体化した空間を作りたいというお話をいただいてこの展覧会が生まれました」

風神雷神図屏風デート

西尾さん井上さんの独自の視点で古今東西世界中の美術を題材にした『びじゅチューン!』は、シュールでチャーミングなキャラクターと、一度聞くと耳に残って離れない楽曲が子どもから大人まで高い人気を誇っています。そんな楽しい井上さんの世界観を立体化して、アミューズメントパークのような空間で美術の世界を体験したり、オリジナルの美術作品への興味をかきたてられる時間を過ごせたら楽しいだろうなと企画しました」

地元が快楽の園

井上さん「これまでも展覧会やグッズなどへの展開はありましたが、アミューズメントパークのような場所を作るのは初めての挑戦でした。結果的にたくさんのスタッフの熱意やアイデアが集まってとても楽しんでいただける空間ができ、全国的なイベントへと展開していってとてもうれしいです」

『びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~』展へのアクセスをチェック!

井上涼さんがあなたを「美術の世界」へナビゲート

委員長はヴィーナス


未来「どんな風に『びじゅチューン!』の体験型の美術展を楽しんでほしいですか?

井上さん「今回の展示では、『びじゅチューン!』の番組で提案した美術の楽しみ方を、思わず中に入ったり体験したくなる立体展示に再構成しています。美術に興味がない人も、会場に来て作品を目の前にすると美術の世界に入り込んでしまいたくなること間違いなし! 美術のおもしろさを展示を通じて体で体験して欲しいですね

『びじゅチューン !EXPO~ときめき立体ミュージアム~』 流の楽しみ方
●美術に詳しくないなんて気にしない! 作品の目の前で感じたワクワクを楽しむ!
作品の一部になって楽しむ!
作品の世界に入り込んで楽しむ!
自分なりの作品を作って楽しむ!

西尾さん「入口付近は、作品の中に入り込んで写真を撮って楽しめる作品を、後半は作品の一部になって踊ったり、動いたりといった体験ができる作品を、最後には自分で作れるワークショップエリアもあります。いろいろな体験を楽しんでください」

井上涼さんの目線で、美術の不思議ワールドへナビゲート!

「ナスカ」へトリップ!/ナスカの地上絵

未来「具体的に『びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~』展の注目の展示を教えてください

ナスカの地生物上絵、微生物

井上さん「入口でみなさんを迎えるのは、南米ペルーの『ナスカの地上絵』をテーマにした作品です。『びじゅチューン!』では、とても大きいナスカの地上絵も、顕微鏡でのぞくように遠く離れたら微生物のように小さく感じてしまうかも、という歌詞の『ナスカの地上絵、微生物』という作品を作りました」

『びじゅチューン!』の「ナスカの地上絵、微生物」をまずはYouTubeで聞く

ナスカの地上絵の上を歩いてみよう!

井上さん「『びじゅチューン!EXPO』の『ナスカの地上絵、微生物』では、床の上に地上絵を再現してその上を歩けるようになっています」

西尾さん「この展示では線の上をゆっくりなぞりながら歩いている子どもをよく見ます。また、会場内の『びじゅチューン』上映スペースで、歌詞にぐっときた様子で見入っているママパパを見ることもあります。子どもも大人もそれぞれの視点で『ナスカの地上絵、微生物』 の面白さを感じてもらっています」

麗子像の微笑の先の世界へトリップ!/夢パフューマー麗子

夢パフューマー麗子

井上さん「立体作品ならではの嗅覚にも訴える作品になったのが『夢パフューマー麗子』です。

『びじゅチューン!』では、東京国立博物館所蔵の岸田劉生の『麗子微笑』が神秘的な表情で青いミカンを手に持っている様子から、麗子は誰かの夢が悪夢になろうとするそのとき、手に持ったミカンを悪夢めがけて投げつけ、夢の後味を変えるのではないか!? と空想を広げて 『夢パフューマー麗子』 の曲とアニメーションを制作しました」

『びじゅチューン!』の『夢パフューマー麗子』を見る

ボールを投げて悪夢をやっつけよう!

井上さん「 『びじゅチューン!EXPO』 の立体作品では、柑橘系の香りが漂う空間の中で、ベッドの周りに現れる悪夢に、麗子が手に持っている青いミカンに見立てたボールをぶつけて退治する遊び要素のある展示になりました」

西尾さん「寝るのが怖いというのは子どもにはよくあることですが、そんなときにこの展覧会での楽しかった体験や香りの記憶を思い出してもらって、怖い気持ちがちょっとでもまぎれたらうれしいです」

国宝『鳥獣人物戯画』の世界へトリップ!/ 運動競技に瞑想に

鳥獣戯画ジム


井上さん「京都・高山寺所蔵の国宝『鳥獣人物戯画』から発想した『鳥獣戯画ジム』も楽しい展示です。『びじゅチューン!』では、墨一色で描かれた運動競技に取り組む動物からストイックな『トレーニングジム』を想像し、その光景を歌にしました」

『びじゅチューン!』の『鳥獣戯画ジム』を見る

鳥獣戯画の動物たちと一緒にトレーニングをしよう!

井上さん「『びじゅチューン!EXPO』では、動物たちと同じサイズになって楽しめるジムを作り、ウエイトトレーニングの重量あげや、賭弓(ゆりのみ)の弓矢、瞑想を体験できるスペースを設置しています。こうやって遊ぼうという解説は特にありませんが、子どもたちが楽しそうに弓を射ている様子が見られてうれしかったです」

鳥獣戯画ジム

井上さん「私は子どものころから絵を描くのが好きでしたが、美術鑑賞は苦手な方でした。それが『びじゅチューン!』を作るようになってじっくり見るようになったら、美術の面白い部分にたくさん気づけるようになって本当に楽しくなりました。今回の企画が、来てくれる人にとってそういう経験をするきっかけになってくれたらうれしいですね」

まとめ 体験型美術展は、作品の知識がなくても、作品の世界観を楽しめる

審判はフリーダ

『びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~』 では今回紹介した以外にも『びじゅチューン!』の世界の中に入りこんで撮影を楽しめる展示や、折り紙などのワークショップスペースなどがあります。

井上涼さんのフィルターを通して違う時代や違う国のアーティストの作品を見ると、自然と自分の経験とシンクロさせてワクワクしながら鑑賞できます。

いずれも、美術の知識がなくても楽しめるものばかりですが、知識があるとより深く楽しむことができたり、美術を見るときのいろいろな視点をキャッチすることもできる企画展です。ぜひ親子で出かけてみてください。

【展覧会タイトル】:『びじゅチューン!EXPO~ときめき立体ミュージアム~』
【会期・会場】:2021年8月27日(金)~2021年11月29日(月)・横浜アソビル
【主催】:キョードー関西

【子どもと行きたい・美術館・博物館一覧】
8月/「鉱物展」の楽しみ方/角川武蔵野ミュージアム
9月/「体験型美術展」の楽しみ方/びじゅチューン展(この記事)
10月/「ゴッホ展」の楽しみ方/東京都美術館
11月/「ミイラ展」の楽しみ方/国立科学博物館
12月/「聖徳太子展」の楽しみ方/サントリー美術館
1月/「北斎展」の楽しみ方/すみだ北斎美術館
※内容は予定です。都合により変更する場合があります。

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出版社、教材編集を経て2013年に「いこーよ」へ。小学生の女の子2人のママ。大学院、モンテッソーリ教育教師、華道、ダイビング資格有。ライフテーマは幼児教育から小学校、中学校、高校、大学、社会人へとどのように学びをつなげていくか。特に幼児教育から中学受験への連携に日々奮闘中。

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