日々の子育ての中で、子どものできないことが気になってイライラしたり、「うちの子は何をやっても中途半端なのでは」と不安になったりすることはありませんか? 子どもの自立を願い、親はサポートするくらいで…思っていても、気づけば先回りしすぎていたり、必要以上に手を出してしまっていることもあります。そんな日常を「やらない」という視点で見直してみることで、子どもとの関わり方が少し楽になるかもしれません。今回は、親がやらなくていいことに目を向けた本『自立した子どもになるための やらない子育て』を紹介します。
やらなくていい、という関わり方
本書の大きな特徴は、「やらなくていい」を「何もしないこと」や「放っておくこと」とは明確に区別している点です。親が関わらないのではなく、子どもが自分で考え、行動する余地を残すために、あえて手を出さないという考え方が軸になっています。
こうした視点は、子どものお出かけ情報サイト「いこーよ」の研究機関で行われてきた親子調査や研究の積み重ねの中で、少しずつ形になってきたものです。経験談や感覚だけで語るのではなく、実際の家庭で起きた変化や声をもとに、「これはやらなくても大丈夫だった」「むしろやらないほうがよかった」という事例が紹介されています。
子どもにとっては、自分で決める経験を重ねることにつながり、親にとっては、すべてを背負い込まなくていいという安心感につながります。子ども視点と大人視点、その両方から「やらない意味」を整理してくれるのが、この本の特徴です。
子どもの力を育てる、親の立ち位置
これからの時代に必要とされるのは、テストの点数などで測られる認知能力だけではなく、子ども自身が考え、行動し、他者と関わりながら生きていくための力です。本書では、子どもが自分を知り、自分で動き、他者と関わりながら生きていくための力を、「自知力」「自動力」「他尊力」という3つの力として整理しています。

本では、マンガと文章で「3つの力」についてくわしく説明をしています。
これら3つの力は日常の生活や遊びの中で育まれるものであり、親が先回りして手を出しすぎることで、かえって育つ機会を失ってしまうこともあります。取材や調査から見えてきたのは、子どもが自立するためには、親が「やらない」ことが重要な場面があるということ。本書は、そのための具体的な考え方とヒントを教えてくれます。
悩みから読み始められる構成
本書では、「子どもの部屋の片付けをしなくていい」「おもちゃをたくさん買い与えなくていい」「スマホやゲームを規制しすぎなくていい」など、保護者が日常の中で抱えやすい悩みがテーマとして並んでいます。それぞれのテーマでは、まず「これでOK!」という対応の方向性が端的に提示されます。

さらに考え方のポイントが3つに整理され、実際のエピソードや取材で聞いた話が続く構成なので、「理屈としてはわかるけれど不安」という気持ちにも寄り添ってくれます。今まさに悩んでいるテーマから必要なところだけを読める点も、忙しい保護者にとってありがたいポイントです。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
読んでいて印象に残ったのは、「まず全体の方向性がつかめる」構成でした。各テーマの右側のページで最初に「これでOK!」と「POINT」が書かれているので、悩みに対して大枠でどうすればいいのかわかり、その後の理解にもつながりやすいと感じました。
また、本書ではエピソードや実例が数多く紹介されていますが、研究所所長である鎭目さん自身の子育てエピソードがコラムのように挟まれており、うまくいった話ばかりでなく「これは失敗だったかも?」と振り返る内容も少なくありません。成功と失敗の両面から「どうすればよかったのか」というのが見えてきますし、鎭目さんご自身も失敗から多くを学んできたことがわかります。子どもによって状況や性格は違い、最適な関わり方も一つではないことが、自然と伝わってくる内容になっているんですよね。エピソードを読みながら「うちの子だったらどうしよう?」「今の我が家ならどう考える?」と立ち止まって考えられる余白があることも、この本の大きな魅力です。
「やらない」という選択を通して、子育てのがんばり方を変えてみてもいいのかも…と思わせてくれる一冊でした。(KAZ)。
「自立した子どもになるための やらない子育て」

価格1,600円(税込)
著者:いこーよ 子どもの未来と生きる力研究所 監修:青木康太朗
発行:扶桑社
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