セミや蚊、マンボウ、コウテイペンギンなど、さまざまないきものの「死に方」を通して自然の仕組みがわかり、生きることの大切さにも触れられる本『せつない! いきものの死に方図鑑(監修:今泉忠明、絵:下間文恵 発行:宝島社』を紹介します。(宝島社から献本いただきました)
いきものの「死に方」を通じて自然の仕組みを理解する
人間をはじめ、動物や昆虫、微生物などをふくめて地球上にはさまざまないきものが存在します。どんないきものであれ、最後は死ぬ運命にありますが、普段の生活ではいきものの死を目の当たりにする機会は意外に少ないものです。本書では、セミや蚊、ニワトリなどの身近な生き物から動物園でおなじみのシマウマなど、多種多様ないきものたちの「死に方」を紹介しています。
いきものが死ぬことは一見するとせつなく、悲しいことのように感じられます。しかし、生物学の見地ではいきものの「死」は、それまでのたくさんの生命の誕生と死によって少しずつ環境に適応し、これまで種としての命をつないできた証といえるのです。この本では今まで知らなかった「死に方」を知ることで、生命の進化の歴史や生き様が垣間見えるようになっています。
ユニークな「死に方」をかわいくてわかりやすいイラストで紹介
本書の監修は、上野動物園の動物解説員、ねこの博物館館長、日本動物科学研究所所長などを歴任し、ベストセラーにもなった「ざんねんないきもの事典(高橋書店)」も手掛けた今泉忠明さん。イラストは「ざんねんないきもの事典」シリーズや「ほんとうはびっくりな植物図鑑(SBクリエイティブ)」を担当した下間文恵さんが描いています。
本書では「命はかなく、死ぬ」「耐え忍んで、死ぬ」「不運により、死ぬ」「繊細すぎて、死ぬ」「不器用で、死ぬ」と5つのカテゴリーにわけて、いきものの死に方を紹介。いきものの一生をグラフにすることで、はかなさや耐え忍ぶ期間がわかりやすくなっています。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
私たちが無意識に日常的にはあまり触れないようにしている「死に方」をテーマにした本です。いきものの「終わり」を知ることで、一生を知り、そこからさらに種としての進化の歴史までたどれるようになっていて、大人が読んでもすごく勉強になります。
「死に方」が描かれているとなると「読んでて暗い気持ちになっちゃうかな?」と思っていたのですが、監修の今泉忠明さんによる軽妙な語り口と、下間文恵さんのポップ&かわいいイラストのおかげで、せつない話なのにどこか明るく受け止められるようになっています。
「死に方」にもいろいろあって「それはちょっとどうにかしたほうがいいよ!」とツッコミたくなるいきものもたくさんいます。きっと、そのいきものはまだまだ進化の途中なのかもしれません。子どもと読んでいて、そんないきもののページを読んだら「せつないねえ、このいきものが今後も生き残るにはどうしたらいいと思う?」と聞いてみるといいかも?
また、視点を広く持てば私たち人間もまさに「進化の途中のいきもの」だといえます。その中の個人である自分自身もどう進化させていくべきなのかを考えるきっかけにもなりそうな本です(KAZ)
『せつない! いきものの死に方図鑑』
本体1,540円(税込)、監修:今泉忠明、絵:下間文恵 発行:宝島社
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