2024年5月に開催(かいさい)予定の「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」200日前を記念したイベントが、2023年10月28日(土)~29日(日)に、東京都内の「アーバンドッグ ららぽーと豊洲(とよす)」で開催されました。今回は、現役のパラ陸上選手やパラリンピアンがお笑い芸人とパラ陸上の魅力を語るトークショーのほか、パラ陸上選手のすごさが実感できる体験イベントの様子をおとどけします。
※小学生でも読みやすいよう、小学5年生までに習わない漢字はふりがなをつけています。ご了承ください。
神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会とは?
世界パラ陸上(正式名:世界パラ陸上競技選手権大会)は、国際パラリンピック委員会によって創設(そうせつ)された世界最高峰のパラ陸上競技大会です。2024年に東アジアで初めて神戸で開催されます。障(しょう)がい者と健常者がいっしょになって、東京2020パラリンピックにおける感動やパラスポーツへの関心の高まりを次世代に“つなげ”、スポーツを通した交流の輪を“ひろげ”、障がい者をはじめ、だれもがくらしやすいまちづくりを“すすめる“大会を目指しています。
(KOBE2024世界パラ陸上選手権大会HP より一部引用)
10月28日(土)はお見送り芸人しんいちさんと前川楓選手、パラアスリートのレジェンド・花岡伸和さんによるトークショー!
トークショーでは、まずトゥインクル・コーポレーションの俳優(はいゆう)・北村夏未(きたむら なつみ)さんがMCとして登場。続いて、お見送り芸人しんいちさんをお迎えすると、しんいちさんは「僕の好きなもの」のほか、さまざまな歌ネタで会場の笑いを誘って盛り上げました。その後、東京2020パラリンピック代表・義足のアスリート、前川 楓(まえがわ かえで)選手とパラリンピアンの花岡 伸和(はなおか のぶかず)さんが登場し、トークショーを行いました。
MCを務めた北村夏未さん(写真左)と前川楓選手(写真右)
前川選手は、右足の膝下(ひざした)から先が義足の「T63」のクラスに属する、100mと走りはばとびで活躍中の選手です。2016年にリオデジャネイロパラリンピックに出場後は2017年のロンドンと2019年ドバイの世界パラ陸上に出場、ロンドンでは走りはばとびで銀メダルを獲得、2021年の東京パラリンピックでも走りはばとびで5位の成績を収めています。
コスプレをする趣味(しゅみ)があることや、義足の人がどのように生活をしているか、義足について子どもたちに紹介(しょうかい)できればとの思いから、絵本(「くうちゃん いってらっしゃい」、「くうちゃん うみにいく」)を描いて、出版したことなどを話してくださいました。
花岡伸和さん
花岡さんは、車いす競技の「T54」のクラスで2002年にトラック1500mの日本記録を達成したのを皮切りに、2004年のアテネパラリンピックでは車いすマラソンで日本人最高位となる6位入賞。2012年ロンドンパラリンピックでは車いすマラソンで5位に入賞しています。現在では現役を引退(いんたい)し、日本パラ陸上競技連盟(りくじょうきょうぎれんめい)の常務理事を務めています。MCの北村さんにSNSでラーメンやお酒の投稿(とうこう)が多いことを指摘(してき)されると、現役時代のような食事量では太ってしまうので、今は節制されているとおっしゃっていました。
お二人とも事故にあって障がいをかかえることになりましたが、そのような中でパラスポーツに出会い、風をきる楽しさや前に進んでいるという感覚に魅了(みりょう)され、パラ陸上の道に進むことになりました。
お見送り芸人しんいちさんは、お二人の考え方、物事をポジティブにとらえ、つらかったであろう話をも、ときに笑いを交えて話す姿(すがた)に感服し、「お二人を応えんしてほしい」と、会場の皆さんによびかけました。
お見送り芸人しんいちさんの車いすの親友への想い出とパラ陸上競技体験!
お見送り芸人しんいちさんは、今回のイベントには、直談判で出させてほしいと願い出たそうです。その理由を次のように熱く語ってくださいました。
「高校時代に同じサッカー部だった親友が、大学生のときに風でフェンスがたおれてはさまる事故にあって半身不随(はんしんふずい)になってしまいました。同じ釜(かま)の飯を食った仲ですから、そんなことがあったあとも彼に何かしてあげたくて、今でもいっしょにいろいろ(遊んだり)しているんです。フットサルを一緒にやったときは、車いすの彼はゴールキーパーにしました。ミスをしたときでも笑いながら「高校のときは上手かったやんけ!」って(昔と変わらないやりとりを)やったりもしています。
車いすで生活するようになっても、以前と同じように付き合っていく。それが僕らの笑いなんです。テレビでは芸風上こういった話をする機会がないけど(笑)、こういうお話ができるイベントもどんどん出たいんです!」
そんなお見送り芸人しんいちさんが興味を持っていたという、競技用車いす(レーサー)を体験してもらいました。
両手でタイヤをまわしてこいでみると「うわぁ!ちょっと待って、めっちゃしんどい!」と想像以上の重さにおどろきをかくせない様子。
花岡さんが「今日は僕のレーサーも持ってきたので、せっかくなら対決しませんか?」というと、しんいちさんも「ぜひやりましょう!」と快く応じます。
花岡さんがレーサーに乗りこみ「もうだいぶ前に引退したポンコツですけど」と言いながら着ていたシャツを1枚ぬぐと…きたえぬかれた上半身があらわに! 思わず「めちゃめちゃ仕上がってる!」とツッコミをいれたしんいちさんも、元サッカー部の意地をかけて真剣な表情に。2人の準備が整い、30秒間のスピード計測対決がスタートしました!
2人のこぎ方、タイヤの回り方のちがいに会場がどよめきます。15秒の時点で「しんどい!」と苦しそうな表情を見せるお見送り芸人しんいちさん。残り数秒のところでこぐのをあきらめたお見送り芸人しんいちさんを見て、花岡さんもこぐのをストップする余裕を見せながらタイムアップ。
結果は、お見送り芸人しんいちさんが13.2km/h、花岡さんが38km/h。花岡さんの圧倒的な速さに、客席から大きな拍手(はくしゅ)が。
お見送り芸人しんいちさんは「しんいち、まだまだだなとみなさん思ってるだろうけど、やってみて! ホンマ、めっちゃしんどいから(笑)!」と息が上がりながら感想を伝えると、花岡さんからは「機関車のようにタイヤの下の方までこげるとスピードが上がるので、ぜひみなさんにもチャレンジしてもらいたいですね」と、イベント当日は同じ体験ができることにふれて会場のみなさんに体験をすすめていました。
続いて、今回のイベントではパラ陸上選手が競技時にはく「スポーツ義足」の体験も用意されていて、こちらもお見送り芸人しんいちさんがチャレンジ。
着席した状態で義足を装着(そうちゃく)し、スタッフに支えられながら立ち上がり、歩いてみます。最初はおぼつかなかったものの、前川選手からバランスの取り方や歩き方のアドバイスを受けると、スタッフの支えなしに歩けるようになりました。花岡さんからも「うまいよね」と声をかけられました。
「つま先でずっと立っている状態だから、ふだん使わない筋肉を使ってる! 絶対これ筋肉痛になる!」と、義足の大変さを実感したようです。
体験後、お見送り芸人しんいちさんが今回のイベントの内容をふり返りながら、ネタ「僕の好きなもの、今日の一日の歌」で会場を大きくもり上げました。
登壇者からみなさんへメッセージ
最後に、前川選手、花岡さん、お見送り芸人しんいちさんからみなさんへメッセージが送られました。
前川選手
「たくさんの人の前で話す機会があまりないので、緊張(きんちょう)しましたが、楽しいステージでした。私は、東京パラリンピックに出場しましたが無観客だったので「ん~」という感じでした。KOBE2024世界パラ陸上という国際的な大きな大会は会場で観戦もできますので日本中のたくさんの方に見ていただきたいと思います。競技用車いす(レーサー)はF1みたいに格好いいし、義足の選手も一人ひとり義足の使い方がちがうし、ぼよ~んととぶ感覚や速く走る感じも、見てておもしろいので、ぜひ神戸の会場に見に来てほしいです。」
花岡さん
「選手たちは本番に向けて何百日、何千日のトレーニングを積んで準備をして本番をむかえるので、ぜひ勇姿(ゆうし)を見ていただきたいです。KOBE2024世界パラ陸上の後には、2024年にパリでパラリンピックもあります。今日をきっかけにファンになっていただいて、応えんしていただけたらと思いますし、ついでにしんいちさんのことも応えんしていただいて(笑)」
お見送り芸人しんいちさん
「僕ができることはバラエティー番組に出て、人気が出て、一言でも(パラ陸上やパラリンピックなど)言えるポジションになれたらな、と思います。(視聴者に)『パラ陸上って何?』って思わせられれば良いですね。」
左から北村夏未さん、前川楓選手、花岡伸和さん、お見送り芸人しんいちさん
10月29日(日)にはティモンディと兎澤朋美選手がトークとパラ陸上体験で会場をわかす!
10月29日のトークショーでは、前日に引き続き、北村夏未さんがMCとして登場。お笑いコンビ「ティモンディ」のお二人と、東京2020パラリンピック代表・義足のアスリート、兎澤 朋美(とざわ ともみ)選手をおむかえしてトークショーを行いました。
兎澤選手は、左足のヒザから下が義足の「T63」のクラスに属する選手で100mと走りはばとびのアジア記録の保持者でもあります(記事執筆時点)。2021年の東京パラリンピックにも出場し、100mで8位、走り幅跳びで4位の成績をおさめています。
パラスポーツを意識するようになったのは、東京でオリンピック・パラリンピックの開催(かいさい)が決まったときだそうです。その後、日本体育大学で陸上部の中にパラアスリートブロック(パラ陸上の専門的な練習が受けられる)が設置されることやパラアスリート養成のための奨学金(しょうがくきん)が設けられるなど、環境面(かんきょうめん)の充実が決め手となり、同大学へ進学。本格的に競技生活を開始することになりました。
ティモンディ前田さんから陸上歴に関してあらためて質問が飛ぶと、「6年程」との回答にティモンディのお二人と会場のみなさんがおどろいていました。「兎澤選手がパラスポーツを始めて数年で日本代表となり、アジア記録を出せる選手になったということは、大学での環境や本人の努力ももちろんありますが、(障がいを持つ方でそれまで陸上競技にふれていなくても)これからパラスポーツをやってみようと思えるきっかけになりますよね」とティモンディのお二人も未来のパラアスリート誕生(たんじょう)に期待を寄せます。
ティモンディのお二人が競技用車いすとスポーツ義足を体験
ティモンディのお二人は、芸人になってから、仕事で車いすバスケットを体験したことがあるようですが、今回は、スポーツ義足の体験と競技用車いす(レーサー)のスピード計測にチャレンジいただきました。
義足に関しては、昔の義足と比べて素材や技術が進化していることをすでに知っていたお二人。装着後、スタッフに支えられて立ち上がるやいなや、支えなしで足ぶみをしたり、歩いてみせたり、その場でとんだりしていました。兎澤選手は「初めて装着(そうちゃく)してこんなに順応している人を初めて見ました」と、笑顔で感心していました。
続いて、高岸さんが競技用車いす(レーサー)のスピード計測を体験しました。
プロ野球選手でもある高岸さんの太ももまわりの筋肉がたくましいため、競技用車いす(レーサー)におさまらず、通常とは異なる「両足をのばしつつ内またの姿勢」というハンデをせおいつつ、いざ30秒間の計測がスタート!
機関車のごとく「ポーーーーッ!」とさけびながら精いっぱい、タイヤをまわす高岸さん。30秒が経過し、結果は16.5km/h! プロの選手は30~40km/h、成人男性では20km/h出せれば優秀という中で、「選手のみなさんが大会までにどれだけの努力をしているのか」と身をもって体感したようです。
今回のイベントで、ティモンディのお二人は、「パラスポーツは他の陸上にはない迫力(はくりょく)があると思ったので、本番も応えんしたい(前田さん)」、「ちがう世界を感じることができた。パラスポーツの魅力が分かったので、今後、より注目していきたい(高岸さん)」と感想を述べ、高岸さんのかけ声で、会場のみなさんと「兎澤さんなら『やればできる!』」と兎澤選手を応援しました。
兎澤選手から皆さんへメッセージ
最後に、兎澤選手からみなさんへメッセージが送られました。
「KOBE2024世界パラ陸上は、簡単(かんたん)にいうとパラ陸上競技の世界選手権になります。2024年8月には、パリでパラリンピックが開催されるので、その前哨戦(ぜんしょうせん)として、いどんでくる選手もかなりいると予想されます。走りはばとびは、ひざ下切断の選手で8~9m近くとぶ選手もいるので、見ごたえのある競技になっています。世界トップクラスの選手たちをぜひ観に来ていただければと思います」
KOBE2024世界パラ陸上 200日前イベント
親子でパラ陸上競技を体験!
今回のイベントでは、競技用車いす(レーサー)の試乗とスピード計測、競技用義足を体験することができました。
競技用車いす(レーサー)の試乗体験は、芝生の上を自分でこいで走行します。直進で進むときは両手でタイヤをこげばいいものの、トラックをまわるときには前方のハンドルを進行方向に曲げなければなりません。
初めは「どう乗るんだろう?」、「こわそう」と話していた小学生の子どもたちも、ハンドルに手がとどく身長の子どもたちの多くは、上手に乗りこなしていました。体験した人からは「こぐのが重かった」、「曲がるときのハンドル操作がむずかしかった」といった感想が聞かれました。
スピード計測をする競技用車いす(レーサー)は、30秒間こいで最高時速を計測します。成人男性で15km/h出せれば早い方で、20km/h出せれば優秀だそうです。
体験した人を見ていると、10秒程で「まだ10秒しかたっていないの!? 」という人が多く、見た目以上に競技の過酷(かこく)さを体感していたようで、あまりのきつさに途中で「あーーーー!」と叫びながら車いすをこぐ方もいらっしゃいました。そのような中で、20km/h以上の結果を出す猛者(もさ)も現れ、見ていた人から拍手が巻き起こるなど、周囲も含めて記録に一喜一憂する姿が見られました。
今回体験したのは、競技用のスポーツ義足でバネがあるため、まずは体験者が着席した状態でスタッフが義足を両足に装着(そうちゃく)します。スポーツ義足は地面との設置面積が小さく、竹馬に乗って歩く感覚に近いです。そのあとは(とくに最初は)1人で立ち上がるのがむずかしいため、スタッフに両わきを支えてもらうことでようやく立ち上がれます。地面との接地面が少なく、つま先立ちをしている感覚に近いです。
体験終了後に感想を聞いてみると、竹馬、ポックリ、トランポリンなど、足元が不安定なものによく例えられていました。最後まで支えが必要な方も見られた一方で、「思い切って少し前に体重をの乗せるとバランスが取れて進めた!」と、一度バランスが取れれば、支えなしで歩けるようになる方も多かったです。
ガチャガチャで記念品をゲット!

イベントには、競技用車いす(レーサー)の試乗とスピード計測、義足の3種類のうち、2種類を体験した人には記念品がもらえるガチャガチャが用意されていました。
記念品は、KOBE2024世界パラ陸上関連グッズのクリアファイル、ピンバッジ、ネックストラップ、ステッカー、神戸のふるさと納税対象のお菓子など。何がもらえるか、子どもたちは楽しそうにガチャガチャをまわしていました。
次は、100日前記念イベントを神戸で開催
2024年5月のKOBE2024世界パラ陸上の開催に先がけて、100日前イベントが2024年2月23日(金・祝)
に神戸ハーバーランドumieで開催されます。パラ陸上を身近に感じ、楽しみながら学び、理解を深めることができるこちらのイベントにもぜひ足を運んでみてください!
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