近くの公園や河川敷などで出会える季節の昆虫の世界。昆虫の特徴や飼い方などの基本的な知識があると楽しみの幅がぐっと広がります。
今回は「足立区生物園」の腰塚祐介さんに春の昆虫採集で出会える昆虫について教えてもらいました。見つかる場所や捕まえ方、飼い方のポイントなどを紹介します。
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☑夏の昆虫採集
☑秋の昆虫採集
☑冬の昆虫採集
春(3月・4月・5月)の昆虫採集で出会える虫3種類をまずは紹介!
未来へいこーよ(以下、未来)「春の昆虫採集で子どもが見つけやすい昆虫を教えてください」
腰塚祐介さん(以下、腰塚さん)「春に出会える昆虫としてはまずはナミアゲハやモンシロチョウ、ヤマトシジミなどのチョウやテントウムシなどがあげられます」

「また公園や庭の石をひっくり返すと、冬越しをしたハサミムシもみられます。どれも驚かさなければ観察しやすい昆虫のため、小さな子どもが見つけやすく、春は昆虫採集デビューにおすすめの季節です」
【この記事で紹介する 春の昆虫採集で出会える虫】
・モンシロチョウ・ナミアゲハ・ヤマトシジミ
・ハサミムシ
・テントウムシ
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【子どもが春(3月・4月・5月)の昆虫採集で出会える虫1】モンシロチョウ、ナミアゲハ、ヤマトシジミなどのいろいろなチョウを見つけよう
未来へいこーよ「モンシロチョウ、ナミアゲハ、ヤマトシジミなどのチョウにはどのような場所で出会えますか?」

腰塚さん「昆虫はエサのあるところを探すのが鉄則! チョウのように蛹の時期のある完全変態昆虫は、成虫と幼虫の食べ物が違うことが多いです」
「成虫のチョウは花の蜜を吸うので公園や学校、河川敷などの花のあるところで出会えます。また産卵するために幼虫のエサになる植物の近くを飛んでいることもあります。卵や幼虫はエサになる植物を探すと見つかります」


「モンシロチョウの幼虫や卵はアブラナ科の植物を、ナミアゲハは柑橘類の葉を、ヤマトシジミはカタバミなどの葉を探してみましょう」


・モンシロチョウ(成虫)寿命 約2週間
・ナミアゲハ(成虫)寿命 約2~3週間
・ヤマトシジミ(成虫)寿命 約2~3週間
「成虫のチョウの寿命は種類によって違いますが、2週間程度のものから長い種類では数カ月ほどと言われています。他の昆虫でも、飼おうと思ったときに寿命を知っておくと飼うかどうかの判断指標になりますね」


【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】幼虫からチョウになるまでを観察しよう
「チョウの幼虫はエサの植物が手に入るのであれば自宅で育てることで、幼虫、蛹、成虫と変化していく様子を観察できます」
「卵や幼虫を見つけた植物ごと持ち帰って瓶に挿したり、植木鉢に植えたりして、瓶や鉢ごと大きめの洗濯ネットなどで覆ってあげると子供も観察しやすいですね」
成虫のチョウを見つけたらどうする? 飼う? 放す?

「成虫のチョウは薄めたスポーツドリンクやはちみつを脱脂綿に含ませたもの(以下、蜜とします)を吸わせて飼うことができます」
「モンシロチョウなどのシロチョウ科は脱脂綿から自分で蜜を吸ってくれることが多いのですが、ナミアゲハなどのアゲハチョウ科は、脱脂綿に前脚をつけてから渦巻状に収納されている口を針などで伸ばして脱脂綿に挿してあげる必要があります」

「成虫になってからの寿命は短く、狭いケースでは翅が傷つきすぐに弱ってしまうので、つかまえたチョウはなるべく観察したらその場で放してあげたいですね」
【子どもが春(3月・4月・5月)の昆虫採集で出会える虫2】テントウムシ 黄色い液を出さないようにそっと捕まえよう!

腰塚さん「テントウムシも子供が春の昆虫採集で見つけやすい虫です。漢字では『天道虫』と書きますが、これは太陽に向かって飛んでいくところから、太陽神の使いの虫であると考えられたことに由来しています」

【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】そっと捕まえよう!
「よく見られるナナホシテントウやナミテントウは危険を感じると脚の関節からアルカロイドを含んだ独特な匂いと苦みのある黄色の液を出します。つかまえるときには液を出さないようにそっと捕まえましょう」
「また、死んだふりをして下に落ちてしまうことが多いので、テントウムシがいる場所の下に手を添えてから捕まえるようにすると落ちたテントウムシを探すことが減ると思います」
テントウムシの幼虫や成虫を捕まえたら 飼う? 放す?

「ナナホシテントウやナミテントウの幼虫も成虫もエサはアブラムシです。とにかく食欲旺盛で1日に30~40匹ほど食べます」
「ナナホシテントウやナミテントウを見つけた植物についていたアブラムシも一緒に持ち帰れば飼育も可能です。それが難しそうなときには、捕まえた場所で放してあげましょう」
「また、数匹を一緒に買う場合には交尾をして大量の卵を生むこともあります、卵を産んだときのこともよく考えて飼い始めたいですね」
【子どもが春(3月・4月・5月)の昆虫採集で出会える虫2】親が子供を見守る虫! ハサミムシを観察しよう

腰塚さん「少し地味ではありますが、自宅の庭や近くの公園の大きな石や植木鉢をどけるとみつけられるのがハサミムシです。ハサミはエサをつかまえたり、その他攻撃や防御にも使われます。見た目のインパクトから人気があります」

【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】卵を守るハサミムシ
「ハサミムシの仲間には5月~6月にかけて石の下などに小さな穴を掘って卵を産む種類がいます。親が卵を守る昆虫としても知られており、実際に親が卵を守ることを放棄してしまうと、卵からカビが生えて死んでしまうこともありました」
「春にみつけたハサミムシを飼っていると、メスの産卵から子育てまでを観察できます。とても特徴的な生態でありながら比較的育てやすい昆虫といえます
ハサミムシの成虫を捕まえたら 飼う? 放す?

「ハサミムシの仲間は雑食性がほとんどですが、菌類を食べる種類等もいます。ヒゲジロハサミムシやハマベハサミムシといったよく見られる種類は、金魚のエサなどで育てることもできます」
「飼育前に考えておいてほしいのは、産卵をすると30~50の幼虫が孵ることです。そのままおいておくと親に食べられてしまうものもいますが、一度に大量の卵を生んで次世代につないでいくのが昆虫の生態です。捕まえた場所に戻すことができると言い切れない場合は、捕まえてもその場で観察して逃してあげるといいですね」
3月から5月にかけて関東の公園や草原でよく見られる昆虫を紹介しました。ぜひ親子で楽しく昆虫採集をしてみてくださいね。
【取材をお願いした】足立区生物園

・東京都足立区保木間2-17-1
・月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)定休
※休日及び都民の日(10月1日)は開園し、翌平日に休園
・03-3884-5577
・開館時間 9:30~17:00[2月-10月]9:30~16:30[11月-1月]
※入園は閉園時間の30分前まで
※足立区の定める夏休み期間中は17:30まで開園
足立区生物園
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