近くの公園や河川敷などで出会える季節の昆虫の世界。昆虫の特徴や飼い方などの基本的な知識があると楽しみの幅がぐっと広がります。
今回は「足立区生物園」の腰塚祐介さんに秋の昆虫について教えてもらいました。見つかる場所や捕まえ方、飼い方のポイントなどを紹介します。
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秋(9月・10月・11月)の昆虫採集で出会える虫を4種類まずは紹介!
未来へいこーよ(以下、未来)「秋の昆虫採集で子どもが見つけやすい昆虫を教えてください」 腰塚祐介さん(以下、腰塚さん)「9月~11月はまだ暑い日も多く、東京近郊の公園や野原では、バッタやトンボ、カマキリがよく見られます。夜行性のコオロギやスズムシなどに比べて昼間も行動しているため、小さな子どもも見つけやすいのが特徴です」
【この記事で紹介する 秋の昆虫採集で出会える虫】 ・バッタ(ショウリョウバッタ・オンブバッタ) ・トンボ(ウスバキトンボ・シオカラトンボ) ・カマキリ
【子どもが秋(9月・10月・11月)の昆虫採集で出会える虫1】ショウリョウバッタ・オンブバッタ 見分け方を覚えよう!

ショウリョウバッタ(PIXTA)
腰塚さん「東京周辺で9月~11月に昆虫採集をするときに子どもが最もよく出会う昆虫がバッタの仲間です。なかでも出会う可能性が高いのがショウリョウバッタとオンブバッタです。よく似たバッタですが、違う種類のバッタです」

オンブバッタ(PIXTA)
腰塚さん「大きさはもちろん、食べ物も違うので見つかる場所も違います」
ショウリョウバッタ | オンブバッタ | |
大きさ | オス:4センチ前後 メス:8センチ前後 | オス:2センチ前後 メス:4センチ前後 |
出会える場所 | 川原などのススキ野原 | 公園などのいろいろな植物が生えているところ |
食べ物 | ススキやエノコログサなどのイネ科植物 | オオバコやイノコヅチなどの双子葉類 |
見た目の特徴 | ・緑色や褐色のものがいる ・交尾のためにメスがオスをおんぶしていることがある ・腿節がカラダから離れている | ・緑色や褐色のものがいる ・交尾のためにメスがオスをおんぶしていることがある ・腿節がカラダに対して並行になっている |
腰塚さん「見分けるときには、後ろ脚の一番太い部分である『腿節(たいせつ)』と呼ばれる部分に注目しましょう。腿節がカラダから離れているのがショウリョウバッタ。腿節がカラダにそって並行になっているのがオンブバッタです。見分けるときには、ぜひ後ろ脚の付き方をチェックしてくださいね」 「また、ショウリョウバッタやオンブバッタなどのバッタは蛹(さなぎ)の時期がない不完全変態で、幼虫も成虫とほとんど同じ姿をしています。翅があれば成虫、なければ幼虫です。幼虫は脱皮してまだまだ大きくなりますが、翅のある成虫であればそれ以上大きくなることはありません。翅があるかないかを確認すると、上の表の成虫の大きさも見分けるときのポイントになります」
【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】昆虫はそれぞれの昆虫のエサがある場所を探して見つけよう! 「ショウリョウバッタはイネ科のススキやエノコログサを、オンブバッタはオオバコやイノコヅチといった双子葉類の葉を食べます。昆虫はエサがある場所で見つかるので、ショウリョウバッタは川原などの日当たりがよくススキやエノコログサが群生している場所で、オンブバッタはやや日陰のある草原でオオバコなど双子葉類の草が生えている場所でよく出会えます」
ショウリョウバッタやオンブバッタを捕まえたらどうする? 飼う? 放す?
「ショウリョウバッタは大きくジャンプするため小さな虫かごで飼うには不向きです。捕まえて観察をしたらなるべく捕まえた場所ですぐ放すようにしましょう」 「オンブバッタであれば100円均一ショップの小さい虫かごでも飼育できます。エサとなる葉をビン挿しにして与えればOKです。霧吹きで水分を与え、溜まったフンは定期的に掃除してあげてください」
【子どもが秋(9月・10月・11月)の昆虫採集で出会える虫2】トンボ(ウスバキトンボ・シオカラトンボなど) 水場の近くで見つけよう!

ウスバキトンボ(PIXTA)
腰塚さん「オレンジ色っぽいカラダのウスバキトンボや、シオカラトンボ、アキアカネなども9月~11月ごろに池や川などの水場がある公園や河川敷などでよく見られる昆虫です」

シオカラトンボ(PIXTA)
「水辺を飛び交うトンボは、そのほとんどがオスです。メスを探すためにオスが縄張り、見張りやパトロールをしているためです。縄張りに他のオスが入ってくると、追いかけて縄張りの外へ追い出します」

シオカラトンボ(PIXTA)
「オスは縄張りに入ってきたメスを追いかけて交尾をします。公園や草原などでもトンボをみることはありますが、水場や池の周りで待っているとメスが卵を産むところや、自分の縄張りに入って来たオスを追い出すところなど、トンボのさまざまな行動が見られます」
【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】採り逃がしても戻ってくる! 「トンボのオスはメスを待ちながら、他のオスが縄張りに入ってきていないか見晴らしのいいところで見張ります。止まっているトンボを捕まえようとして逃してしまっても、待っているとトンボが戻ってくるという話を聞いたことがあるかもしれません。それは、トンボが縄張りを見張るためにちょうど良い場所(止まっていた場所)にもどってくる行動をとるためと考えられています。一度採り逃がしてしまっても、あきらめずにじっと待ってみましょう」
トンボを捕まえたらどうする? 飼う? 放す?
「トンボの成虫は蚊などの飛んでいる昆虫を食べているので飼うのは難しいといえます。捕まえて観察したら放してやりましょう。どうしても飼ってみたいというときには、川に生えている草の根本などに隠れているトンボの幼虫のヤゴをつかまえて、アカムシなどを与えて飼い、幼虫から成虫になるのを観察するのがおすすめです」
【子どもが秋(9月・10月・11月)の昆虫採集で出会える虫3】カマキリ 網がなくても簡単に捕まえられる!

カマキリ(PIXTA)
腰塚さん「カマキリは草原と林の間のツル性の植物や低木が生えている『マント群落』や、それに隣り合う草地である『ソデ群落』、ススキやセイタカアワダチソウなどの丈の高い植物が生えているエリアで見つけることができます。花が咲いていればエサになるチョウが、ススキが生えていればバッタが来るのはもちろん、植物が自分を隠してくれるので生活しやすい場所です」 「バッタに比べ後脚が発達しているわけでもなく、トンボに比べてカマキリはカラダが重たく飛翔が苦手なので、素早く飛んで逃げ去ることは珍しく、見つけてしまえば子どもでも捕まえやすい昆虫です」 「カマキリの前にケースを構え、お尻の方をそっとつついて刺激することでケースの方へ誘導してやると網を使わなくても簡単に捕まえられます。背中からつかもうとすると前脚で反撃されてしまうので気をつけましょう」
【腰塚さんの昆虫採集ミニ知識】昆虫それぞれに合った捕まえ方を! バッタやトンボ、チョウなどの飛んで逃げる昆虫は虫取り網で、カマキリは手で追い込んで、アリのように手でつかむと潰れてしまう昆虫は吸虫管を使うなど、昆虫の特徴や性質に合った捕まえ方を子どもと考えてみるのも楽しいものです。
カマキリを捕まえたらどうする? 飼う? 放す?
チョウやバッタ、トンボなどをエサにするため、数日に一度エサの昆虫を捕まえて与えて飼うことができますが、生きた状態で与えないとエサと認識してもらえません。それらが難しいと感じるようであれば、捕まえて観察した後はその場で放すのがやはりおすすめです。 9月から11月にかけて関東の公園や草原でよく見られる昆虫を紹介しました。ぜひ子どもと楽しく昆虫採集をしてみてくださいね。
【取材をお願いした】足立区生物園

・東京都足立区保木間2-17-1 ・月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)定休 ※休日及び都民の日(10月1日)は開園し、翌平日に休園 ・03-3884-5577 ・開館時間 9:30~17:00[2月-10月]9:30~16:30[11月-1月] ※入園は閉園時間の30分前まで ※足立区の定める夏休み期間中は17:30まで開園 足立区生物園
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