子どもが成長する過程で、必ず出会う「やらなきゃいけないけど、やりたくないこと」。お片付けや苦手な食べ物、早寝早起き…。大人にとってもときに辛いくらいなので、子どもにとっては大きなハードルです。今回紹介する絵本『ほら、できた! できなかったことができるようになる えほん(菅原洋平(文)/林ユミ(絵)、えほんの杜)』は、そんな“子どものつまずき”に寄り添い、楽しみながら乗り越えるヒントをくれる一冊です(えほんの杜より献本いただきました)。
「やりたくない」を「やってみたい」に変えるヒントが詰まっている
絵本では、まず「やらなきゃいけないけど、やりたくない」ことに出会ったときの子どもたちの気持ちや様子が描かれていきます。お片付けを嫌がる、お風呂に入るのを嫌がる、幼稚園の準備をいやがる、布団から出てこない…と、幼児を育てている保護者には共感する悩みばかりです。
やりたくないときは、体が固くなっちゃったり、力が抜けたようになる。そんな子どもの様子も描かれていて、子どもに寄り添う姿勢が見えます。でも「やってみたい」と思うときは、体は自然と動き出す。その違いに気づいたあとで、「やりたくないってなんだろう?」という問いかけがあり、そこから「そうぞうしてごらん」「まずはこれをやってごらん」と、子どもの目線で優しく背中を押してくれます。

一方的に「がんばって」や「やりなさい!」と強くと言うのではなく、「自分だったらどうするかな?」と子ども自身が想像することを促してくれる構成になっています。小さなステップから始めて、少しずつ「できた」に変えていくプロセスが「やりたくない」と言う子どもの心をほぐしてくれそうです。
日常の“困った”に効く! 実用性と親しみやすさのバランスが秀逸
この絵本には、お片付け・人の話を聞く・早寝・偏食…など、子育てでよくある困りごとが、具体的なシーンとして登場します。ひとつひとつが見開きで完結していて、困りごとが起こったときに「こんなふうにやってみようか?」と提案でき、絵本だけでなく“親子の会話のきっかけをくれる紙芝居”のように使えるのも特長です。

イラストを手がける林ユミさんの絵は、やさしくて温かみがあり、子どもたちが感情移入しやすい雰囲気。『こどもちゃれんじ』や『ひよこクラブ』といった育児雑誌や児童書でも活躍されているとあって、その親しみやすさは抜群。押しつけがましさがないぶん、子どもも自然と絵本の世界に入り込めるでしょう。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
「やらなきゃいけないけど、やりたくないこと」って、じつは大人にとっても日常的なテーマですよね。とくに寒くなってくると、朝起きるのがつらい…起きられただけで自分を褒めてあげたい気持ちになります(笑)。
そんな大人だってつらいよねと思ってしまう悩みに寄り添った提案をしてくれるのが、文章を担当した作業療法士の菅原洋平さん。菅原さんは国立病院機構で脳のリハビリテーションに従事した経験を持ち、現在は薬に頼らない睡眠外来なども担当する、まさに脳とからだの仕組みの専門家。子どもの発達支援なども手がけているからこそ、提案しているアプローチの方法に無理がないんですね。
たとえば、絵本では片付けの方法として「お店や博物館を作るならどんなふうにしたい?」という声がけが紹介されています。お店は商品ごとにきちんと箱に入れて、どこに何があるか見えるようにしています。博物館はジャンルごとに分類されていて、整然としています。それを再現しようとしたら、当然ジャンルや商品ごとにきれいにわけます。この時点でもう「片付け」ではなく「新しい遊び」になっちゃうんですよね。これはうまい…。

何より、親が「どう言えば伝わるか」を考えるきっかけになるのも、この絵本の価値だと感じています。読みながら、親も「こう言ってみよう」「一緒に試してみよう」と前向きになれます。“やらせる”ではなく“想像してみよう”や“やってみよう”と誘う視点は、「やりたくない」問題を柔らかく楽しく解決する一手になると感じました(KAZ)
「ほら、できた! できなかったことができるようになる えほん」

価格1,760円(税込)
本体1,600円+税、文:菅原洋平 絵:林ユミ 発行:えほんの杜
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