ペンをはじめ、ハサミや定規、絵具、カッターなどの文房具は生活していくためになくてはならないものです。とくに「書く」「描く」「切る」などの基礎を学ぶ、未就学児や小学校低学年のタイミングで文房具を楽しく使えるようになれば、一生の宝物になることでしょう。そこで、文房具のさまざまな魅力を知っている「文房具プレゼンター」のふじいなおみさんに、子どもと一緒に楽しく使えて、子どもの成長に役立つ文房具を紹介していただく企画です。今回は日ごろのお散歩で使いたい文具「おさんぽBINGO(企画:ブンケン)」をご提案いただきました。
散歩しながら地域の知るべき場所にふれる
ふじいなおみさん(以下、ふじい):今日紹介する「おさんぽBINGO」は、その名のとおり、おさんぽ中にカードに書かれたイラストを見つけたら穴を開けていく移動式ビンゴカードです。
未来:ふじいさんのご家族では、「おさんぽBINGO」をいつ試してみたのでしょうか?
ふじい:1年前のゴールデンウィークのころです。コロナ禍でまだ旅行が難しかったときで、公園に行くのも「遊具に触るのも怖い」という時期ですね。
未来:確かに、子どもと外で遊ぶことすら、ホントに難しいと感じた時期でした。「おさんぽBINGO」はどれを購入されたのですか?
ふじい:「おさんぽBINGO」は春夏秋冬をテーマにしたものや「まち」「うみ」「だいとかい」など、お散歩する時期や場所が違う10種類があって、私は「まち」の「おさんぽBINGO」を持って出かけました。1セット550円(税込)で4枚1組になっています。
ふじい:大人と子どもが1枚ずつ持って「先にビンゴになった人が勝ち!」というのが基本の遊び方だと思いますが、「5歳の子と対戦するのも…」と思って3人で1枚のシートを使ってビンゴをしました。「いぬ」「おじぞうさん」「じてんしゃ」など探すものが結構バラエティに富んでいて、大人もよく見て探さないといけないのが楽しかったです。
未来:「いぬ」はいつもどおり家や庭にいるかもしれませんが「ねこ」はいつもは見るのにこういうときに限って見かけない…なんてこともありそうです。
ふじい:そうなんです。確実にお散歩のルートにあるものもあって、そのなかでとくに娘に見つけてほしかったのが「でんわ」です。
未来:公衆電話って、普段使わないので、ある場所を知らない人も多いかもしれません。
ふじい:何か災害が起きたときや緊急事態があったときに、ここから警察に電話できるということを娘に知ってほしかったんです。公衆電話は近くの駅にあることを私が知っていて、散歩で近くまできたときに娘自身に探してもらいました。「おさんぽBINGO」を開発した会社の方とメールでやりとりをしたとき、「やっぱり公衆電話は防災上必要なもので、そういう知って欲しいものも描きました」とおっしゃっていましたね。
未来:なるほど「まち」にあるほかのイラストでは、小学校は避難場所になっていますし、「おまわりさん」や「とけい」がある場所も知っておくといいですよね。よく考えられています!
ふじい:我が家では1枚で遊びましたが、シートごとに配置や内容が変わっていますので、小学生と一緒の場合はお散歩しながら対戦してみるのも楽しいと思います。
ふじい:子どもと遊んでも楽しい「おさんぽBINGO」ですが、私が以前子ども向けのラジオ番組でこの商品を紹介したときは「孤育て(孤立したなかで行う子育て)の解決アイテム」として提案しました。というのも私自身産後うつになった経験があって、赤ちゃんのお世話をしながら家にこもっていると、どんな人でも気持ちが沈むことがあると思います。子どもが3カ月くらいになったら散歩ができるようになるので、外に出て気分転換をしようと思っても1人で赤ちゃんを連れて散歩をすると、いろんなことを考えてしまって。そういうときに大人が「おさんぽBINGO」をやると、すごく癒されると思うんです。
未来:自分と赤ちゃんだけだった世界が、周りにいろんなものがあることに気づいて解放されていく感じですね。
ふじい:そうです。強制的に「外に出なきゃ」と思うより「おさんぽBINGOで楽しんでみよう」という気持ちでお出かけしたほうがずっと癒されますし、イラストを見ているとお散歩したくなるようなワクワクするような絵柄なのもいいですよね。
未来:ビンゴに描かれているものを探すために、いつもと違うルートで回ってみたりするのも気分転換になりそうです。
水族館が好きになるきっかけに
ふじい:じつは数年前に、うちの娘を水族館に連れて行ったら「おさかなの顔が怖い」と言って、水族館に行ったのに併設している遊技場で午前中いっぱい遊んで帰ったことがあったんです。
未来:せっかく連れて行ったのに、それは悲しいですね。
ふじい:そこで「おさんぽBINGO」シリーズの「水族館」を持っていっていきました。ちょっと宝探しのような感じで、しかもイワシやチンアナゴなどかわいい海の仲間がいるので、それを見つけにいこうと。
未来:ただ漫然と魚を見るより「これを見つけるぞー!」と思いながら探してみると、水族館の違った楽しみ方ができそうです。
ふじい:イラストに「イルカのこえ」があったので、それをきっかけにイルカショーが見れたのがうれしかったです。「イルカの声が聞けたね」と言いながら穴を空けて。イワシは大群で入っている水槽があったので、それを見て娘が「イワシいた!」と言ってくれたりと、一時間くらいゆっくりと見ることができました。大人としても、普通に回るより発見が多いおでかけになりました。
未来:水族館に行かれる予定がある方は、ぜひ持って行ってほしいですね。
食育やお手伝いをBINGOで楽しむ
ふじい:同じシリーズで「おこさまBINGO®」という商品もおすすめです。これは「しょくじ」「やくそく」「てつだい」の3種類があります。「しょくじ」だとナスやピーマン、トマトなど子どもが苦手な食材が入っていて、それを食べられたら穴を空ける仕組みです。「よくかむ」「ひじをつかない」などマナー的なものも入っていて、楽しみながら食育につなげられます。
ふじい:「てつだい」を買ってみて感心したのが「楽しみ方」に書いてある「④手伝ってもらってうれしかったところを、ちゃんと伝えてよろこぶ」ということ。このBINGOでは単に「子どもにお手伝いをしてもらう」だけでなく、大人がちゃんと相手を認めてあげながらコミュニケーションをとることで、子どもの成長をが促されると考えているんだというのがとても感じられました。注釈にも「こどもによって仕上がりは違うので、カンペキを求めるのではなく、やろうとする気持ちを大切にしてください」や「ビンゴでできた時のごほうびを考えておくと、こどものやる気が出たりします」と書いてあって、ちょっとほほえましいんです(笑)。
未来:子どもの目線に立った楽しみ方になっているのは素敵です。
ふじい:「子どもにやらせるなら」と思って「てつだい」を買ったのですが、小学1年生だとちょっと難しい内容のものが多いので、もう少し成長してから出そうと思っています。
未来:注釈にもあったように小学校低学年のうちは、その子なりのちょうどいいハードルを大人が設定してあげるといいかもですね。「せんたくものをたたむ」だったら自分のをやればよしとしたり、たたむのが簡単なタオルができればOKにしたりするなど挑戦する難易度で子どもがやる気になってくれるといいと思います。
ふじい:そうですね。子どもの年齢にあわせていろいろと楽しめるものなので、気になった方はぜひ公式サイトをご覧ください。
散歩を「発見する」時間に
日常の中にある景色って、意識しないと覚えていないことが大人になってもよくあるんです。例えば商店街の中にあるお店が変わったとき「ここは前になんのお店が入っていたっけ?」ってよく思うんですけど、自分が買わないものや関係ないと思っているものはなかなか思い出せなくなってきました……。「おさんぽBINGO」を使って散歩をしていれば、普段は見ていないところにも気がつくようになって、お散歩がより充実したものになりそうです。また、ふじいさんが紹介してくれたように、大人が散歩のモチベーションを上げるツールとして使うのもいいですよね。BINGOを目指して、いつもは通らなかった道を通ってみると、知らなかったお店を見つけたり、道が意外なところにつながっているなど、新しい発見ができそうだと感じました。「おさんぽBINGO」でぜひ、一度いつもと違う散歩をしてみて、よい気分転換になったらうれしいです(KAZ)
お話を伺ったのは…ふじいなおみさん 。文房具のさまざまな特長・長所をより多くの方々に広める(プレゼンをする)「文房具プレゼンター」として活躍。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」をはじめ、ステイショナー「文具のとびら」、 小学館「HugKum」、 日経BP「日経xwoman DUAL」などのweb連載、動画「イロブンの引き出し開けていこう」など、さまざまなメディアで発信を行っている。万年筆のインクにも造詣が深い。
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