童話を読み解き、現代にあった新しい解釈をすることで、物事をさまざまな角度から見られるようになる本の第2弾「10歳からのもっと考える力が育つ20の物語 二代目童話探偵シナモンの『ちょっと違う』読み解き方」(著:石原健次、絵:矢部太郎、発行:株式会社アスコム)」を紹介します。(株式会社アスコムから献本いただきました)
有名な童話に「現代に生かす新しい解釈」を見つける物語
世界の名作童話を読んで、そこに隠された新しいストーリーを読み解く「童話探偵」が主人公の物語です。前作となる「10歳からの『考える力』が育つ20の物語」の童話探偵ブルースに代わり、前作でブルースの秘書をしていたシナモンが「二代目童話探偵」として登場! 「浦島太郎」や「人魚姫」「かちかち山」などの物語を読み解いていきます。表紙や挿絵のイラストは前作と同じく「大家さんと僕」で知られる矢部太郎さんが担当し、シナモンの「新解釈」にイラストで温もりをもたらしています。

読み解きだけでなく登場人物の成長にも注目
童話に隠された新たな解釈を見つけるだけでなく、シナモンや秘書のブライムなど、さまざまな登場人物が童話の読み解きを通して少しずつ成長していき、人生に影響を与えていくところも見どころです。童話探偵の読み解いた「新解釈」によって、登場人物がどのように変わっていくかに注目していくと、より深く本書を楽しめます。

お話の合間には、ブライムとママがSNSでやりとりをしているシーンが入る場面も。ここでもブライムが少しずつ成長している様子が描かれています。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
前作の童話探偵ブルースの着眼点に「なるほど~!」と感心させられていましたが、二代目童話探偵シナモンの読み解きは「相手の気持ちを思いやったやさしさ」が感じられるものが多いところが好きです。前作では、人とぶつかることが多かったシナモンが、人の痛みがわかって寄り添えるキャラクターに成長していて「あの子がこんなに立派になるとは…!」と娘の成長を見守る父親のような気持ちになりました(笑)。登場人物の解説などもあって、前作を読んでいなくても十分楽しめますが、前作を読んでいると登場人物により深く感情移入できます。
ブルースとシナモンの童話を読み解くスタイルの違いは、童話探偵と秘書の立ち位置の違いにも表れていると思います。前作の童話探偵ブルースと秘書シナモンの関係性はまさに「師匠と弟子」や「父と子」を思わせるものだったのですが、童話探偵となったシナモンと新たな秘書のブライムは「友だち同士」や「きょうだい」のような距離が近い関係性になっていて、それが「相手を思いやる」読み解きにつながっているのだと感じました。
この本のターゲットである10歳ごろは友だち関係にも悩むことがあるので、小学生が読んだときに自分ごとに置き換えやすいところもあると思います。

シナモンとブライムの会話のやりとりの距離感の近さが、より共感しやすさにつながっています。
さらに作中にはブルースが登場して一緒に読み解きをする場面もあり、前作以上にひとつの童話について違う角度から見た「読み解き」が展開していきます。読んでいくなかでとくに印象的だったのが「ロバを売りにいく親子」のお話。
道行く人々にいろいろと言われた親子が、言われたとおりにしていたら最終的にロバを失ったという内容で、シナモンたちの会話に出てきた「人の悪いところを見つけて言うことは、すごくかんたんなこと」や短所は見方を変えれば長所になるのと同じで「悪口は、一瞬でほめ言葉に変わります」という言葉にハッとさせられました。
前者は大人にとっても忘れないでいたい言葉ですし、後者は悪い言葉に流されないために常に持っていたい視点です。このように日常を過ごしていくなかで子どもに教えておきたい、大人でも見落とししてしまいそうな「生きる力」を持った言葉が、この本にはたくさん入っています。

20の物語が入っていますが、1つ1つは短いので短い時間で決めた量を読みやすいのも魅力です。おすすめの読み方は、童話のあらすじが出てきたところで「どういう読み解きができるかな?」を考えてみながら読むことです。自分が出した「読み解き」が作中と違っていても大丈夫。お話の中でもみんなで読み解きをしながらブルースが「それぞれの気づきが新たな学びになればいい」と語ってくれています。できれば大人も読みながら自分の読み解きをメモしておいて、あとでお互いの読み解きについて話し合うといいですね。
そのほかにも自分の好きなお話を互いに話すなど、子どもとのコミュケーションにも一役買ってくれる本です(KAZ)
10歳からのもっと考える力が育つ20の物語 二代目童話探偵シナモンの「ちょっと違う」読み解き方
本体1,430円(税込)、著:石原健次、絵:矢部太郎、発行:株式会社アスコム
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