「学力日本一」の秋田県で学習塾を経営し、中学受験3年連続合格率100%を達成するなどの実績を持つ著者が、子どもの自己肯定感や共感力、やる気を高めるコツを教えてくれる本『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない(著:須合啓 発行:明日香出版社)』を紹介します。(明日香出版社から献本いただきました)
大人の「意識・言葉・行動」を変えるだけで自分で考えて動ける子に
著者の須合啓さんは20歳から塾講師を始め、公立高校の商業科などを経て25年のキャリアを持っている方で、現在は秋田県の進学塾「STUDY HOUSE」を経営しています。この塾ではまったく勉強しなかった小学3年生の生徒が自分で計画を立てて学習するようになり、小学部から通っていた生徒が中学校を経て県内トップの進学校に進学するなど「学力日本一」の秋田県でも目覚ましい実績をあげています。
須合さんは、これまで延べ1万人を超える生徒とその家族に接してきたなかで「自分で考え、行動できる子になる家庭には『良好な親子関係』があり、それを実現させるための共通の『習慣』を身につけている」ことに気づいたそうです。
そもそも「良好な親子関係」とは、ただ仲がいいということではありません。「お互いの胸のうちを深く察し合い、お互いに高め合える“対話”ができる関係のことです。この関係があってこそ、子どもたちは「安心して自主的に勉強に取り組める」ようになり、人に言われなくてもゲームをやめることができたり、すすんでお手伝いができるようになったりするのです。(P6より一部抜粋)
さらに須合さんは「良好な親子関係」を実現する3つの「心がけポイント」として「意識」「言葉」「行動」をあげています。本書ではこの3つの心がけポイントについて、どのように行えばいいかを具体的に教えてくれます。その内容を実践し、良好な親子関係を作ることで子どもの「自分を愛する力(自己肯定感)」や「共感力」「思考力」「行動力」が身に着き、やる気や学力にもつながっていくと書かれています。
「考えるヒント」で読み手が考え、「ここが大事」でポイントを学べる
本書では随所に「考えるヒント」と「ここが大事」という小見出しがついています。「考えるヒント」では、いきなり答えを出すのではなく、ヒントとなることを書くことで読み手に考える時間を与えています。本の中でも触れていますが「自分で考える子どもになってもらう」には、書かれていることに対して「読み手である大人が自分で考える」必要があります。
さらに「ここが大事」では明快に「こうしたらいいですよ」という直接的なアドバイスが書かれていて、しつけで悩む大人にとっては救いの言葉になることがたくさん書かれています。また、今すぐ簡単に実践できる方法も書かれているので、何から始めたらいいかわからない方も読んですぐにやってみることができる内容になっています。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
子どもが小学生になり、いろんなことができるようになった反面、大人の言うことを聞かなくなって、ダメだと思ってもついイライラしてしまうことがあります。とくにタイトルにある「片づけしなさい」は、目下の悩みどころです。寝る寸前までおもちゃで遊び、おもちゃを抱えたまま寝る子なので切り替えさせる難しさを感じています。本書では「まず大人が意識と言葉、行動の面で変わること」が書かれていて、目から鱗の思いで読みました。まず、自分自身が変わらないとですね…と反省しきりです。
本に書かれている「意識・言葉・行動」の提案が実施しやすく「とりあえずやってみよう」と思えるものが多いのが魅力です。例えば本の中に「生まれたときの写真を見えるところに置いておく」という提案があります。確かに、生まれたばかりのころは、ただそこにいてくれるだけで感動する、うれしい存在でした。その気持ちを思い出すために、リビングやスマホの待ち受けなどに赤ちゃんのときの写真を入れておくと「意識」が変わるそうです。
また、本書のなかで「叱り方」にもきちんと言及している点に好感が持てました。「こういう叱り方はダメ」というのもありますが「あなたの××が私は悲しい」という「I(アイ)メッセージ」から始めて、その理由を伝えることで共感力を養えます。日常の場面で少しずつ、ひとつずつ変えていけるので、大人の側も負担なく取り組める内容になっています。「自分で考えて動ける子」を育てるための本ですが、子どもを育てる大人自身がまず一段階成長できる一冊です。(KAZ)
『自分で考えて動ける子の育て方 「早くして!」「勉強しなさい!」「片づけなさい!」はもう言わない』
本体1,540円(税込)、著:須合啓 発行:明日香出版社
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