分身ロボットカフェ DAWN ver.β

難病などで外出困難の人が働ける!分身ロボットカフェで見つけた「出会いと発見」

難病にかかっていたり、重い障害があるなど、外出することが難しい人が自宅から分身ロボットを操作して接客できるカフェ「分身ロボットカフェDAWN Ver.β」常設実験店が2021年6月22日(火)にオープン! 分身ロボットによって働けるようになったパイロットたちの声や、店内の雰囲気をはじめ「出会いと発見」に満ちた実験的試みの数々を取材レポートします。(株式会社オリィ研究所が運営する施設に招待されました)

「分身ロボットカフェ」とは?

ALSなどの難病や重度障害で外出が難しい人が、分身ロボット「OriHime」「OriHime-D」を遠隔操作し、サービススタッフとして働く常設実験カフェです。分身ロボットカフェでは、「動けないけど働きたい」という意欲ある外出困難者たちに雇用を生み出すと同時に、人々の社会参加を妨げている課題をテクノロジーによって乗り越えることを目指しています。2018年11月に第1回を開催して以降、合計4回の期間限定カフェ開催を経て、2021年6月22日に日本橋でオープンしました。

OriHimeパイロットと会話しながら食事やドリンクが楽しめる(要予約)

店内のメインスペースともいえる「OriHime Diner」には8つのテーブルが設置。各テーブルのOriHimeにパイロットが遠隔地から接続して接客し、訪れたお客さんとお話をしながら注文を決定します

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

店内はシンボルツリーのガジュマルの巨木をはじめ、木製のテーブルを使用。テクノロジーと自然とが融合し、居心地のよい空間が作られている

取材時は予約で席が満席となっていたため、実際に訪れている人にお話を聞いてみました。写真のお二人は、クラウドファンディングの特典で来店されていて、分身ロボットカフェは第1回目のオープン時から応援されています。以前のイベント店舗では注文は自分でタブレット端末にタップして行う形式でしたが、今回はタブレット端末に表示されたメニューを口頭で伝えるだけで、離れた場所から分身ロボットを操作している「OriHimeパイロット」がメニューを選択して注文できるようになり、本来の接客にかなり近いものになったことを喜んでいました

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

写真右の小さいロボットがOriHime。

取材をしていて、一般的なカフェとの大きな違いを感じたのは、注文を受けたあとも、OriHimeパイロットとお話ができるところでした。OriHimeから出る声もよく聞こえ、レスポンスもいいので本当にパイロットが隣に座っていて話しているような気持ちになります。そのため、1人で来店した方も、OriHimeパイロットとの会話を楽しんでいました。

分身ロボットカフェ DAWN ver.B

注文した飲み物は、店内を自走できるロボット「OriHime-D」が担当。店内の少し離れたところにいても「お待たせしました!」という元気のよい声が聞こえます。OriHimeからの声が聞こえるのはもちろんですが、こちらの発言もしっかりパイロットが聞き取ることができていて、スムーズに会話できているのに驚き!

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

自走できる分身ロボット「OriHIme-D」のパイロットは操縦時に自動と手動を選択でき、床にある黒いライン部分を走行するときは自動、立ち止まって手を振ったりするときには手動に切り替えられる。開発者の吉藤オリィさんが「ダイバーシティの実現は『選択できること』。たったひとつの正解を求めるより、選択と工夫の余白のある世界を目指して行きたい」と語っているように、パイロットもリアルタイムにさまざまな選択をしながら働ける仕組みだ

予約制のテーブル席「OriHime Diner」には、限定メニューも用意されています(料理は現時点ではスタッフがテーブルまで運ぶ形)。看板メニューの「オリィイチ推し! ロービーバーガー」は岡山県の蒜山ジャージー牛のローストビーフを使ったうまみとボリューム満点のハンバーガーです。

ほかにも三軒茶屋の人気カレー専門店Manos(マノス)監修の「DAWN特製スパイスカレー」や「塩麹漬けのマグロのポキライスプレート」「季節野菜パワーサラダ」など、見た目も味も大満足のメニューが並びます。コーヒーは麻生十番・六本木に店舗を構えるキャッシュレスのパーソナライズドカフェ「TAILORED CAFE」がプロデュース。

また、食事支援(えんげ調整食)が必要な方にも対応し、ミキサーやカッター、シリコンスプーンなどの調理器具の貸し出しも行っています。

分身ロボットカフェDAWN ver.β 料理 メニュー

元バリスタのパイロットが好みに合わせたコーヒーとチョコを用意(予約制)

店内奥の「BAR&Tele-Barista」では、元バリスタのパイロットが「テレバリスタOriHime×NEXTAGE」を遠隔操作して、コーヒー豆本来の味わいが楽しめるフレンチプレスで淹れたコーヒーを提供する席です(時間入れ替え・予約制)。

パイロットはお客さんとの会話を進めながら好みを聞いて、その日の気分や天候なども考慮して、用意された4種類のコーヒーの中から最適なものを選んで淹れます。コーヒーに合わせて、チョコレートも4種類の中からパイロットが選んで一緒に提供してくれます。こちらは7月より予約を受け付けする予定で、取材時には動いている様子が見られなかったのが残念でした。

分身ロボットカフェ DAWN ver.β

次のページ>「予約不要で気軽に利用できるエリアも」

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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