妖怪のたおしかた 小松和彦

地理や歴史の勉強にもなる!「妖怪のたおしかた」で育める想像力とは

注目の新刊
子どもの成長や子育てに役立つ本を厳選して紹介します。

日本全国の地域ごとに現れる妖怪と、そのたおしかたを怖いながらも楽しいイラストで紹介する「妖怪のたおしかた(監修:小松和彦 イラスト:なんばきび 発行:アスコム)」。人間の想像力が生み出した妖怪を知ることで、自分自身の想像力もアップ! 大人も思わず感心する本書の魅力を実際の本のページと、子どもたちが描いたオリジナル妖怪企画の結果発表とともに紹介します。

47都道府県の妖怪の特徴と弱点をエリアごとに紹介

「妖怪のたおしかた」では、全国各地の妖怪とその弱点が怖くて楽しいイラストでまとめられています。47都道府県を網羅しているので、自分が住んでいる県はもちろん、おでかけでよく遊びに行く県、おじいちゃんおばあちゃんの家がある県などにどんな妖怪がいるのかがわかります。

イラストを担当するのは「なんばきび」さん。妖怪の怖さを出しながらも、弱点を突かれたときの「しまった!」という顔や、なんともいえない残念そうな顔も魅力のひとつです

また、妖怪が出会いやすい場所や時期、時間帯、サイズ、特技のデータ、強さや頭の良さなどの特徴が一目でわかるグラフ、豆知識などを合わせて収録。見開きページに1体ずつ情報がまとまっていて、その妖怪にくわしくなれます

オリジナル妖怪の優秀作品がプロによってイラスト化!

「未来へいこーよ」では「妖怪のたおしかた」とのコラボ企画でオリジナル妖怪コンテストを実施しました。募集で集まったたくさんの投稿から、「妖怪のたおしかた」の監修を務めた妖怪研究の第一人者・小松和彦先生と、小学5年生で妖怪に関する本を発売した関本創(あらた)さんが審査! 大賞と小松賞、関本賞の計5作品を選出し、元のイラストとともに「なんばきび」さんが描いたイラストと合わせて掲載されています。ここでは受賞した5作品を紹介!

【大賞】てろく(アンさん 6歳 東京都)

大賞に選ばれたのは、真夜中の横断歩道に現れて、クルマに乗っている人を小さくしてスカートの中にしまう妖怪「てろく」です。弱点は下に生えている網をつかむこと。審査員も「6歳でここまで不気味な妖怪を考えられるところがすばらしい(小松さん)」「ユニークな見た目と、複雑な攻撃方法を考えだした想像力がすごい(関本さん)」と絶賛! 応募時のおかあさんからのコメントでは「てるてる坊主がモチーフで、横断歩道を見て思いついた」そう。「なぜ泣いているのか」や「スカートの中にしまわれた人はどうなるのか?」など、イラストを見ていくといろいろと想像が広がっていく妖怪です。

【小松賞】文句パンダ(りあさん 小1 神奈川県)/たんぱクン(莉子ちゃんさん 小3 東京都)

「文句パンダ」は文句を言われると狂暴になるパンダ。小松さんは「パンダ好きの子が考えたそうですが、好きなものに怖い部分を見いだす着眼点が見事です」と好感度が高いパンダをあえて妖怪にしたところを評価していました。「『かわいい』と言われると元に戻る」という弱点設定もユニークです。

「たんぱクン」は筋トレを応援する、どちらかといえば「いい妖怪」。なまけている人や太っている人のところに現れて筋トレをせまり、たんぱく質を押しつけてきます。「酸に触れると固まるたんぱく質の弱点(特性)を取り入れたところが科学的で面白い!」小松さんがと評しているように、秀逸な弱点設定が選ばれたポイントに。

【関本賞】七色の竜獣(優太郎さん 小4 神奈川県)/石炭炎(りんごさん 小3 東京都)

「七色の竜獣」は虹色に体を持つ水の妖怪。関本さんからは「自然現象から生まれた王道パターンの妖怪という点がうれしい。色づかいもきれいです!」と評されています。口から大量の水を吐いて船を沈没させる妖怪で、弱点は「炎やマグマなどの熱いもの」。応募時のコメントを見ると「いつも眺める本牧ふ頭は曇っている日が多い」ことから、雲に隠れている妖怪を想像したとのことです。

もう1つの関本賞は「マグマの中にヘビのような妖怪がいるという発想がユニーク。名前も妖怪らしくて◎!」と評された「石炭炎」です。水が天敵で大雨に弱い…ということは、七色の竜獣と石炭炎は互いに相手の弱点を持っている妖怪といえますね。

「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント

天狗やのっぺらぼう、ろくろ首など、僕自身が知っている妖怪でも「弱点」を知らないものがたくさんいて、大人でも感心しながら読みました。妖怪が出現する地域が書いてあるので、気に入った妖怪がいたらその地方を調べてみるのがおすすめです。

例えば川や池が多いエリアは河童のような水にまつわる妖怪、米作りがさかんな土地では泥田坊のような稲作に関係がある妖怪など、妖怪が出現する土地の地理的な特徴が自然に学べます。また、天狗などの一部の妖怪は、神社に祭られていたり、数々の伝説や伝承があるところがあり、鞍馬天狗に育てられた源義経など、歴史上の人物にも関わりのある存在もいるので、歴史を学ぶきっかけにもなります。

地理や歴史を意識しなくても、その場所に実際に訪れてみたときに川や森、山を見て「こんな妖怪がいるかもなあ」と想像してみるのも楽しいですよ。

そもそも妖怪とは昔の人間が理解を超えた現象を「人間ではない何かが引き起こした」と考えて生まれたものです。昔は見えないものを「こういうものではないか」と想像力で「見える化」して、それを祓うことで災いを退けていたんですね。祓うことが目的なので、必ず弱点がある。そこにフォーカスをしているのがおもしろいです。

恐ろしい妖怪を生み出したのも、弱点を考えたのも結果として「人間の想像力」だと思うと、なんだか想像力ってすごいって思いませんか? 昔の人が考えたことを今の僕たちが想像するというのも、とてもおもしろい体験になるのではないでしょうか? そして新しい妖怪を生み出すこともきっと、想像力が刺激される体験になるはずです。

「未来へいこーよ」でオリジナル妖怪コンテストを実施したのも、参加したみなさんの想像力を発揮する機会になったらいいなあと思ったのが理由の1つです。たくさんの応募作品を見て、現代の人間の想像力の豊かさに驚かされ、とてもうれしくなりました。

じつは僕も妖怪を考えてみたのですが、そもそも何をモチーフに妖怪にするのかもなかなか見つからなかったりします。でも「日常にあって怖いと感じるもの」で想像していくと見つかりました。また、「弱点」を考えるのも簡単なようで難しく、とても想像力が育まれる体験になりました。子どものほうがスッとアイデアが出ることがあるので、大人と子どもで一緒に考えるのも楽しい時間になると思います

ちなみに「妖怪のたおしかた」には「無視されると力を発揮できない」タイプの妖怪がいくつかいます。じつはここだけの話、普段はあまり怒らない妻が、本気で怒ったときは僕を徹底的に無視するので「あれはつらいよねー」と妖怪に少し同情しながら読みました(笑)。「僕のたおしかた」もたぶん「無視されること」ですね…(KAZ)

妖怪のたおしかた
妖怪のたおしかた 小松和彦定価1,320円(本体1,200円+消費税10%)
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5歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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