「自分のやりたいこと・大好きなこと」にフォーカスしながら物語の続きを考える絵本「リンちゃんとダーリンの大冒険 魔法のコインをさがしに(著:ほんまひびき 絵:さこももみ、発行:RINDA PUBLISHING」を紹介します。(RINDA PUBLISHINGから献本いただきました)
自分自身の人生脚本を描くプログラムにつながる絵本
「リンちゃんとダーリンの大冒険 魔法のコインをさがしに」は(一財)RINDA foundation JAPANが立ち上げた「世界をぐるり!こども絵本リレープログラム」から生まれた絵本です。このプログラムは「人は幼少期に自分自身の人生脚本を描くと、その通りになる」というカナダ出身の心理学者エリック・バーンの言葉がきっかけになっています。
この場合の幼少期に描かれる人生脚本は、親や先生など周りの大人の影響を無意識のうちに受けていることが多く、そうした要素を取り払って「子ども自身がやりたいことを人生脚本として描くこと」が「こども絵本リレープログラム」の目的です。
絵本ではリンちゃんとダーリンが「地球を助けるために魔法のコインをさがしにいく」物語が描かれます。プログラムに参加する子どもたちは、その作品世界に登場する自分自身を投影したキャラクターを作り、自分が主人公の冒険物語を作って、次の子どもへとリレー形式につないでいきます。
プログラムでは物語をつくる過程で、子どもが自分自身を知り、身の回りや地球上の困りごとに目を向け、解決策を探しながら「本当の豊かさ」や「本当の幸せ」について考えていくことができます。
絵本づくりを通じて、「内観の追求・自己肯定感・主体性・考える力・コミュニケーション力・想像と創造力」などを育めるプログラムです。
当時9歳の女の子が描く、少女と犬の冒険物語
この絵本は当時9歳の女の子「ほんまひびき」さんが、書き上げています。好奇心旺盛な9歳の女の子の「リンちゃん」と、2100年の未来からやってきた心優しい物知りワンコの「ダーリン」が、地球をとりまくさまざまな問題に心を痛め、未来のために「魔法のコイン」を探す旅に出ます。絵本作家の「さこももみ」さんが描く温かみのあるイラストが、壮大な冒険に温かみのある彩りを加えています。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
リンちゃんとダーリンが旅をしながら、魔法のコインを探し行くのですが、魔法のコインはなかなか見つかりません。普通だったら見つからなくてがっかりしてしまうところで、リンちゃんが行く先々で声をかけてくれた人や動物に「ありがとう」とお礼を言い、「ラッキー」だったと喜んで笑顔を見せていく姿がとても好感が持てました。
じつは結果として、魔法のコインに匹敵するくらい素敵なものを2人は発見しているんです。大きな目標に向かって進みながら、そこで見つけた発見や喜びで達成感を得て成長していくのは、人生もまた同じものだと感じました。
物語の続きを子どもたちに書いてもらう「子ども絵本リレープログラム」の一環として生まれた本なので、物語は完結していませんが、十分なボリュームの冒険が描かれていて物足りなさはありません。
内容的には環境問題についての説明もあるので、小学生以上におすすめです。とくに当時9歳の女の子が書いた物語ということもあり、同世代の子が読むと「自分と同じくらいの子が物語を作って絵本を出している!」と驚くと同時に、自分も「物語を作ってみたい!」という気持ちが自然に芽生えると思います。
じつは先日、6歳と8歳の女の子が参加する「こども絵本リレープログラム」のワークショップを取材しました。(一財)RINDA foundation JAPANの代表・有川凛さんが絵本を朗読すると、2人はじっと食い入るように見ながら、ときどき「あれはこうなるんじゃない?」とお互いに言ったりしてすっかり世界観に引き込まれていました。
作中でリンちゃんは、いろいろな国を行ったりきたりできる「スマイルパスポート」を地球さんからもらうのですが、じつは本のカバーをはずすと「スマイルパスポート」が現れる仕組みになっています。物語の世界と現実がリンクしている仕掛けがおもしろいです。
このあと2人は物語の続きを考えるにあたり、自分自身の分身であるキャラクターづくりにとりかかるのですが、それは別の機会に。「子ども絵本リレープログラム」に参加すれば、絵本の魅力を120%体験できますが、参加しなくても自分自身が想像の世界で冒険する物語を考えてみるよいきっかけになる絵本です(KAZ)
リンちゃんとダーリンの大冒険 魔法のコインをさがしに
本体1,800円(税抜)
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