家族で読書を楽しむ「家読」とは? 親子のメリットも紹介!

家族で読書を楽しむ「家読(うちどく)」。現在、全国約500カ所の市町村で取り組まれている読書活動です。家族みんなで読書をすることは、子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか。家読の具体的な進め方も含めて、専門家に聞きました。

「家読」は「朝の読書」の家庭版

そもそも「家読」とは、具体的にどういった取り組みなのでしょうか。

家読は『家族ふれあい読書』の略語です。読書をすることで、家庭内のコミュニケーションを深めることを目的としています。家族みんなで一冊の本を読んで、読んだあとに感想を言い合い、子どもと親が話し合うきっかけをつくる、というのが家読の基本スタイルです」

こう答えてくれたのは、「家読推進プロジェクト」代表の佐川二亮さん。

家読はもともと、全国の小・中・高等学校で行われている「朝の読書」の家庭版として誕生した取り組みなのだそう。「朝の読書」とは、毎朝授業前に10分間、児童と教師の全員が一斉に読書をするもので、「自分が読みたい本を選ぶ」「読後の感想は求めない」という自由に読書を楽しめるのが特徴です。

「この朝の読書で、『集中力がついた』『読解力が高まった』『言語能力が伸びた』など、学力向上への効果のほか、『他人の気持ちがわかるようになった』など、子ども同士の人間関係改善の効果も認められています」

「ですが、夏休みや冬休みなどの長期休暇に入ると、せっかく身についた読書習慣が途切れてしまいます。学力向上や人間形成にも良い影響を与える読書を家庭でも続けられるようにと考えられたのが『家読』です」

家読で家族のコミュニケーションを生み出そう

朝の読書の家庭版である家読。では、家読にも朝の読書と同様の効果があるのでしょうか。佐川さんに、家読を実践している家庭から寄せられた感想を見せてもらいました。

▼家読を実践している親子の感想

  • 子どもがどんなことを考えているのかなど、内面がよく見えてきた
  • 家族のコミュニケーションが活発になり、毎日が楽しくなった
  • 親の心も安定してきたように思う
  • 家族みんなで家読をしていたら、おじいちゃん、おばあちゃんたちとの会話も増えた

家読の最大のメリットは、親子のコミュニケーションを生み出すこと。家読にも朝の読書同様に親子の絆を深めたり、子どもや親の心を安定させたりといった効果があるようです。

「現代の子どもたちのまわりには、電子ゲーム・パソコン・スマートフォンなど電子メディアがあふれていて、刺激的で面白い情報を手軽に手に入れられます。一方で、それにより家族の会話が少なくなったり、子どもたちの心が不安定になったりと、新たな社会問題も発生しています」

「現代の子どもに起こる様々な問題は、家族のコミュニケーションが希薄になっていることが大きな要因とも考えられます。家読には、家族だんらんの中からコミュニケーションを生み出す力があると思っています」

確かに、一冊の本を通して語り合う時間は、家族がいろいろなことを話すきっかけになりそうです。


1週間に1度でも大丈夫

では「家読」は、具体的にどのように進めていけばよいのでしょうか。

家読ではコミュニケーションを深めることを目的としているため、『みんなで一冊の本を読む』『家族で感想を語り合う』のが特徴です。それ以外に特別な決まりごとはないので、子どもの意見を尊重しつつ、家庭や家族の状況に合わせたやり方で進めてもらえれば大丈夫です」

毎日実施するのが難しければ、1週間に1回程度の実施でも問題ないとのこと。時間は、約15〜30分くらいが無理なく続けられる一つの目安です。

「家族がそろう時間帯であれば、実施するのは昼でも夜でもかまいません。一般的には、夜の食事と入浴を済ませたあとの時間帯が、家族みんながリラックスできて良いようです」

実施ペースが決まったら、次は読む本を決めましょう!

絵本なら手軽に進められる

「本の選び方はさまざまですが、小さな子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、家族みんなで楽しめて感想を話しやすいものは絵本ですね」

絵本なら文章も少なく、短時間で読み切れるので気軽に取り組めます。それに絵本には、人間・自然・愛・命・友情・家族など、人間が生きていく上で必要なテーマがすべてそろっています。物語だけではなく、絵のイメージを話し合うことができるのもメリットです」

絵本を読むときは、家族みんなで声に出して読む「音読」がおすすめなのだとか。

「音読には、コミュニケーションを深め、気持ちを通じさせる効果があります。家族でページごとに読む人を決めたり、役柄別に読む人を決めたりしても楽しいと思いますよ。」

本を選ぶのに迷ったら、図書館に相談するのも一つの方法。家読推進プロジェクト」の公式HP「うちどく.com」でも推薦本を紹介しているそうです。


感想を言い合う時間が大切

では、読後に「家族で感想を語り合う」ときは、どんなことを意識すればよいのでしょうか。

「ポイントは、あまり難しく考えないことです。絵本ならば、『このクマさんの目がかわいいね』など絵の印象でも良いのです。登場キャラクターについてなら、話しやすいと思いますよ」

「子どもの年齢によっては、『この主人公の考え方、どう思う?』などの質問形式にすれば、親子で一緒に物語について考えることができます。また、絵本のストーリーには主人公の感情の動きが表現されていることが多いもの。絵本を読んで何を感じたのか具体的に話し合うことも、親子それぞれの考え方を理解し合える大切なコミュニケーションになります」

そうして本について語り合ったら、どの本を読んで、どんな感想を話し合ったかを一言メモとして残すと良いそう。これらをまとめた感想ノートを作れば、家族のかけがえのない思い出や成長の記録として残ります。

「購入した本で家読をしたのなら、読んだ本の最後のページに、『いつ、誰と読んだのか』『子どもたちの感想』を一言メモとして書き残しておく方法もあります。そうした本を集めてまとめておけば、立派な家族文庫ができあがります」

感想ノートも、家族文庫も、親子のコミュニケーションの歴史が残るもの。子どもが大きくなってから家族みんなで読み返せば、いろんな思い出がよみがえってきそうです!
一冊の本を通して家族のコミュニケーションを生み出す家読。まずは子どもと一緒に絵本を選ぶところから始めてみませんか?

お話を聞いたのは…
佐川二亮(つぐすけ)さん
家読推進プロジェクト代表、子ども司書推進プロジェクト顧問、朝の読書推進協議会名誉顧問。編集者。1995年「朝の読書」を提唱した千葉県の高校教師と朝の読書推進協議会を発足し、「朝の読書」の全国運動を始める。2006年「朝の読書」の家庭版として家族ふれあい読書「家読」(うちどく)」運動を企画・提唱。全国の教育委員会・図書館・学校関係者らと「家読」「子ども司書制度」の普及に取り組んでいる。世界で唯一の家読専門サイト「うちどく.com」を運営。
家読専門サイト「うちどく.com」

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

※2017年6月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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