漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

お仕事体験プロデューサーが登壇! 子どもたちのお仕事体験で漁村を活性化していく【シンポジウムレポート】

「漁村に『泊まる』で朝から晩まで地元を満喫」をテーマとしたシンポジウムに弊社・アクトインディ株式会社のお仕事プロデューサー・上野佑一朗が登壇しました。海のお仕事体験「こどもわーく」と、小学校向けの漁港を活用した海洋学習プログラムについて語った講演の内容をレポートします。

都市と漁村の交流の可能性とあり方を考えるシンポジウム

都市漁村交流推進協議会では、都市と漁村の交流活動を推進するために、方策や課題、効果について考える場を提供しています。このため、会員だけでなく、都市漁村交流に興味がある多くの方々が参加できるシンポジウムを開催しています。

今回のシンポジウムである「トーク&トーク:まちに元気を!~全国発、まちおこしに向けた都市漁村交流の可能性とあり方を探る」では、「漁村に『泊まる』で朝から晩まで地元を満喫」がテーマ。

アクトインディ株式会社上野の講演のほか、水産庁計画課利用調整班の剣崎課長の情報提供や、魚津漁業協同組合 代表理事組合長の濱住博之氏による「渚泊魚津丸の現状とこれからの展望」 講演、一般社団法人Calm Style 代表理事で宮城県石巻市にある渚泊Station【おがつたび】を運営されている運営の「雄勝町での渚泊の取組」についての講演が行われました。

「漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

アクトインディ株式会社は、お出かけ情報サイト「いこーよ」、子育てサイト「未来へいこーよ」を運営しています。ミッションは「次世代に価値を。次の時代を担う子どもたちに少しでも素敵な環境を渡す」ことで、子どもたちに地域の価値やユニークな体験を提供しています。

「漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

上野はアクトインディ株式会社で「お仕事体験プロデューサー」として、全国の子どもたちにさまざまなお仕事体験を企画し、現場の運営にも携わっています。上野自身も5歳の息子と3歳の娘と一緒に、いろいろな海や山、自然での体験を楽しんでいるパパです。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

アクトインディでは、日本財団の「海と日本プロジェクト」と共同で5年間にわたり、海にかかわるお仕事体験プロジェクト「こどもわーく」を実施しています。上野は実際に現場に立つことで子どもたちが成長する場面を生で見てきました

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

100種類以上の産業を観光・体験化し、これまで2000名以上の親子が体験をしました。これらの体験で初めて海に入ったり魚を触ったりした子どもが、参加時間の3時間で海をすっかり好きになってくれたり、別の体験にも参加して「釣りに行ったんだよ!」と教えてくれたり、自分で骨格標本を作って見せてくれたりしたそうです。「子どもたちに体験の機会を与えることで、もっともっと海の未来は明るくなる」ことを上野は事業を通して実感したと語っています。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

共同でお仕事体験を開発する企業との連携も進んでいます。2023年には将来の海洋人材を獲得するため、静岡県にある清水港に展開している複数の企業と協働して「こどもわーくin清水港2023」を実施。2024年はさらに連携事業者数を増やして、子どもたちに清水港やそこで働く企業、人々の魅力を伝えています。体験をきっかけに東京や神奈川などの子どもたちが静岡県に訪れ、その結果、県外の人が清水港を知るい機会になっているという状況が生まれています。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

清水市とだけでなく、神戸市とも海洋人材の育成に関する事業連携協定を締結し、相互に連携・協力した取り組みを推進しています。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

また、2022年4月より足立区との連携を行い、3,000名を超える小学生に「海と自分たちとのつながりを実感」できる海洋学習・体験プログラムを企画・開発しています。

【事例紹介1】漁師さんの家に泊まる体験では「普段通りの仕事」をしてもらう

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

今回のシンポジウムでは「渚泊」がテーマということで、実際に行われた佐渡島の漁村での宿泊体験事例を紹介。単に「漁師体験をしながら泊まる」という形ではなく、「漁師さんと一緒に仕事をする」という形式にしています。

具体的には、朝4時から子供たちが網の準備を手伝い、実際に仕掛けをして魚を捕り、その魚で夕食を一緒に作ります。若手漁師たちは自宅を民泊として提供し、訪れた人々が泊まれるようにしながら、体験を共に作り上げています。

漁師さんに漁業体験の企画を相談した際「子どもたちをもてなさなければならない」と感じたり、口下手でうまく話せないのではないか、気を使いすぎて疲れたりするのではないかと心配の声があがりました。そこで、上野は「仕事」というテーマを掲げ、漁師さんたちには普段通りの仕事をしてもらうことにしました。危険なことがあればしかってもらい、仕事場に子どもたちを迎え入れ、仕事人としての姿勢を見せてほしいと、漁師さんたちには伝えているそうです

「仕事をする」という形で募集をしているため、保護者や子どもたちは教育的な要素を期待して参加してくれます。コロナ禍や校外学習の減少により、親や先生以外の大人と接する機会が減っている中で、漁師の生活を通じて自分の日常とは異なる生活を送る大人に会うことは、子どもにとって記憶に残る貴重な体験となります。実際に体験後も漁師さんたちと手紙のやり取りをするなど、少しずつ縁が生まれ、「また行きたい」と思うきっかけになっています。

漁師さんと寝食をともにする体験をしたことで、自宅に帰ったあとも「じゃあ佐渡島の魚を買おう」というように、必ずしも現地に行かずに緩やかに地域と交流することもできるので、とても魅力的だと思います。上野は「二拠点生活を検討する方もいるかもしれませんが、子どもがいる場合、拠点を移すのは非常に難しいです。しかし、現在の東京一極集中型の生活の中で、さまざまな地域と緩やかなつながりを持ちながら消費を続けることは、一つの地域のあり方としてとても意義があると感じています」と語りました。

【事例紹介2】地域の課題を体験イベントで解決する

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

次に上野が紹介した事例が、佐渡島の切り立った崖の上に位置する集落です。ここには「沢崎祭」という無病息災や村の繁栄を願う祭りがあり、最後には獅子舞が町を練り歩いて海に飛び込むというユニークさが魅力です。

しかし、コロナ禍の影響で祭りを続ける体力が村内になくなり、一度は終了してしまいました。そこで、なぜ沢崎でこの祭りが行われてきたのか、どのような生活が営まれてきたのかを探りながら、旅行者と一緒に祭りを復活させようという企画が立ち上がりました。

宿泊施設がないため、近くの灯台の下にある広いフィールドでキャンプをし、旅行者が祭りの準備から参加することになりました。通常、地域の祭りの神事に外部の人が参加するのは難しいのですが、村の存続のために古い慣習を見直し、旅行者にも準備から参加してもらうことにしました。最後には、子どもたちも獅子舞に参加し、村の人々と一緒に食事をしながら祭りを盛り上げる体験をしました。

この企画には海外からの参加者もおり、地域の方々は「こんなに元気な村を久しぶりに見た」と涙を流して喜んでいました。上野は「このように漁師体験や漁業体験を通じて、地域の歴史や文化を切り口にした魅力的な体験がまだまだたくさんあると感じています。私たちは、そういった体験をもっと発見していきたい」と語りました。

【課題】子どもたちの海離れを体験を通して「自分ゴト化」する

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

子どもたちに漁村に泊まってもらうには、そもそも子どもが海に興味を持ってもらう必要があります。足立区の小学5年生約1900名に行ったアンケートでは、約11%が「海に行ったことがない」と回答。ほかの設問で海の大切さは感じているものの「自分にとって海は身近である」という問いに対しては「とてもあてはまる」と「まあまああてはまる」回答が32%と、海が子どもたちにとって身近ではないことが明らかに。

上野は海に行ったことがない子どもが年々増える傾向にあると語り、「海が子どもたちにとって自分ゴト化するには至ってなく、点と点がつながっていない状態」と考察しています。上野は体験での保護者との会話や、おでかけサイト「いこーよ」のアンケートで「漁業体験はすごくニーズがあるのですが、海に行ってみたいと思う人が減ると体験自体のハードルも上がってしまうのでは」と危惧していました。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

保護者が子どもにどういう体験をさせたいか、というのも重要です。「いこーよ総研」のアンケートでは「子どもの体験参加時に重要視すること」として「子どもの好奇心をくすぐる内容」や「普段の生活や学校では体験できない」「子どもが自分でできて達成感が感じられる」「思いやりや自然の大切さがわかる」体験が上位に。体験を通して得られる価値や子どもの心の成長を重視していることがわかります。

漁村×こども の教育・観光の可能性について ~地域の“当たり前” が、こどもたちの最高の学び場に~」 上野 祐一朗 氏 (アクトインディ株式会社 子育て支援事業部)

さらに、おでかけ先で「体験を検討するときの考え方」のアンケートでは多少値段が高くても「子どもがやりたいことであれば参加したい」や「学びがある体験を子どもにはしてほしい」が7~8割を占めています。また「魅力的な体験に参加したいという理由で、その地域に行ってみようと思ったことがある」も72.8%が「あてはまる・ややあてはまる」と回答。

上野が実際に体験を運営しているときに保護者から聞いた話では「コロナ禍以降に課外授業の機会が変っているので、体験活動にお金を使っている」という方が非常に増えているそう。上野は「世の中にたくさんの体験があるなかで、上記のアンケートをふまえて自分の地域ではどんな体験を押し出していくか、考えるべきタイミングになっているのではないか」と語ります。

最後に、上野は、地域の魅力を発見し、子どもたちに届けることの重要性を述べました。地域のしがらみを超えて新しい価値を創造することが、未来の海洋人材育成につながるとしています。アクトインディ株式会社は、今後もより多くの人々に海の魅力を伝える事業を展開していく予定です。今回の講演は、地域資源を活用した教育的体験の可能性を示すものであり、参加者からも大きな反響をいただきました。

「リアルな仕事」をテーマにしたお仕事体験プログラム「こどもわーく」はこちら!

 

この記事を読んでいる人は「お仕事体験」「自立心」に関するこんな記事も読んでいます
小学生がコンテナターミナルのお仕事を体験!日本財団&静岡市&鈴与株式会社による「静岡の豊かな海を次世代へつなぐために」鼎談レポート
好奇心と自己肯定感を育む! ライフセーバーと体験する海デビューイベントの魅力
魚群探知機やレーダーで世界をリードする古野電気が「見えないものをみる」子ども向け職業体験を実施【いこーよスイッチ企業事例インタビュー】

子どもの好奇心&自己肯定感が育つ! 自然体験が親子に最適な理由
正解のない課題と向き合い「生き抜く力」を育む! 子どもが社長の会社「ジュニアビレッジビジネスプログラム」の人生を変える体験とは?
【未来へいこーよ】が育むココロのスキル(非認知能力)について

SHARE ON
Facebook
Twitter
6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

RELATED ARTICLEあなたにおすすめの記事

  1. キッズフリマ

    キッズフリマに挑戦!「お金」と「自分で考える力」が学べるイベントレポ

  2. 宇宙ってそういうことだったのか!図鑑

    「太陽は燃えていない」など大人も知らなかった宇宙の不思議が楽しくわかる本「宇宙ってそういうことだったのか!図鑑」

  3. 年齢別海遊びの楽しみ方【3歳・4歳・5歳編】

    海でワクワクする体験を!年齢別海遊びの楽しみ方【3歳・4歳・5歳編】

  4. かるたンゴ

    語彙力がぐんぐん伸びる! 小学生におすすめ知育カードゲーム『かるたンゴ』体験レポ

  5. うみ博2025 白石康次郎さん 講演

    夢中になる力が未来をつくる!白石康次郎さんがうみ博で語った「挑戦」のススメ

  6. 未就学児が初めてのカッターに挑戦! 安心して楽しく上達できる「修行」コンテンツとは?

  1. House-shaped sign with Japanese text about disaster prevention; includes child in orange helmet and green Preventive Disaster bubble reading 防災.

    うんちから防災を考える!ネピア「うんち教室」が夏の自由研究向け…

    2026.08.21

  2. カゴメ Beyond

    にんじんが、オレンジの味になる? カゴメ「Beyond」開発者・今井…

    2026.08.13

  3. Barefoot person in a black top pushes a mop along a wooden floor indoors near a doorway.

    「片付けなさい」がいらなくなる? 小学生きょうだいと挑戦した「夏…

    2026.08.10

  4. Close-up of hands opening a pink candy kit, revealing a yellow gel-like candy in a clear plastic tray.

    夏休みのおうち時間にぴったり!作って・食べて・遊んで楽しい知育…

    2026.08.07

  5. Bright blue electric passenger train on tracks under a clear blue sky, overhead power lines above.

    貸切ロマンスカーが1日限定の教室に 9月22日「走るAOiスクール」開…

    2026.08.05

  1. やらない子育て

    「やっぱり辞めたい」と言われたら…習い事は1か月で辞めてもいい?…

  2. 「ラン活」どうやって進めてる? 先輩ママ・パパのランドセル事情を…

  3. 水が苦手な乳幼児必見!自宅で簡単おすすめ水慣れトレーニングを伝授

  4. 自立した子どもになるための やらない子育て

    親がやらなくていいことを教えてくれる本 『やらない子育て』

  5. 【年齢別】図書館司書に聞いた、子どもの「思いやり」を育てるおす…

みらいこSNSをフォロー

子どもの未来を考える子育てサイト「未来へいこーよ」をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む