キッズフリマ

キッズフリマに挑戦!「お金」と「自分で考える力」が学べるイベントレポ

2022年5月8日(日)のゴールデンウィーク最終日に、横浜市青葉台で「キッズフリマ」が開催されました。このフリマでは、子どもが自分で「考えて」、「決めて」、「行動」し、本物のお金で本物の商品を子どもたちだけで売り買いします。親子でいろいろな学びがあったキッズフリマ体験をレポートします!

子どもの自主性に任せて大人は外から見守る

今回我が家は抽選に当たり、3人のお友達と一緒に出店者として参加しました。会場に行くとすでに多くの家族連れが集まっていました。売り物を大きな袋やカートで持ってきている家族の他、当日の買い物参加整理券の列に並んで待っている、お客さんとして来たご家族もいます。どの子ども達の顔も「売るぞ!」「買うぞ!」のドキドキとワクワクが混じった素敵な表情! フリマがスタートする1時間前に受付開始。検温を済ませて、指示されたブース番号の場所にレジャーシートを広げます。受付時に配られたお揃いの赤いエプロンをつけて、子どもたちもすっかり店長の雰囲気に。

我が家は何を出品するかを子どもに任せて当日を迎えていたため、会場で袋から出した娘の売り物が7品しかないことに愕然!せっかく抽選に当たったのに、売るのはこの小さなおもちゃ7品だけ…!?と思わず娘に言ってしまったのですが、娘にとってはどれも大事なおもちゃ。悩んだ挙句にこれなら売ってもいいかも、と決めたのだろうなと思い直しました。周りは多くの品物をシートに並べる家族がいっぱい。娘も自分の品数が他の店と比べて圧倒的に少ないことに驚いていましたが、これもすべて、いい経験になるはず…。 保護者は、開始前に品物を並べたり、お金の準備をしたりなどは手伝えますが、売買開始の20分前になるとフリマスペースからは出なくてはなりません。フリマスペースの中と外を仕切る壁にも「成長見守りライン」という看板が立てかけられており、保護者はスペースの外から売り方などの指示はせず、子どもの自主性に任せることになっています。

スペース内は子どもだけになり、まずはあいさつや売り方、お釣り、収支計算シートなどについて、スタッフからレクチャーを受けます。

恥ずかしそうにしていた子どもたちも次第に売り買いが活発に!

そして、いよいよ、スタッフのカウントダウンの掛け声とともにキッズフリマスタート!買い物をする子どもも保護者の付き添いはなしで、子どもだけで買い物をします。中には小さい未就学児の兄弟と手をつないで入ってくる3年生くらいの子もいて微笑ましい…。そして、買う側の保護者も「値下げ交渉してみて」「あの店のあれを買ったら?」などの指示を外からしないことになっています。

最初は売る側も買う側も、気恥ずかしそうでなかなか買い物が進まない様子でしたが、次第にあちこちで品物を手に取って値段を聞いたり、「フィギュアがあるよ!」と声をかけたりする姿が見られるようになりました。娘も途中から、カプセルの中に入っているおもちゃは開けて見せないと買う人は中身がわからないことに気付いたようで、自ら中のおもちゃを出して売り始めました。ちゃんとキッズフリマのコンセプト通り「自分で考えて自分で行動」し始めている…! 売れたら事前に配られた収支計算シートに何がいくらで売れたのかを自分で記録をつけて、お金も品物も子どもが管理します。

スペースの外で見守ることになっている保護者も、見ているうちに「もっと声をかければいいのに!」「ほら、品物を手に取っている子に薦めてみたら?」など、ついついサインを送ってしまいそうになります。私も一度だけ、やきもきして「値下げしてでも売っちゃって~!」と声をかけてしまったのですが、「そうだ、子どもの行動を見守るように言われていたのだった!」と我に返り、そこからはあれこれ外から指示をするのを必死で我慢しました。 フリマ時間は1時間で、その間3回に分けてお客さんが入れ替わります。入れ替わり時間の少し前になるとスタッフから「あと1分ですよー」などの声がかかります。残り時間が少ないとわかると値下げし始める子どもや買うのを迷っていたけれどやはり買おうと店に駆け込みで戻ってくる子どももいました。売る側も時間内に他の店に買いに行っていいことになっているので、娘もお客さんがいない隙間時間で、始まる前から目星をつけていたシルバニアグッズやプーさんのぬいぐるみを急いで買っていました。

収支計算や工夫したことなどの振り返りもします

あっという間に1時間が経ち、フリマ終了!娘は出品7点中3点を売り、少ないながらもとてもうれしそう。一緒に出店したお友達のうちの一人は25点売れた様子です。

最後に収支計算シートに売った金額と買いものをした金額を計算して記入し、利益がどのくらいだったのかを書き込みます。娘の場合は、収入170円-支出660円(出店料と買い物した金額の合計)=利益マイナス490円。記入して初めて、「あれ!マイナス!?」と気づく娘。そうです、支出の方が多くなっています。今気づきましたか…。自分でその場で計算させる収支計算シートでリアルにお金のことが学べて、なかなかうまくできていると感じました。 ちなみに25点売り上げたお友達は、稼いだお金で買い物をするのがモチベーションだったとのことで、売り上げたお金の範囲で豪快にその場で買い物もし、とても満足感が高かったそうです。自分で稼いで自分でその範囲内で使うというのは、まさに家計そのものですよね。

フリマに参加した感想を書くシートもあり、工夫したこと、発見したことなどの振り返りもします。娘は「ねだんを安くしたり、遊び方を説明しながら売ったりすることを工夫した」「お金のきちょうさ(貴重さ)が分かった」「他のお店で買えて楽しかった」と書いていました。 一緒に参加したほかのお友達たちは、「声掛けが難しかった」「お客さんが買いに来てくれた時は楽しかったけど、自分が買う方が好きだな…」など、いろいろなことを感じたようです。

子どもの自主性に任せることを大切にしているキッズフリマ

今回参加したキッズフリマを主催しているNPO法人キッズフリマにキッズフリマの目的や参加者からのお声などについて伺ってみました。

未来へいこーよ:キッズフリマを開催している目的について教えてください。
キッズフリマ:日本の地域によるお金の教育格差を無くしていきたいと思っています。多くの体験型の教育コンテンツは首都圏に集中しており参加費などのハードルが高く、多くの子ども、特に地方の子どもたちは参加が難しなっていますが、キッズフリマは地方の商業施設を中心に展開しているので、移動遊園地の様にどんな場所でも訪問しての開催が可能です。

未来へいこーよ:キッズフリマを通して子どもの自主性を育んでいきたいと思われて運営されている背景や理由などを教えてください。
キッズフリマ:お金に対してどこかネガティブな日本を、子どもたちの世代から変えていきたいと思っています。子どものころから、自分で考えて自分でお金を使う経験を積むことで、お金に対して、商売に対して自然と前向きな姿勢が身につくと考えています。

未来へいこーよ:今まで参加したご家族からはどんなご感想やご意見がきますか?
キッズフリマ:出店をされたお子様の保護者の方からは、
・恥ずかしがって声も出せないし、お客さんともうまく話せていなくて心配だったが、次第に接客や価格設定などを独自で努力して、ものが売れた時に成長を感じた
・一連の流れを通して、物の価値や大切に使ってリユースできるようにすることが環境のためにもなることを理解できたようです。緊張しやすい子ですが、やってみたいというのでチャレンジさせてみましたが、1人でお店ができたということが自信にもつながったようです。
お金の大切さや100円の価値などを学べることと、リサイクルをすることでエコにつながるという勉強になった
本当のお金を使うことで勉強になった。 使用頻度が少ない物を売って喜びを感じる事ができた。
といったお声をいただいています。

また、お買い物をされたお子様の保護者の方からは、
・何も考えずにバンバン買ってしまうと思っていたが、意外と効率的に予算を考えて買い物をしていて、成長を感じた
・とても生き生きと自分で買い物をしている姿を見て感動した
といったお声をいただいています。

今回参加してみて、意識しないと「子どもの自主性に任せて見守る」のが難しいなと痛感しました。キッズフリマの目的は、品物を売り切ることでも、高値で売って儲けることでもなく、スタッフの方の説明の通り「子どもが自分で考え、自分で決めて、自分で行動する」ことを見守り、子どもの自主性を伸ばすことのはずです。頭ではわかっているつもりでも、ついつい「こうすればいいのに」「それじゃ売れないよ」などとあれこれ指示しようとしてしまいます…。普段の生活でも良かれと思って子どもに先回りをして指示してしまっているのだろうな、それが子どもの自主性を妨げてしまっているかもしれないな、と改めて考えさせられました。 娘にとっても多くの学びがあり、お金の収支や、物が売れる楽しさを体験できたようです。「次回はもっと売るものを出せるように今からためておく!」と断捨離の意識にも目覚めた様子。今回はお客さんへの声掛けやお金のやりとりだけで精一杯な娘でしたが、次回参加する時は、どうやったら黒字になるかなど売るための工夫を考えることにもチャレンジしてくれたらすてきだなと思いました。

お話を伺ったのは…NPO法人キッズフリマ

児童に対して環境と経済の実践的な体験してもらうことを通じて、未来の社会に貢献することを目指して運営。
キッズフリマのイベント日程や詳細情報はこちら


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中学受験を経験した辞典体質の高1息子とダンスに夢中な和み系の小5娘の子育て中。仕事モードと同じく、効率とマルチタスクを家族にもつい求めてしまうことを時々反省している。稀に見るほどの方向音痴。日記を毎日書かないと落ち着かないため、いつでも持ち歩いている。

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