小学生がお菓子メーカーの研究員をお仕事体験! あめりか芋のスイーツづくりで味覚評価に挑戦

「未来へいこーよ」では、森永製菓の研究員さんを講師に招き「お菓子の研究員のお仕事体験」イベントを株式会社SEE THE SUNと共同で実施しました。新島の特産品「新島あめりか芋」を使い、米麹(こめこうじ)の働きによって芋の味や食感の変化をまとめて分析。さらに森永製菓の新作スイーツも堪能したイベントの模様をレポートします。

森永製菓の研究員と「あめりか芋の甘さを引き出す」実験

今回のイベントは「未来へいこーよ」と森永製菓の関連会社である「株式会社SEE THE SUN」と共同で行われたものです。会場は株式会社SEE THE SUNの葉山オフィス。古民家を改装した大きな木や畑などもある庭付きの場所で、参加者たちも通常のイベントとは違う雰囲気を楽しんでいました。 株式会社SEE THE SUN 参加したのは「いこーよ体験モニタークラブ」に登録しているモニターさんのご家族5組です。「将来、お菓子の研究員になりたくて、日ごろから料理をしながら分量を変えて固さや味を調整している」というお子さんや「パティシエに憧れている」という子、「実験や料理、お菓子作りが大好き」というお子さんが参加されました。

今回の講師は森永製菓で研究員として働いている鈴木みくさんです。森永製菓に入社後、チョコレートやキャラメルの研究・開発を担当。途中女の子の出産を経て、復帰後研究員の仕事を再開しています。 明治製菓 研究員 鈴木みくさん 研究員のお仕事体験は、まず東京都新島村の特産「あめりか芋(サツマイモの一種)」に米麹を混ぜて「糖化(とうか)」させます。麹菌の働きでサツマイモが甘くなったり、食感が変わってきます。今回のイベントでは、以下の4つのサンプルを試食します。一部を除いて焼きたてのあめりか芋を自分たちでむくところからスタートです。

  • 焼きたてのあめりか芋
  • 米麹を加えたあめりか芋
  • 米麹を加えて1時間保温したもの
  • 米麴を加えて6時間保温したもの(事前に作ったものを用意)

まずは焼きたてのあめりか芋の皮を手袋をつけた手でむいていきます。皮むき器を使わずに向いていくのは、最初は難しそうですが徐々に慣れてスムーズに!

森永製菓 あめりか芋 お菓子メーカー 研究員 イベント

「研究員」ということで、参加者は白衣を着ていただきました。

続いて、焼き芋をつぶしてペースト状にします。短時間でペーストにするのは難しく、大人が手伝うケースもありましたが、全体的には子どもたちだけで進行していきます。 ペースト状になった芋の重量を計ったり、あめりか芋と米麹を混ぜたりしたあと、米麹の糖化が進むように一定温度で1時間温める設定にして準備は完了です。 あめりか芋 お菓子メーカー 研究員 職業体験

新島の特産「あめりか芋」とは?

米麹があめりか芋の糖化反応が進んでいる1時間の間に、まずは焼きたてのあめりか芋を食べながら「あめりか芋」について学びます。今回使用したのは新島で採れた「あめりか芋」です。一般的に流通している芋よりも、やや小さめで丸く、皮が白いのが特徴です。 あめりか芋 「未来へいこーよ」では記事やイベントなどで「好奇心」や「想像力」を育む取り組みをしています。このイベントでも「新島で採れたあめりか芋」という言葉を聞いて、参加者から「なんで、あめりか芋と呼ばれているの?」「新島で採れるのはなぜ?」「どんな味がするの?」という疑問がいくつも出てきました。そんな疑問に答えるべく、あめりか芋について少し学ぶ時間を設けました。

「あめりか芋」と呼ばれている理由
あめりか芋が世界に流通したきっかけは、コロンブスがアメリカ大陸を発見したことにありました。大陸で栽培されていたジャガイモやサツマイモ、トウモロコシなどがヨーロッパで栽培されるようになり、その1つに白くて丸い芋があったのです。イタリアでそれを気に入って食べていたある農家が、アメリカに移住する際に逆輸入のような形で持ち込み、さらに、この農家のもとに行った日本人が芋を気に入って日本に持ち帰ったことから「あめりか芋」という名前で呼ばれるようになりました。

芋を持ち帰った日本人の久保田さんが「七福」と名付けたのですが、その名前よりも「あめりか芋」という呼び名のほうがわかりやすかっため、そのまま定着。ただし、品種名は「あめりか芋」ではなく「七福」となっています。大正時代か昭和の初めごろに、新島で作られるようになったと言われています。

あめりか芋 ルーツ

「あめりか芋」が新島で採れる理由は?
新島は砂が多い土地で稲が栽培できなかったため、あめりか芋を試しに植えてみると痩せた土地でも実をつけることがわかり、昭和30年ごろまでは新島の主食は、あめりか芋と麦でした。あめりか芋は貯蔵できるのも特徴で、秋に収穫したものを麦が収穫できる翌年の5月ごろまで貯蔵して食べていました。そのため、新島には「芋穴」と言われる穴が床下に作られていて、今でも使っている家庭があるそうです。

「あめりか芋」の味は?
あめりか芋は収穫直後はホクホクとした「粉質」で、貯蔵すると密芋のようになる「粘質」に変わってきます。収穫したばかりのものと貯蔵後のもので味の違いが楽しめるのも、あめりか芋の魅力です。

研究員のお仕事クイズや質問コーナーも!

あめりか芋について学んだあとは、お菓子の研究員がどんなことを考え、どんなお仕事をするかをクイズ形式で学びます。最初のクイズは「お菓子を作る仕事ってどんな仕事?」という問題。その答えは「『こんなお菓子、あったらいいな』を叶える仕事」「たくさんの人に『おいしい! うれしい! 幸せ!』を届ける仕事」でした。たくさんの人に幸せを届けることができる仕事なんて、本当に素敵ですよね! 森永製菓 あめりか芋 お菓子メーカー 研究員 イベント さらに研究員の仕事は「どんなことをしているの?」というクイズでは「どんなお菓子があったらいいかを考える」以外にも「誰に届けたいかを考える」「実験をする」「お菓子の味を決める」「お菓子を食べる」「たくさんのお菓子を作れるようにする」のも「研究員のお仕事」として紹介されました。

特に最後の「たくさんのお菓子を作れるようにする」というのは、一見すると研究員が考えなくてもいいように思われがちですが、とても大切な仕事です。お菓子メーカーのお菓子は、スーパーやコンビニなどでたくさんの人たちの手元に届けられるようにするのがゴールの1つ。そのためには「どうやってたくさん作るか」を考えることは、新しいお菓子を作ることに必要な条件なんですね。 さらに、そのあとの質問コーナーでは「どんな大学を出たらいいの?」や「研究員になって一番テンションが上がったこと」など、ここでしか聞けない話を聞くことができました。

でんぷんを分解(=糖化)すると甘くなることを学ぶ

今回のお仕事体験では、あめりか芋に多く含まれるでんぷんを、米麴で分解していきます。でんぷんは分解されると、デキストリンや麦芽糖、ぶどう糖のように小さくなり、小さくなるほど甘くなって体の中に取り込まれやすくなります。「ぶどう糖とでんぷんの大きさはどれくらい?」などをクイズ形式で学んでいきました。

このクイズのあと、実際にでんぷんや麦芽糖、ぶどう糖を食べ比べしました。見た目はどれも白い粉…ですが、食べ比べてみると甘さがまったく違うことがよくわかります。イベントではでんぷんを分解する存在を「ハサミ」に例えて説明していましたが、その「ハサミ」を作り出すもののひとつが米麹に含まれる「麹菌」です。麹菌は醤油や日本酒、味噌など日本の発酵食品に多く含まれているもの。「麹菌」自体は耳なじみがない子どもたちも、自分たちが普段食べている食べ物に含まれていることを知ってかなり驚いていました。

研究シートに味の違いを分析

クイズや質問コーナーなどで「ハサミ」となる麹菌の働きを学んだところで、実際に糖化をさせた「あめりか芋」のペーストを実食し、味の違いをシートに書きこみます。子どもたちは、もうすっかり研究員の顔になっています。

研究シートには、それぞれのペーストを食べた感想を「評価」として記入します。「甘さ」「蜜っぽさ」「ほくほく感」「発酵感」「焼き芋感」の5項目を5段階で評価して、グラフ化していきます。糖化によって甘さが変わるだけでなく、甘酒のような匂いが出てきたり、食感も変わっていくため、そこも評価に含まれます。 森永製菓 あめりか芋 お菓子メーカー 研究員 イベント 分解が進むのは時間だけでなく温度も重要。ただ混ぜただけだとあまり糖化が進まず、麹菌が作り出した酵素(ハサミ)が活動しやすい50~60℃くらいの温度にすると糖化しやすくなります。子ども研究員のみなさんは、一度食べたペーストをもう一度食べてみたり、考え込みながらシートを記入したりと、真剣そのものでした。 あめりか芋 お菓子メーカー 研究員 イベント

サツマイモと芋麹で作った新スイーツ「日常芋飯事」を試食&分析!

今回のイベントでは、森永製菓の研究員である鈴木さんが開発した「日常芋飯事(にちじょういもはんじ)」の試食も! 鈴木さんは作るだけでなくお菓子を食べることも大好きだったのですが、育児中に乳腺炎になりかけたときに「おやつは、おにぎりかさつまいもにしてね」と言われ、それなら「さつまいもの素材感あふれる、スイーツとしても安心して満足できるお菓子を作ろう」と一念発起して作られたスイーツです。そんな自分の生活経験がお菓子作りに活きてくるというのも、お菓子の研究員の仕事のだいご味ですね! 日常芋飯事 スライド 開発にあたっては、同じような悩みや「スイーツでほっくりとした時間を過ごしたい」という想いを持った人と一緒に、試作品を食べ比べたり、開発者側の想いを共有したりしながら試行錯誤をしたそうです。デザインや商品名も生活者のみなさんと決めるという共同開発プロジェクトから「日常芋飯事」は誕生しました。日常芋飯事 スライド 「日常芋飯事」にはイベント前半で学んだ麹のはたらきを活かしたスイーツです。芋麹を使って鹿児島県産の焼き芋の甘さを引き出し、できるだけシンプルに作った冷凍スイーツ。芋麹の量や働いた時間によって甘さや食感等の味の感じ方が大きく変わり、商品ラインナップの中には、味の違いを「ほっ」「どきどき」「ふふふ」「うっとり」などのオノマトペで表現した4種類のカップセットがあります。ここでもお菓子の研究員のお仕事を体験。研究シートをもとに、「ふふふ」を基準にほかの味がどう違うかを記入していきました。 日常芋飯事 参加した家族全員で試食していると「こっちのほうが甘い」「こっちが好き」「食感が全然違う」などの声が聞こえてきました。研究シートでは「ふふふ」を基準に「香り」「甘み」「食感」「総合的な好ましさ」で比較し、自分が好きなサンプルを選びます。 最後に、鈴木さんからお仕事体験の参加者に出された質問は「このおやつを、誰に届けたい?」「どんな気持ちになってほしい?」というものでした。そこを考えることがお菓子の研究員として鈴木さんが最も大切にしていることで、鈴木さんの熱い想いが伝わってきます。将来、お菓子の研究員を目指す人はもちろん、いろいろな仕事にも当てはまる考え方ですね。

鈴木みくさんの日常芋飯事は、「アワーテラスの放課後」という会員制サイトで食べる方とも一緒に創っていることが特徴で、みくさんは「日常芋飯事」をもっとよいものにするためにみなさんと一緒に育てたいと思っています。そのほか「アワーテラスの放課後」では、鈴木みくさんから開発の相談やアイデア出し、毎日の出来事の報告など、さまざまな情報が満載です! 日常芋飯事の「これから」創りに参加されたい方は、ぜひアワーテラスの放課後に遊びにいってみてください。

アワーテラスの放課後公式サイト

「日常芋飯事」については「エンゼルPLUS」にもブログ形式で開発の様子が書かれています。

日常芋飯事の裏側を詳しく知りたい人はこちら

また、「日常芋飯事」のクラウドファンディング事業は、会場となった森永製菓の関連会社「株式会社SEE THE SUN」が行っています。株式会社SEE THE SUNは料理を作ったり食べる人はもちろん、生産する人、食材を運ぶ人などを含めた「テーブルを作るすべての人を幸せに~食べる人も、作る人も~」をテーマとした会社です。SEE THE SUN  紹介

お仕事体験で子どもの知的好奇心や想像力を広げるきっかけに!

今回のイベントでは、お菓子メーカーの研究員のお仕事を通して、今まで知らなかった「あめりか芋」の存在を知ってもらったり、研究員がどんなことを大切に考えて仕事をしているかなど、日常生活では得ることが難しい知識や体験を盛り込みました。

参加したみなさんが「これってどうなっているんだろう?」と思うきっかけになったり、普段何気なく食べているお菓子や食べ物について調べてみるきっかけになったら、イベントを主催した側としてはとてもうれしいことです。

また、今回のイベントだけでなく、今後も「あめりか芋」の魅力を発信していく予定ですのでお楽しみに! これからも、「未来へいこーよ」では今後も子どもの知的好奇心や想像力、やりぬく力などを育むイベントを開催したり、レポートを掲載していきます。

お話を伺ったのは…鈴木みくさん 2012年に森永製菓に入社、チョコレートやキャラメル、ハイチュウの研究・開発を担当。2017年に女の子を出産し、2019年から研究員の仕事を再開。研究所 未来価値創造センターに所属し、日常芋飯事のほか、東京ピーナッツマニア、チョコレート製品などの開発に従事している。

【取材企業紹介】株式会社SEE THE SUN

株式会社SEE THE SUN森永製菓の子会社で「テーブルを創るすべての人を幸せに」がテーマ。サービスの一つである会員制コミュニケーションスペース「アワーテラスの放課後」は、学生時代の放課後に遊びに行った友だちの家や遊び場のような空間をイメージしていて、「好奇心」と「想像力」をテーマに、まさかの出来事や、人との違い、変化も楽しみながら、いろんな立場や境遇の人と一緒に、ブログやSNSのようなコミュニケーションをしながら、さまざまなモノやコトに触れていきます。本イベントでも登場した日常芋飯事の開発秘話や共同開発ができるコーナーがあったり、子育ての「まさか」を共有したり、お子さまと一緒に創発できるワークショップなど、さまざまなイベントを会員価格で参加可能です。

くわしくはアワーテラスの放課後公式サイトまで
SEE THE SUN公式サイト

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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