将来の選択肢を広げるためにも、子どもの学力アップを望む親は多いもの。学力を伸ばすためには子どもの知的好奇心を育むことが大切だと語るのは、脳医学者で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授。さらに学力を向上させることは、子どものソーシャルスキルなど非認知能力を伸ばすことにも繋がるとのこと。

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授 Photo:Yoshinori Kurosawa
そこで今回は、脳の研究の第一人者として知られる瀧教授に、16万人の脳画像の研究からわかった脳の成長の仕組みや子どもの好奇心の伸ばし方など、子どもを伸ばす子育てのコツを教えてもらいました。
【子どもの「好奇心の育て方」特集】
Part1 伸びる子どもの共通点とは?(この記事)
Part2 好奇心を育む「自然体験」
Part3 年齢別「好奇心」の育て方
Part4 小学生が身につけるべきスキルとは?
好奇心が高いと記憶力が上がる!?
未来:学力を伸ばすために、子どもの知的好奇心を育むことが大切だというのはなぜでしょうか?
「まず、好奇心が高ければ高いほど、集中力や情報処理能力は上がるということが研究により証明されています。また、物事に対しておもしろいと感じる好奇心は、探究心に繋がります。なにかについてもっと知りたいという気持ちが、さらなる知識を得たいという気持ちを生み、自然と学力にも繋がります」
「また、脳科学的には、好奇心が高いと記憶力が上がることもわかっています。記憶に関わる脳の領域(海馬)と、感情に関わる領域(扁桃体)は隣同士にあり、記憶と感情は密接に関係します。つまり、楽しくワクワクした気持ちで取り組むと記憶力が上がるので、結果として学力が伸びるのです。反対に嫌々やった場合は記憶力も下がるので身につきません」
未来:物事をもっと知りたいという好奇心が探究心を生み、知識を得ることを楽しいと感じることで記憶力も上がるので、それが自然と学力に結びつくということですね。
「その通りです。学力を伸ばすことは、将来の職業選択の幅を広げることに繋がるのでとても重要ですが、もっと大切なことは学力と非認知能力は相関するということです。勉強ができると褒められる機会が増え、子どもの自尊感情が高まります。自信を持って物事に取り組めるようになると、さらに学力は上がります。学力と非認知能力はこうして相関しながら、交互に伸びていくのです」
「このように知的好奇心は、社会の中で他人と交わり共に生活していくために必要なソーシャルスキルや精神面の健康に非常にプラスに働くということからも、子どもの好奇心を育むことは重要だと言えます」