前回の記事では、脳医学者で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に、子どもの学力やソーシャルスキルを伸ばすには「知的好奇心」が大切で、それを高めるには親子で「熱中」できる体験を見つけることがおすすめだと教えて頂きました。

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授 Photo:Yoshinori Kurosawa
今回は、知的好奇心を育むために重要な「熱中体験」について、具体的なおすすめやメリットなど、さらに掘り下げてお話を伺いました。
【子どもの「好奇心の育て方」特集】
Part1 伸びる子どもの共通点とは?
Part2 好奇心を育む「自然体験」 (この記事)
Part3 年齢別「好奇心」の育て方
Part4 小学生が身につけるべきスキルとは?
経験することがなにより大切!
未来:前回、子どもが熱中体験をするには、親が無理矢理やらせるのではなく、子どもがその体験にハマりやすい環境を作ってあげることが大切だと教えて頂きました。とはいえ、さまざまな体験の機会や環境を用意しても、子どもがとくに関心を示さない場合もあると思います。そのようなときは、どうすればよいのでしょうか。
「子どもが何かに熱中する様子がなくても心配する必要はありません。それは子ども自身がハマるものにまだ出会っていないだけで、いつか必ず琴線に触れるものに出会います。ですから、親はその機会や環境をただ与え続けるだけでいいのです」
「また、とくにハマっていないように見えても、あとになって突然興味関心が湧いてくることもあります。頭の中に蒔いた種は、すぐに芽を出すこともあれば、10年後20年後になって出てくることもあります。大切なのは、種を蒔いて水をやり続けること。芽が出る環境さえ与え続けていれば、いつか必ず何かに興味を持つときがきます」
未来:子どもがやりたいと始めた習い事にハマらずやめてしまうと、無駄だったと感じることがあるのですが、それも無駄ではないということでしょうか?
「もちろんです。ピアノやサッカーなど色々なことをやってみて、すぐにやめてしまったとしても無駄にはなりません。何カ月後なのか、何年後なのかはわかりませんが、過去の体験はいつかどこかで開花します。そして、それが次に何かを始めるきっかけに繋がったりします」
未来:熱中するまで至らなかった経験も、子どもの将来に役立つということですね。
「はい、なぜなら0と1の差は無限大だからです。1回でも経験していることは必ず頭に残ります。経験があるのとないのとでは全く違うのです。将来また興味を持ったときにも、一度経験していることは、全く経験がないことよりも始めやすいですよね。だからこそ、まずは経験してみるということがとても大切なのです」