出しっぱなし、散らかしっぱなし、遊びっぱなし…そんな「ぱなしくん」のようなお子さんに読ませたい! 今回は子どもが「自分から片づける」きっかけをくれる絵本「ぱなしくん(著:柴田ケイコ、発行:PHP研究所)」を紹介します。(PHP研究所から献本いただきました)
「ぱなしくん」のモデルは作者の息子さん
「ぱなしくん」の作者・柴田ケイコさんの息子さんはブロック遊びが大好き。でも遊んだあとも出しっぱなしなので、当時のケイコさんは片づけに時間をとられていて大変でした。苦労している中で「この日常を描きたい」と考えたのが「ぱなしくん」誕生のきっかけです。
ちなみにケイコさんご自身も片づけが苦手…。だからこそ「ぱなしくん」には「お片付けしなさい」というお説教ではなく、「ぱなしくんだと、ちょっと困るときがくるよ」「お片付けって難しくないんだよ」というメッセージが込められています。
散らかっている状態を可視化することで片づけるきっかけに
物語の主人公「ぱなしくん」は、脱いだパジャマはぬぎっぱなしで、遊んだおもちゃも出しっぱなし、読んだ絵本は開きっぱなし、髪の毛も伸ばしっぱなし男の子。でも、ある日の夜、ぱなしくんのところに「ベタベタようかい」や「むわむわようかい」「ほこりようかい」「ごちゃごちゃおばけ」が現れ、ぱなしくんはとても困ってしまいます。汚れのベタベタやホコリ、ごちゃごちゃした場所の不快さが妖怪やお化けとして可視化されることで、子どもにも「片づけ」の意義が伝わりやすい内容になっています。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
我が家にも6歳の息子がいて、毎日散らかしています。そのくせ、片づけはなかなかしないんです。だから、ぱなしくんの部屋を見たときに「これは我が家かっ⁉」と一瞬錯覚しかけましたが、さすがにここまでひどくありません(笑)。
作者の柴田ケイコさんは「しろくま」シリーズ(PHP研究所)や「パンどろぼう」シリーズ(KADOKAWA)などでも知られる人気の絵本作家さん。絵本の序盤では散らかっている部屋が出てきますが、おもちゃやお菓子、人形などがかわいくて色使いもカラフル! おもちゃ箱をひっくり返したようなワクワク感があって、むしろ「散らかっている部屋って楽しそう!」という雰囲気すら感じました(笑)。
ところが、中盤以降に出てくる「ようかい」や「おばけ」は暗い色を使って、ベタベタした感じや汚れ具合を再現していて、大人が見てもドン引きするレベルなのです。おもちゃや人形の細かいかわいらしさとは対照的に、迫力があってスゴ味すら感じられるギャップがスゴイ!
でも、自分の子ども時代を振り返ると、子どもの頃って、ベタベタ汚れや不快な臭いってあまり意識することがなかったと思うんです。取り返しがつかない状態になる前に、周りの大人が掃除したり片づけてくれたからなんでしょうけど。だから「ぱなしくん」では「ようかい」や「おばけ」で「片づけないことで生じるイヤなこと」を子どもでもイメージできる形にして、そういう存在に気づくきっかけを与えているのが狙いなのでは? と感じました。
なので、ご自宅のお子さんをよ~く観察してみて「むわむわようかい」や「ほこりようかい」「ごちゃごちゃおばけ」がまだ見えていないようでしたら、ぜひ読み聞かせてあげたい絵本だと思います。
かくいう僕自身も片づけは苦手です。我が家では「最近お気に入りのおもちゃ」を入れる専用の箱を用意して、片付けの時間になったら一緒にポンポン入れるというシンプルなルールにしたら、息子も一緒に片づけてくれるようになりました(それでも遊びが終わるのがイヤなので、グズりながらですけど)。
お子さんが片づけするようになってきたら「楽しく片づける」「簡単にする」方法を大人と一緒に考えさせると「ぱなしくん」を卒業しやすいかもしれません。我が家もまだまだ親子そろって「ぱなしくん」ですが、息子と一緒に「ようかい」や「おばけ」をやっつけて成長していきたいです(笑)(KAZ)
ぱなしくん
本体1,540円(税込)、著:柴田ケイコ、発行:PHP研究所
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