お出かけは子どもの好奇心を刺激し、子どもが「好きなこと」や「オモシロイ!」と感じることを見つける絶好のチャンスです。子どもがワクワクして好奇心が高まるような「いこーよ好き育メソッド」式お出かけの楽しみ方をご紹介します!(※いこーよ好き育メソッドはいこーよ子どもの未来と生きる力研究所が提案する子どもの成長ステージに合わせた体験メソッドです)
今回は「動物園編」。この記事は小学校高学年である10歳、11歳、12歳歳のお子さんに向けて動物園に「行く前」、「行ったとき」、「行った後」の3ステップでやってみてほしいことを「上野動物園の動物解説員の小泉祐里さん」にアドバイスをいただきまとめたものです(おすすめの本は小泉さんのお話を伺った編集部で独自に選定したものです)
「10~12歳」の動物園に行く前に読むおすすめの本を紹介!
●動物の特徴や動物園のお仕事に注目してみよう!
「小学校高学年になると、動物が持っている特徴が、生き残るために進化してきたものであることを理解してきますので、そういった動物の特徴が学べる本が事前学習におすすめです。また、小学生に授業を行うとよく『飼育員さんになるにはどうしたらいいですか?』と聞かれますが、じつは飼育以外にも動物園に携わる仕事がいっぱいあるので、動物園に行ったときにそこで働く人々にも注目してほしいです(小泉さん)」。そこで編集部で動物園に行く前に動物や動物園でのお仕事について学べる本をセレクトしました。
ゾウは足音を立てずに歩く どうぶつ「生きかた図鑑」(双葉社)
上野動物園の動物解説員、小泉祐里さんが書いた本で、動物園で実際に観察できることを題材にして、動物たちのユニークで驚くべき能力や生態について解説している本です。タイトルの「ゾウは足音を立てずに歩く」は、ズシンズシンと歩きそうなイメージに反して、実際のゾウは静かに歩くことから。動物園でぜひ確認してみたいですね。ほかにはキリンのほうが大きいのにシマウマよりもフンが小さいことと、その理由や、シマウマの縞模様には虫よけの効果があるなど、動物園に行って自分の目で確かめたくなる内容が満載です。

著:小泉祐里
理系の職場(8)上野動物園のしごと(同友館)
上野動物園で働く理系の職員たちの仕事を紹介する本です。飼育展示係や獣医師などがどのように動物たちの健康管理や生態研究を行っているかが詳しく描かれています。例えば獣医師は動物の健康状態をチェックして病気やケガを治療し、飼育展示係は動物の世話をしながら行動や生態を観察して、さらには絶滅危惧種の繁殖プログラムを計画・実行して遺伝的多様性を保つための研究をしているなど動物園の運営における理系職の重要性や、日々の業務のやりがい、課題についても触れられており、理系の職場としての動物園の魅力が伝わる一冊です。また、動物収集の指揮をとる調整係や、動物や来園者の安全性を守ったり樹木の管理をする施設係など、来園時に気づきにくい職業についても触れられているのも魅力です。

編:こどもくらぶ
「10~12歳」におすすめの動物園での楽しみ方
●焦点を絞って複数の動物を比較し、動物の特徴や行動の理由を考察する
「小学校高学年になってくると、複数の動物を比較して違いを見つけたりしやすくなります。動物全体を比べてもいいのですが、おすすめは『焦点を絞る』ことです。どこでもいいんですけど、行く前に自分で脚や尻尾、ツノなど『今日はココを見よう』というテーマを決めます。例えば尻尾は長かったり、短かったり、毛がフサフサだったりと動物によって違いますし、それらを比べていくと、使い方による共通点なども見つかってくると思います(小泉さん)」。

パーツを観察したいときは双眼鏡を使うと便利です。パーツが大きく見えるのはもちろん、それ以外のところが見えないので集中できるのもメリット。 画像:PIXTA
テーマを見つけるには「まずは自分の好きな動物でどこがスゴイかを探してみましょう。あるいは、1つ目の動物の中で『大きいところ』や『長いところ』『よく動かすところ』に注目して、そこをいろいろな動物でも見てみるとおもしろいですよ(小泉さん)」とのこと。1つのポイントをいろいろな動物で比べるという見方があることを知ってから動物園をめぐると、一緒に行く大人も新しい発見がたくさんありそうです。先ほど紹介した小泉さんの著書にもヒントとなる情報がたくさんあるので、行く前に読んでおくとテーマが見つけやすいです。
●動物の写真を集めていくのもOK!
その日に注目するところを決めていき、どんどんスケッチをしていきます。絵が苦手な子は写真を撮っていってもOKです。その際は、まずは注目したポイントをクローズアップした写真、そして、あとで動物の名前がわかるように動物全身の写真と名前もセットで撮りましょう。写真を印刷してノートに貼り付ければ自分だけの動物図鑑のできあがりです。

シロクマが泳いでいるときにどのように手足を動かしているかなど動きがある場面は、写真を撮るほうがあとで見返せるので便利。もちろん、自分の目で観察することも忘れずに。 画像:PIXTA
「10~12歳」におすすめの動物園に行った後の楽しみ方
●動物の動物を見比べて自分だけの動物理論や図鑑を作る
動物園の動物を1つのテーマに沿って見比べてスケッチや写真などをノートにまとめていくと、自分なりの動物理論が生まれてきたり「尻尾だけの動物図鑑」など、オリジナルの図鑑ができます。小泉さんがオリジナルの動物理論や図鑑作りをおすすめしているのは「それぞれの動物が(祖先を含めて)何百万年と歴史を積み重ねて今の時代に生き残ってきているので、どんな動物も価値のない、おもしろくない生き物なんていないんです」というのが理由です。
●動物たちを次の世代に残す方法を考えてみる
小泉さんは「動物園は『野生動物を知るための入口のような場所』なんです。ペットのようにかわいいと思うだけではなくて、この動物たちが本来は野生の中で暮らしていることに気づいて、絶滅危惧種の動物たちを救おうという気持ちを持ってくれたり、さらにそれが将来のアクションにつながってくれればいいなと思います」と語ってくれました。
動物たちが今まで生き残ってきた価値を理解することは、次の世代にその命を引き継ぐ意識を高める大切な一歩です。「かわいい」と感じることは動物を好きになるきっかけですが、彼らの生き残り戦術や生態に興味を持つことで、動物への理解がより深まります。こうした発見は、動物園での体験を単なるレジャーから、学びと驚きに満ちた有意義な時間へと変えてくれます。
動物園は、動物たちの多様性や生態系の複雑さを学ぶ入口であり、大人と訪れることで共に新しい発見を楽しむことができる場所です。動物園にはたくさんの絶滅危惧種がいるので、その種を次の世代に残すにはどんなことができるのか調べてみるのもおすすめです。
【いこーよ好き育メソッドからの10~12歳ワンポイントまとめ】
10歳以上になると、早い子は反抗期や一生懸命やることがカッコ悪いと感じる子もいます。単に「動物園に行こう」というより、テーマを見つけてうまく興味関心を引くように心がけましょう。また「なぜそうなるのか?」という探究心が深まってくる時期なので、動物園ですぐに調べられないことはメモをとって図書館や帰宅後に調べるのもおすすめです。パーツやテーマを設けて動物を観察するのは、ゲーム性もあって子どもも喜ぶはず。まとめ方などは自分で考えてやらせるほうが、自己効力感も上がって本人の学びにもつながります。小学校高学年は「共感」の感情が発達し始めて、職業への関心も高まる時期。飼育員さんなど動物園で働く人もよく見て相手の立ち場で考える練習もしてみましょう。
動物園でワクワクする体験を!の他の年齢編はこちら
・全年齢編
・0~5歳編
・小学生低学年(6~9歳)編
お話を伺ったのは…小泉祐里さん
〈監修者プロフィール〉
公益財団法人東京動物園協会 恩賜上野動物園 教育普及課の動物解説員。上野動物園内で、動物について解説するイベントを行ったり、小学校に動物の魅力を伝える園内授業やオンライン授業などを担当している。
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