キッズ興奮! 光を感じるアート体験/モネからリヒターへ ポーラ美術館

子ども時代に出かけた美術館や博物館の面白さは子どもにとって一生ものの体験です。親子でぜひ訪れてほしい美術館や博物館のイベントを紹介します。

第9回は箱根の「ポーラ美術館」で開催されている「ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に」です。

今回の展覧会の主なテーマは「」。展示は館内だけでなく、屋外の遊歩道エリアまで飛び出して行われ、箱根の美しい自然の中でアートの世界を体験できます。

今回はポーラ美術館の方に、親子で楽しめるポイントを伺いました。

ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ新収蔵作品を中心に」の見どころ

「ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ新収蔵作品を中心に」とは?

Q.ポーラ美術館について教えてください

A.ポーラ美術館は2002年に化粧品の製造販売を行うポーラ創業家2代目の鈴木常司のコレクションを展示公開することからはじまりました。

鈴木常司のコレクションは多岐にわたりますが、なかでもルノワール、モネ、ゴッホ、セザンヌなどの印象派の作品収蔵数は日本最大級をほこり、ピカソやフジタのコレクションでも高い評価を受けています。

Photo: Ken Kato

開館20周年の展示を企画するにあたって鈴木常司のコレクションと開館以降の新収蔵作品を改めて見直すと、印象派の作品はもちろん新収蔵の作品にも『』を感じるものが多くみられました。

光がなければ色彩が生まれません。色彩がなければ絵画や作品は生まれず、『光』はアートの根源の1つです。そこで開館20周年を記念して開催される今回の展示は『光』を感じる作品を中心に、前半は鈴木常司のコレクションと新収蔵の作品を組み合わせて展示を行い、後半は新収蔵作品を主にご紹介しています」

ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ新収蔵作品を中心に」のアクセス

ルノワールとレジェが描く「光の中の女性たち」

ピエール・オーギュスト・ルノワール《レースの帽子の少女》 1891年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ55.1 x 46.0 cm

Q.「印象派の巨匠ルノワールの《レースの帽子の少女》から展示が始まりますね」

A.《レースの帽子の少女》は開館当時から『ポーラ美術館』を代表する看板作品です。

フェルナン・レジェ《鏡を持つ女性》1920年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ55.6 x 38.7 cm

壁の向こう側では、光の中で鏡に向き合う女性を描いたレジェの新収蔵作品《鏡を持つ女性》を展示しています。

ルノワールの《レースの帽子の少女》(1891年)とレジェの《鏡を持つ女性》(1920年)はどちらも女性像で、その間はわずか30年ほどしか離れていません。

しかし一つのテーマでこの2つを比べてみると、19世紀の印象派から20世紀のキュビズム、未来派への変化を感じます。同じテーマでも時代を経ると大きく描き方が変化していくことを体験していただけるとうれしいです」

モネとジョアン・ミッチェルが描いたセーヌ河の「光」

Q.印象派の作品に現代アートが並んでいますね

写真中央左 クロード・モネ《セーヌ河の日没、冬》1880年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ60.6 x 81.1 cm 写真中央右 ジョアン・ミッチェル《無題 (ヴェトゥイユのセーヌ河の眺め)》 1970‐1971年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ116.2 x 252.1 cm Photo: Ken Kato
クロード・モネ《セーヌ河の日没、冬》1880年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ60.6 x 81.1 cm 

A.「ポーラ美術館では、もともとモネの《セーヌ河の日没、冬》を収蔵していました。今回は新収蔵のアメリカ人現代画家ジョアン・ミッチェルの《無題 (ヴェトゥイユのセーヌ河の眺め)》と並べて展示しています。

ヴェトゥイユはモネが住んだフランス北部のセーヌ河沿いの村です。氷結したセーヌ河に映る冬の光を見たまま描写的に描いたモネに対し、ジョアン・ミッチェルは見たときの印象を抽出して、色彩豊かにリズミカルに描いています。

2つの作品の間には約90年のへだたりがあるとはいえ、同じものを描いていてもここまで違う表現があるということに驚きますね」

「光」の中の麗子像

岸田劉生《麗子坐像》 1919年(大正8) 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ72.7 x 60.7 cm

.「展示の半ばには、岸田劉生が娘の麗子を描いた作品が3枚並んでいますね

A.「麗子が5歳のときの《麗子坐像》(1919年)、6歳ときの《麗子微笑》(1920年)、8歳のときの《麗子像》(1922年)の3点です。

最初の《麗子坐像》(1919年)は、麗子がようやくモデルをできるようになった5歳のときのもの。暗い部屋の中でモデルを務める麗子が動くと劉生が怒るため、緊張してぶすっとした様子をしています。

岸田劉生 《麗子微笑》  1920年(大正9) 技法・素材 木炭、水彩/紙 サイズ50.8 x 34.2 cm

麗子微笑》(1920年)は麗子が6歳ごろの作品です。麗子の成長と同時に徐々に健康を回復していった岸田劉生は、奈良や京都へ旅行に行き西洋のさまざまな技法に触れたことに刺激を受けて、水彩と色鉛筆を使って描きました。

3枚ともに共通するひきつった目には、『デロリの美』と呼ばれるグロテスクな美しさを追求しようとした劉生の姿がうかがえるのと同時に、麗子がモデルをすることに慣れて肩の力が抜けて、黒を背景に描かれた麗子の雰囲気が少しずつ明るくなっていく変化を見ていただけます

「光」の中の睡蓮の池を感じよう

ゲルハルト・リヒター《抽象絵画 (649-2)》 1987年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ200.7 x 200.8cm  (c) Gerhard Richter 2021 (20102021)

Q.『モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に』という展覧会タイトルにもとりあげられている2人の作品もありますね。リヒターの《抽象絵画 (649-2)》の見どころを教えてください」

ゲルハルト・リヒター《抽象絵画 (649-2)》 1987年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ200.7 x 200.8 cm 写真右 クロード・モネ《睡蓮の池》1899年 技法・素材 油彩/カンヴァス サイズ88.6 x 91.9 cm

A.「《抽象絵画 (649-2)》はリヒターがスキージを使って制作しているシリーズの1つです。

よく目をこらすと、この作品も表面の色鮮やかな層の下に青い静かな層があり、絵の左側には上下に大きなスキージの跡があります

太陽の光を受けて輝く池を描いたモネの《睡蓮の池》と並んでいると、スキージの跡が柳の幹で、そこから細い枝が池にたれているようにも見えて、美術が時代や地域を超えて響き合うのを体験していただけます。

美術には『こう見なければいけない』というものはありませんが、さまざまな作品にふれて自分なりの楽しみ方を見つける機会になるとうれしいです」

遊歩道でも楽しめるアートの世界

美術館の周囲には一周約40分の「森の遊歩道」が広がり、ここでも注目の作品が見られます。

周囲の自然の変化に合わせて表情を変えていく屋外の彫刻作品は、子どももより直感的に楽しめます。

 ロニ・ホーン《鳥葬(箱根)》2017-2018年 技法・素材 鋳放しの鋳造ガラス 高: 131.5 cm 径: 142.2 cm ©Roni Horn ©Nagare Satoshi

ルート上には、歩きながら出会える植物や動物についての解説もあるので、家族でのんびり楽しむのにぴったりです。

首都圏からもほど近い人気の観光スポットである箱根にある人気の美術館を紹介しました! ぜひ一度出かけてみてくださいね。

【展覧会タイトル】:ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ新収蔵作品を中心に」
会期:2022年4月9日(土)~9月6日(火)※会期中無休
会場:ポーラ美術館 展示室1-5、アトリウム ギャラリー、アトリウム ロビー、森の遊歩道
展覧会特設サイト
※詳細は公式サイトをご確認ください。

【子どもと行きたい・美術館・博物館一覧】
第1回/「鉱物展」の楽しみ方/角川武蔵野ミュージアム
第2回/「体験型美術展」の楽しみ方/びじゅチューン展
第3回/「ゴッホ展」の楽しみ方/東京都美術館
第4回/「好き」を見つける展覧会の楽しみ方/君も博士になれる展
第5回/「絵本原画展」の楽しみ方/柚木沙弥郎 life・LIFE展 PLAY!MUSEUM
第6回/「北斎展」の楽しみ方/すみだ北斎美術館
第7回/「バンクシー展」の愉しみ方
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出版社、教材編集を経て2013年に「いこーよ」へ。小学生の女の子2人のママ。大学院、モンテッソーリ教育教師、華道、ダイビング資格有。ライフテーマは幼児教育から小学校、中学校、高校、大学、社会人へとどのように学びをつなげていくか。特に幼児教育から中学受験への連携に日々奮闘中。

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