企業が持つ商品力や技術力を使って、子どもたちの学びにつながる取り組みを紹介する「企業発!未来を創る学び場」。今回はソニーの子ども向け教育プログラム「CurioStep」を紹介します。ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループのシニアマネジャーの森 悠介さんと鈴木 怜さんに、「CurioStep」が誕生したきっかけや実施したときの子どもたちの反響、今後の展望など伺いました。
■ ねらい
・創業者の教育支援に対する想いを受け継いだプログラムを作成
・子どもたちの好奇心を育むプログラムを作り続けたい
■ 効果
・自社の製品・コンテンツの魅力を子どもたちの笑顔を通して知り、自分自身の仕事に還元できた
・ソニーの体験型科学館がきっかけで入社した社員も誕生
ソニーの子ども向けワークショップ「CurioStep」とは?
ソニーの「CurioStep」は、子どもたちの好奇心や個性を育むための教育プログラムです。科学からエンタテインメントまで、STEAM(※)領域のさまざまなワークショップを提供し、ソニーの技術とクリエイティビティを活かした学びの機会を創出しています。
※STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の略です。
プログラムには、紙コップスピーカーの工作やソニー製品の分解など、実践的な体験が含まれています。これらの活動を通じて、子どもたちは科学の原理や技術のしくみを楽しく学ぶことができます。また、障がいのあるなしに関わらず参加できるインクルージョン・ワークショップも開催されており、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の理念を体現しています。
【きっかけ】教育支援に対する創業者の想いを引き継いで2020年に開始
未来:CurioStepの誕生のきっかけについて教えてください。
鈴木:ソニーは創業時から教育支援に取り組んできました。創業者の井深大が「国民の科学知識の実際的啓発」を目的の一つとして掲げ、その想いを引き継いで現在も活動を継続しています。2020年にCurioStepを開始し、それ以前に行っていた「ソニーサイエンスプログラム」から、プログラミングやエンタテインメント、アートを含むSTEAM教育へと領域を拡大しました。
ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループ 鈴木 怜さん
未来:コロナ禍での開始でしたが、当初はオンラインで開催されたそうですね。オンラインでのイベントの反応はいかがでしたか?
鈴木:実施前は「画面越しでは直接的な反応を得るのは難しいかもしれない」と考えていたのですが、子どもたちはとても積極的で、リアクションや挙手が多く、質問も活発で素直に協力してくれる参加者が多かったのはうれしかったです。

未来:イベントでは「MESH™」など、ソニーで開発されたプログラミングツールも使用されているそうですね。
鈴木:はい、MESHはCurioStepでもメインとなるツールの一つです。子どもたちにプログラミングの第一歩として使ってもらうことが多いですね。

MESHとは「Make(作る)、Experience(体験する)、SHare(共有する)」の略。プログラミング言語を知らなくても、やりたいことを直感的に、手軽に組み立てることができ、プログラミングとものづくりを通して普遍的な力が身につくツールです。(MESH公式サイトより引用)
未来:簡単にプログラミングができると、小学校低学年からでも参加しやすそうですね。募集はどのような形で行っていますか?
鈴木:公式ウェブサイトやおでかけサイトの「いこーよ」で募集しています。そのほかにもLINEやFacebookなどのSNSでも情報を発信しているので、ぜひご覧になっていただければと思います。
【効果】ソニーの製品を活用したワークショップに大きな手ごたえを実感
未来:反響が大きかったプログラムについて教えてください。
鈴木:CurioStep サマーチャレンジという夏に実施するイベントがとくに人気です。ソニー製品の分解を行うワークショップや、エンタテインメントロボットのaiboと触れ合うワークショップなどが好評で、全体を通して参加への応募者数が多く、アンケートでも高評価をいただいています。

IoTブロック「MESH」や「toio™」を使ったオンラインのワークショップ、または地方の事業所で実施したワークショップ、そしてコンテストなど、盛りだくさんの夏の特別イベント
未来:ソニー製品の分解ワークショップでは、具体的にどんな製品を分解するのですか?
鈴木:今年はCDラジカセを分解しました。子どもたちはかなり興味津々で、保護者の方も後ろからのぞき込みながら目を輝かせていました。家庭で電化製品を分解することは、感電やケガなどの危険があるのでメーカーとしては推奨していませんが、分解ワークショップでは弊社エンジニアの監修のもと、安全に実施できるのが魅力です。
未来:aiboのビジュアルプログラミングとは、どのようなものでしょうか?
鈴木:ワークショップは、まずaiboと遊ぶところから始まり、その後aiboにしてもらいたいことをプログラミングしてaiboを動かします。例えば、aiboに「おはよう」と声をかけたらaiboが踊りだすようなプログラミングをします。もともとaiboにはさまざまな機能が備わっており、普段は周囲の状況に応じて自律的に動きますが、aiboビジュアルプログラミングというツールを使うことで、ブロックやアイコンなどの視覚情報を組み合わせて簡単にaiboを動かすことができ、楽しく直感的にプログラミングの基本的な概念を学ぶことができます。

aiboは本物の犬のようになでられると気持ちのよさそうな声を出したり、呼ぶとかけよったり、学習していくロボットです
未来:2024年現在では、イベントはオンラインとリアルのどちらが多く開催されていますか?
鈴木:2020年は完全オンラインでしたが、昨年からリアルイベントの需要が高まり、現在はオンライン、そしてリアル開催、両方のワークショップを実施しています。リアル開催の場所は東京が多いものの、地方でも実施しています。
未来:地方でも体験の機会があるのはいいですね。プログラムを実施して、とくに良かったと感じたことはありますか?
鈴木:2024年はCurioStepサマーチャレンジで、ソニーグループの様々な会社からワークショップを開催し、一つの大きなイベントとして打ち出せたことに想い入れがあります。ソニーとして一体となって教育支援活動を行っていることを発信できたのがよかったですね。
社員ボランティアの満足度は100%
未来:社員のみなさんの反応はいかがですか?
鈴木:社員ボランティアの人気が非常に高く、毎回定員以上の応募があって、一部お断りをしているほどです。応募された方からは「子どもたちと接する機会がなかなかないから参加したい」という声をよく聞きます。社員がこの活動の意義を感じてくれるのはとてもうれしいですね。

未来:社内でのCurioStepの説明や意義の共有はどのように行っていますか?
鈴木:募集は社内ツールで行っていますが、意義を深く伝えるところまでは現状できてはいません。ただ、深く説明しなくても社員が率先して参加してくれているのは恵まれていると感じています。
未来:社員のみなさんにも教育支援の意義が浸透している環境なのですね。
森:子どもたちに学んでほしいという目標を実現しながら、社員自身も参加して満足し、楽しんでいるプログラムになっており、ソニーにとって大切な活動だと感じています。
鈴木:社員ボランティアの満足度は100%と言っていいほどです。とくに子どもたちとの関わりが大きな満足につながっています。
【今後】企業だからこそ提供できる価値や体験を提供
未来:CurioStepは今後、どのように発展させていきたいですか?
森:ソニーの強みを活かし、子どもたちの好奇心を育むプログラムを提供し続けたいですね。社会情勢の変化も見ながら、創業時からの理念を継続していきます。また、社員の協力をさらに得られるようにしていきたいです。
ソニーグループ株式会社 サステナビリティ推進部 CSRグループ シニアマネジャー 森 悠介さん
鈴木:企業だからこそ提供できる経験や体験があると思うので、そこを考えつつ、ソニーの強みを活かしたコンテンツを提供していきたいですね。
未来:企業だからこそ提供できる経験とは?
森:製品やサービス、エンタテインメント事業のコンテンツ、そして社員の力が大きいですね。非認知能力の育成など、日本の教育が日々シフトしている部分もあるので、学校で学べないようなことも(企業なら)カバーしたり提供したりできると思います。

未来:参加者からの反響で印象に残っているものはありますか?
鈴木:以前のプログラムに参加した子どもが大人になってソニーに入社し、今度は社員ボランティアとして参加してくれているケースがあります。継続の力を感じますね。今後は、より多くの地域で、より多くの子どもたちにリーチできるよう、内容や規模を拡大していきたいと考えています。
取材を終えて
記事の中で紹介しているMESHやaiboをはじめ、PlayStation®やウォークマン®など、ソニーの製品は手に取った人の心をワクワクさせるものが多いですよね。そういう企業だからこそ、開発をされている方も実際に製品を使っているユーザーの生の反応が見たくて、社内ボランティアが人気になるのもうなずけます。参加されている方もそれを感じとって、一緒にワクワクしている様子が見ることができ、とてもよいワクワクの好循環が生まれているワークショップなのだと感じました(KAZ)

お話を伺ったのは…鈴木 怜さん(写真左)、森 悠介さん(写真右)
ソニーグループ株式会社サステナビリティ推進部 CSRグループにおいて「CurioStep」の取りまとめを行う。
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