家族旅行で子どもの心に強く残るのは、地元の人が目の前で手を動かす姿かもしれません。高知県では、そんな出会いを旅の目的にできる「高知県 弟子入り旅キャンペーン」を2026年10月1日から11月30日まで開催しています。鍛冶屋の刃物づくりや土佐和紙づくりなど県内8つの体験プログラムで、職人や地域の担い手に「弟子入り」できる企画です。参加した人には、弟子入りの証となる「弟子入り認定証」が贈られます。本物の技にふれる高知の旅を、対象のプログラムとあわせてご紹介します。
「見るだけの観光」から一歩先へ 高知県 弟子入り旅キャンペーンとは?
「高知県 弟子入り旅キャンペーン」は、高知県の観光キャンペーン「どっぷり高知旅キャンペーン」で生まれた体験プログラムを対象にした企画です。公式サイト「どっぷり高知旅」に掲載されているプログラムのうち、8本が対象です。
鍛冶屋での刃物づくりに家具職人が教える木工、土佐和紙づくり、カツオの町・久礼の漁師町体験、そして四万十川の伝統漁法。どれも高知の各地で受け継がれてきた仕事で、その担い手から直接教わることができます。
背景には、伝統文化を支える担い手が減っていることと、旅先での体験を大切にする観光ニーズの変化があります。9月30日に開かれた発表会で、県の担当者は観光を入口に地域の文化や技術にふれる機会を作り、受け継ぐ人への関心や交流につなげたいと説明しました。
「一度来て満足ではなく、また高知県に来たい、担い手を応援したいと思ってくださるファンや関係人口を増やしていきたい」
認定証を見せると、ひろめ市場の割引券に
対象のプログラムに参加すると、オリジナルの「弟子入り認定証」がもらえます。

画像提供:高知県
この認定証を「よさこい高知 宵の舞~秋の陣~」の会場で見せると、高知の定番観光スポットであるひろめ市場で使える1,000円分の割引券と引き換えられます。
引き換えができるのは、10月24日(土)から12月6日(日)までの金土日祝と11月2日(月)です。時間は17時から19時30分で、場所はひろめ市場(高知市帯屋町2丁目3-1)にある宵の舞の受付です。宵の舞の会場ではよさこい鳴子踊りや土佐の伝統芸能が披露され、観覧は無料で、申し込みもいりません。
「まずはものづくりの楽しさを」職人の隣で手を動かす時間
「弟子入り」と聞くと、職人を目指して厳しい修業をする姿を思い浮かべるかもしれません。しかし、このキャンペーンの弟子入りは、もっと身近な入口として用意されています。
発表会に登壇した井上手漉き工房の井上みどりさんは、文化の継承について次のように話しました。
「継承というと職人を育てるイメージが強いですが、まずはものづくりの楽しさを知っていただき、土佐和紙に関わる人を増やすための間口を広げることが大切だと感じています」

発表会で土佐和紙の魅力を語った井上手漉き工房の井上みどりさん(画像提供:高知県)
井上さんによると、ほかの産地が薄い紙を作ったと聞いたら、それよりもさらに薄い紙に挑戦してきたのが高知だそうです。七色の紙や草木染めにも取り組んできた「負けん気」や「パイオニア精神」が、日本一多いともいわれる土佐和紙の種類に表れているのではないか、と話していました。
ひとつの技を磨き続け、新しいものにも挑んできた大人は、子どもにとって「好き」を仕事にしている人の生きた見本になりそうです。熱した鉄が形を変えたり、水の中で繊維が重なって紙になったりする様子を間近で見ると「どうしてこうなるの?」「やってみたい」という気持ちが自然とわいてくるかもしれません。
体験のあとには、自分で作った椅子や鍋敷き、和紙の作品、自分でブレンドした塩が手元に残ります。旅から帰っても「これ、自分で作ったんだよ」と話せるものがあることは、子どもの「できた!」という実感を長く支えてくれそうです。
高知県PR事務局によると、8つのプログラムは基本的にどれも子どもが参加できます。ただし、危険を伴う可能性がある作業は、年齢や状況によって一部体験できない場合もあるそうです。刃物や火を使うプログラムは、予約のときに子どもの年齢を伝え、どこまで体験できるかを確かめておくと安心です。
川の上から工房まで、8つの弟子入り先
木と鉄に弟子入り(土佐町・四万十町)
林業が盛んな土佐町石原地区では「家具職人が教える木工時間~つくる人になろう~」として、3つのプランが対象になっています。
いちばん気軽に参加できるのは「はじめての木組み体験・鍋敷きづくり」です。釘を一切使わない鍋敷きを、初心者でも簡単にできる木組みで作ります。教えてくれる家具職人は地元の山で木の伐採もしているそうで、木や道具のことから山や里山の暮らしのことまで、話を聞きながら手を動かせます。所要時間は3.5時間で、料金は1人5,000円(税込)です。
じっくり取り組みたい人には、昔なつかしい「図工室の椅子」を作るプランがあります。地元の木材を使い、釘を使わずに「ほぞ加工」で組み立てる椅子です。日帰りプラン(7時間・1人18,000円)では全工程の一部を体験し、1泊2日プラン(1人30,000円)では2日かけて木工に集中できます。どちらも完成した椅子を持ち帰れるよう調整してもらえます。

画像提供:どっぷり高知旅キャンペーン
昼食は、直販市「やまさとの市」のたけのこ寿司とうどんです(1泊2日プランは2日目の昼食)。開催は鍋敷きと日帰りプランが毎週日曜日、1泊2日プランが毎週土曜日から日曜日です。
四万十町の勝秀鍛冶屋では、1本の刃物を最初から最後まで自分の手で作ります。作りたい刃物の形を決めて図面にしたら、赤く熱した鉄をたたいて伸ばし、形を整えてから焼き入れ、磨き、研ぎへと進む流れです。柄の木工まで、職人から技術や理論を学びながら仕上げます。所要時間は10時間以内で、料金は1人33,000円(税込)。実施は毎月2〜3回で、長袖・長ズボンと足がすべて隠れる靴で参加します。

画像提供:どっぷり高知旅キャンペーン
土佐和紙に弟子入り(土佐市)
土佐市の井上手漉き工房は、日本三大和紙の一つで1,000年以上の歴史をもつ土佐和紙を、4代にわたって守り続けてきた工房です。原料は楮(こうぞ)やトロロアオイなどの自然素材と、仁淀川の水だけ。
体験では、和紙作りの基本の工程を解説付きで見学したあと、注ぎ方式と流し漉き方式で和紙を漉(す)きます。自分で漉いた和紙を使って「パネルアート」か「ランプシェード」を作れるので、旅の思い出がそのまま形になります。

発表会で展示された土佐和紙の作品(画像提供:高知県)
体験時間は約2時間です。高知駅・高知龍馬空港・高知港のいずれかから工房までの片道タクシー送迎が付いていて、料金は1人18,800円から(税込・乗車場所によって異なる)となっています。
漁師町の食に弟子入り(中土佐町久礼)
カツオの一本釣りで知られる中土佐町久礼では、早朝から漁師町の暮らしにふれる2つのプランが対象です。
「漁師町フルコース」は、朝6時10分に道の駅なかとさへ集合し、久礼港でカツオの競りを見学するところから始まります。小川製塩所での天日塩作りのあとは、久礼大正町市場の田中鮮魚店でカツオのわら焼きを体験し、カツオのタタキが付いた朝食をいただきます。所要時間は4時間20分で、料金は1人6,600円(税込)です。競りがない日は天日塩作りからのプランになり、料金は6,100円になります。

画像提供:どっぷり高知旅キャンペーン
「自分で焼いたカツオをオリジナル塩で食べる」プランは、朝7時20分に集合する3時間のコースです。天日塩作りでは仕上げの工程を体験し、自分でブレンドしたオリジナルの塩を持ち帰れます。その塩で、わら焼きにしたカツオを味わえるのがこのプランならではの楽しみ。料金は1人6,100円(税込)です。
どちらもわら焼きは代表者が行い、会場の間は自家用車やレンタカーで移動します。開催は11月まで(水曜日・日曜日を除く)です。どちらも最少催行人数は4人(定員10人)なので、3人以下で参加したいときは申し込みの前に問い合わせておくと安心です。
四万十川の川漁師に弟子入り(四万十市)
四万十市の屋形舟さこやでは、川漁師から四万十川の伝統漁法を教わります。体験できるのは柴漬け漁と投網で、舟を動かす「櫓(ろ)」を自分で漕ぐ櫓漕ぎにも挑戦できます。

画像提供:どっぷり高知旅キャンペーン
体験中に採れた川の幸は、漁師さんから譲ってもらえることもあるそうです。近くの食事処で調理してもらう(別途1,000円から)ことも、持ち帰ることもできます。禁漁期間の生き物は川に返します。
所要時間は90分で、料金は1組4人まで25,000円(税込)です。5人以上は1人増えるごとに3,000円が加わります。料金欄には「小人同額 乳児無料」と書かれていて、ライフジャケットも料金に含まれています。悪天候や川の増水で中止になることがあります。
「高知県 弟子入り旅キャンペーン」開催概要
キャンペーン名:高知県 弟子入り旅キャンペーン
期間:2026年10月1日(木)~11月30日(月)
対象:「どっぷり高知旅」に掲載されている体験プログラム8本
料金・予約:プログラムごとに異なる(予約方法は各プログラムのページでご確認ください)
特典:参加者に弟子入り認定証を進呈
引き換え特典:宵の舞の会場で認定証を提示すると、ひろめ市場で使える割引券(1,000円分)と引き換え
引き換え期間:2026年10月24日(土)~12月6日(日)の金土日祝と11月2日(月)、17:00~19:30
引き換え場所:よさこい高知 宵の舞~秋の陣~ 受付(ひろめ市場・高知市帯屋町2丁目3-1)
高知県 弟子入り旅キャンペーン 特設ページ
実施内容は変更になる場合があります。おでかけ前に公式SNSや特設サイトで最新情報をご確認ください。
※キービジュアルは高知県からご提供いただきました。
次の家族旅行は「誰に弟子入りするか」で選んでみる
観光地を巡る旅も楽しいものですが、職人の隣で手を動かした時間は、また違う形で家族の記憶に残るかもしれません。木工や和紙づくりのように作品が残る体験もあれば、早起きして漁師町の朝にふれる体験もあります。
子どもが今どんなことに興味を持っているかを思い浮かべながら「誰に弟子入りするか」で旅の行き先を選んでみてはいかがでしょうか? 弟子入りの証の認定証を手に、高知の夜のよさこいまで楽しめる秋の旅になりそうです。
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