線香職人や津軽塗職人、西陣織職人、食品サンプル職人など、日本には多種多様な職人がいます。その職業の概要や職人として大切にしていることが、大きな写真とインタビューで学べる本『子どものためのニッポン手仕事図鑑(監修:大牧圭吾、発行:オークラ出版)』を紹介します。
職人の手仕事を大きな写真で掲載!職業体験している気分になれる
「子どものためのニッポン手仕事図鑑」は写真集や画集よりは少し小さめですが、大きめの教科書くらいのサイズ(縦290mm×横210mm)の本です。職人さんの紹介では、1ページの半分以上の大きな写真が使われていてかなりの迫力! 職人さんの手元のアップやなかなか見られない工程の数々をみることができ、すぐそばで手仕事を見学しているような気分が味わえます。文章は職人さんへのインタビューを中心に、モノ作りの工程や細部に渡るこだわり、職人としての情熱ややりがいなどが要点をしぼってまとめられています。
職人さんが子どもに向けた「言葉」や好奇心を広げる企画記事にも注目
「人は財産。コツコツ作ることが、こだわりにもなる」や「だれもしないようなことを自分がやれたらいい」「自分で作りたいものを好きなように作っていけるのが一番」など、図鑑の中に散りばめられた職人たちの言葉にも注目。一流の職人となるまで積み上げた努力や研鑽の日々がうかがえる、人生の金言が詰まっています。
また、原材料からできる製品を想像する企画ページをはじめ、職人さんの働く場所をイラストで紹介したり、手仕事に使う道具や材料のこだわりがわかるなど、企画ページも充実。さまざまな側面から職人の仕事について学べます。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
僕は「職人さんはかっこいい」といつも思っています。それは、ひとつのものや商品に技術を積み上げて手間暇をかけて作り上げる姿が人間として「とても輝いている生き方」に思えるからです。「子どものためのニッポン手仕事図鑑」の写真は、そんな職人さんの真剣なまなざしや息づかいが聞こえてきそうな、現場の張りつめた空気感を切り取った瞬間が多く、職業体験をしているような気持ちになります。
この本には「きりたんぽ職人」や「輪ゴム鉄砲職人」「オーダー靴職人」、オーダーメイドでメガネのフレームを木で作る「木工職人」など、多種多様な職人が紹介されています。企画ページでは、職人になるまでかかる年数や1日のタイムスケジュールなども載っていて「世の中にはさまざまな仕事があり、多様な働き方がある」ことを学べます。
文章は要点を短くまとめていて読みやすいですが、内容の一部に難しい用語も含まれているので、子どもが読むなら小学校高学年くらいがベストです。でも、大人と一緒に写真を見ながら「いろいろな職人さんがいるんだね」と見ながらわからないところは説明を聞いたりするくらいなら小学校低学年でも十分楽しめると思います。
大人が読む場合には、デザインやイラスト、写真の雰囲気がナチュラルライフスタイル雑誌のようなテイストになっているので、ページを見ているだけで手仕事の美しさに感心したり、なごやかな気持ちになれます。
また、本で掲載されているすべての職人さんの働いている動画が「ニッポンの手仕事を、残していく」をコンセプトに掲げる「動画メディア『ニッポン手仕事図鑑』公式サイト」で見られるので、気になった職人さんについてさらに知ることができます。動画と合わせて「おうちで職業体験ツアー」をするのもおすすめの使い方です(KAZ)。
子どものためのニッポン手仕事図鑑
本体2,200円(税込)、監修:大牧圭吾、発行:オークラ出版
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