「めきめき」「ぽんぽん」「にょろにょろ」など、擬音語や擬態語で情景や様子を伝えるオノマトペを使って楽しく音読しながら、記憶力や想像力、伝える力などが身につく本『心と脳がぐんぐん育つ! わくわくおんどく(著:藤野良孝 発行:高橋書店)』を紹介します。(高橋書店から献本いただきました)
オノマトペで脳が活性化し、伝達力や表現力が向上!
「わくわくおんどく」は、童話や詩、言葉遊び(ダジャレなど)、歌、名言など幼児期から触れておきたい楽しい言葉や、教養となる日本語をたくさん掲載しています。これらすべての名文をオノマトペと絡め、それぞれの言葉のイメージに合わせたテキストデザインを全ページに行うことで、楽しく音読に取り組める本です。
医学者の川島隆太先生が行った実験では、子どもにオノマトペを聞かせると脳の音や声を聞き分ける機能が広範囲に働くことが明らかになっています。さらに脳科学者の藤原菊紀先生の実験では、オノマトペを使って行動をシミュレーションすると、脳内で「やる気を司る部分が活性化する」ことを報告しています。著者の藤野良孝さんと脳神経外科医の林成之先生との対談では、オノマトペは脳科学的に「好き」や「おもしろい」と言った気持ちを生み出しやすく、子どもの気持ちにスイッチを入れる言葉であるという話も出ています。
さらに、音読にはさまざまな声の出し方を練習することで伝達のバリエーションが増えて「伝える力がアップ」したり、声に抑揚やテンポをつけて読んで「表現力を高めたりする」効果があります。この本は脳を活性化させるオノマトペを使って音読をすることで、心と脳に「記憶力」「伝える力」「表現力」「やる気」「想像力」の5つのプラスの影響を与えるのが狙いです。
書体や読み方などのアドバイスで情感豊かにオノマトペを楽しめる
「わくわくおんどく」では、さまざまなジャンルの文章からオノマトペが載っているものが紹介されています。オノマトペが書かれた部分は書体や文字のサイズ、色が変わり、文字のイメージから読み方が伝わるようになっています。また「こえのだしかた」「やってみよう」などのワンポイントアドバイスをふまえて読むと、情感豊かなオノマトペの世界をより楽しめます。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
日本語は英語などに比べてオノマトペが多いことが知られています。雨の日の音だけでも「ぴちぴち」「ぱらぱら」「しとしと」など、たくさん種類があって、しかもそれぞれ音だけでイメージが伝わるというのは、あらためてすごいことだと思います。これはオノマトペを読んで、頭の中で音にして聞いて、どういう状況かを脳が想像した結果起こることなので、オノマトペをたくさん知っていることは想像力をたくさん働かせていることだと言えますね。
また、音読も言葉を覚えるために大事な要素のひとつ。個人的には言葉を声に出して読むと、その音の響きや読み方、長さなどと一緒に記憶されるので、黙読よりずっと覚えやすいと感じています。言葉は頭の中の「辞書」にどれだけ言葉が入っているかが重要なため、言葉をたくさん知っている人は、それだけ物事を伝えるのに豊かな表現ができる人だと思います。オノマトペは「短い言葉の繰り返し」であることが多いこともあって、そもそも覚えやすい。つまり、言葉を覚え始めた幼児期に語彙を増やすにはもってこいの言葉なんですね。
「わくわくおんどく」には、さまざまなジャンルのオノマトペが入った文章がたくさん入っています。イメージが伝わりやすいようにオノマトペの部分は色が変わっていたり、文字のサイズや書体が変わっていたりして、見た目どおりに声を出して読んでみるのが楽しいです。最初は自由に読んでみて、次は書かれているアドバイスをもとにやってみて、伝わり方の違いをみるのもおもしろい。子どもが寝る前や一緒に遊んでいる時間に、大人と子どもが交互に読んだり、お互いに好きなページを見つけて読んでいくと楽しい時間になりそうですね。
「はじめてよんだひ」や「よんだかいすう」も記録できるようになっているので、まだ読んでないページを見つけたり、子どものお気に入りのページを可視化できます。夏目漱石や宮沢賢治、正岡子規、中原中也など文豪や詩人の作品も数多く登場するので、この本で文章に触れた作者や作品に興味を持って本や詩集を手に取ってみるのも、子どもの好奇心を広げることになるでしょう。
未就学児や小学校低学年のお子さんと楽しく読んでいくうちに「表現力」や「伝える力」「想像力」などが自然に育つ本です(KAZ)
ためし読みもできる! 高橋書店の「心と脳がぐんぐん育つ わくわくおんどく」紹介ページへ
『心と脳がぐんぐん育つ! わくわくおんどく』
本体1,210円(税込)、著:藤野良孝 発行:高橋書店
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