「カンカンカンカン♪」と音が鳴り、遮断機が下りてくる踏切。電車が通り過ぎるまでの時間は、大人にとっては待ち時間でも、電車好きの子どもにとってはワクワクするひとときではないでしょうか。そんな踏切で、もしも猫が働いていたら…? 今回紹介するのは、長〜いしっぽを持つ猫が主人公の絵本『ふみきりにゃんこ』(交通新聞社/2026年9月30日発売)。ちょっぴり無愛想でマイペースな猫が、人と電車、そして猫たちを守るために活躍する、ユーモアたっぷりの一冊です。
長すぎるしっぽがきっかけで、踏切のお仕事に!?
主人公は、ほかの猫たちよりもずっと長いしっぽを持つ猫。ところが、そのしっぽのせいで、ほかの猫たちから仲間外れにされていました。

そんな猫が、ひょんなことから踏切で働くことになります。持ち前の長いしっぽを使って、人と電車、そして猫たちを守ることが自分の役目。無愛想でマイペースながらも、真面目に懸命に仕事に取り組む姿が描かれています。
踏切という身近な場所を舞台に、ちょっと変わった猫が活躍するユニークな物語。子どもはもちろん、猫好きの大人も楽しめそうです。
「みんなと違う」が、誰かの役に立つことも
ほかの猫たちにとっては変わった特徴だった長いしっぽが、誰かを守るために役立つ。そこには、ほかの猫とは違う「わがはい」だからこその活躍があります。

子どもたちにも、それぞれ得意なことや苦手なこと、ほかの子とは違うところがあります。そんな「わがはい」の姿を通して、一人ひとりが持つ個性や、「自分だからこそできること」について、親子で考えるきっかけにもなりそうです。
作者に聞いた!『ふみきりにゃんこ』誕生のきっかけは親子のお出かけ
この絵本の文を手がけたのは、もとよしともこさんです。もとよしさんは、コピーライター・ライターとして活動したのち、子育てをきっかけに絵本の創作を始めました。第24回えほん大賞ストーリー部門で大賞を受賞した『ふりすぎちゅうい』(絵・ドーリー/文芸社)でデビュー。本作が2作目の単行本となります。
絵を担当したくまくら珠美さんは、猫をモチーフにした作品を数多く手がける猫絵作家・画家です。絵本『そらのきっさてん』(理論社)、『わたしのげぼく』(作・上野そら/アルファポリス)などでも知られています。雑誌や書籍の装画のほか、猫をモチーフにしたグッズやイベントのキービジュアルなども多数手がけられています。
くまくらさんの表情豊かで生き生きとしたイラストが、ユーモアあふれるお話にぴったりと合い、ページをめくる楽しさを感じさせてくれます。

作者もとよしともこさんにインタビュー
今回、もとよしさんに、絵本が生まれたきっかけや制作のこだわり、作品に込めた思いについてお話を伺いました。
物語が生まれたきっかけは、コロナ禍にお子さんと出かけた踏切だったそうです。
「電車に乗ることを躊躇していた当時、電車好きの子どもとよく見にいっていたのが踏切でした。私はすっかり見飽きていたのですが(苦笑)、子どもは飽きずに楽しんでいたのを覚えています。
そんなある日、遮断機の黄色と黒のしましまが、トラ柄のしっぽのように見えてきて…。さらに『カンカンカン』という警報音と、『にゃんにゃん』という鳴き声が近いなと思いつき、お話を作り始めました(もとよしさん)」
身近な踏切のしま模様から物語が生まれるとは、もとよしさんならではの豊かな想像力を感じますね。制作でこだわったところや、読者に注目してほしいポイントについても、次のように語ってくれました。
「文章については、ひねくれつつも使命感に燃える『わがはい』のキャラクターを随所で感じられるセリフにしました。また、声に出して読んだ時に楽しくなる言葉えらびやリズムを意識しています。
絵については、これまでのたくさんの猫作品を手がけているくまくらさんが描いてくださったおかげで、登場人(猫?)物がとにかく生き生きしています。読み聞かせの絵本として、じっくり見る絵本として楽しんでもらいたいです(もとよしさん)」
最後に、この絵本を手にとった子どもたちに向けて、こんなメッセージをいただきました。
「『わがはい』の個性に共感したり、真面目に活躍する姿に笑ったりしながら、『本を読むって楽しいな』と思ってもらえるきっかけになれればうれしいです(もとよしさん)」
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
ページをめくるたびに登場する、リズミカルな言葉の数々。テンポよく進むお話に引き込まれ、「次はどうなるのだろう?」とどんどんページをめくりたくなります。
主人公「わがはい」が、踏切で起こるアクシデントに対し、一生懸命に自分の役目を果たそうとする姿に思わず「がんばれ!」と応援したくなりました。
また、街の雰囲気が目に浮かぶようで、猫たちの生き生きとした動きにも引き込まれます。繊細でありながらダイナミックな絵は、隅々までじっくり眺めたくなるほどです。文章量も比較的少なく、リズムよく読み進められるので、未就学児の子どもとの読み聞かせにもおすすめです。絵本を読んだあとは「もし自分にも長いしっぽがあったら、何に使う?」と親子で話してみるのも楽しそうです。そこから、自分ならではの得意なことや、できることについて話が広がるかもしれません。
ほかとは違う特徴が、思いがけない強みになることもある。そんなメッセージも感じられる『ふみきりにゃんこ』。親子で一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
「ふみきりにゃんこ」
価格1,760円(税込)
文:もとよしともこ 絵:くまくら珠美
発行:交通新聞社
購入ページ
この記事を読んでいる人は「絵本」「電車」「自己肯定感」に関するこんな記事も読んでいます
・主人公と我が子の発想の豊かさに気づく絵本「ふりすぎちゅうい」
・見えないところでも、みんながんばってる! 日常生活にワクワクをくれる絵本『みえないおしごと』
・「なんで?」からはじまる日本探検。親子で楽しめる47都道府県クイズ絵本
・【年齢別】図書館司書に聞いた、想像力を育むおすすめ絵本
・【年齢別】図書館司書に聞いた、好奇心の芽を育むおすすめ絵本
・【未来へいこーよ】が育むココロのスキル(非認知能力)について







