女の子が宇宙人に「トイレの仕方」を教えるお話で、トイトレ(トイレトレーニング)のコツや思いやりの気持ちを学べる絵本「そこでしちゃダメ!(著:ジーン・ウィリス、イラスト:フレフナ・ブラガドッティル、翻訳:ユージ、発行:文化出版局)」を紹介します。
「トイレの使い方」を知らない宇宙人にどう覚えてもらう?
イギリスで刊行されたトイトレ(トイレトレーニング)の絵本「DON’T GO THERE!」を3児のパパであるタレントのユージさんが翻訳した作品です。小さな女の子がかわいい宇宙人と出会い、一緒に住むことにしたものの宇宙人は「トイレのしかたがわからない」からさあ大変! 帽子やゴミ箱、金魚鉢などいろいろなところでトイレをしようとして大騒ぎになる宇宙人と女の子のやり取りが、かわいいイラストで描かれています。
「何かを教えてあげること」の楽しさや相手を思いやる気持ちを育む
宇宙人が失敗ばかりしてしまい、困っているのをのを見た女の子は「わたしが おトイレのしかたを みせるの」と宇宙人をトイレに連れて行きます。そこで自らが手本となりながら「トイレのうた」を歌ってあげることに。「トイレのうた」を聞いた宇宙人は自分でも実践して、自分の星の仲間に「トイレのしかた」を教えに行きます。2人の姿を通して、自分より小さい子や知らない子に「何かを教えてあげること」の楽しさや、相手を思いやる気持ちが学べる絵本になっています。
翻訳を担当したユージさんのコメント
この作品の可愛いタッチとリズミカルな表現が幅広い年齢の方に楽しんで頂ける絵本だと思います。 初めての翻訳のお仕事だったのですごく難しかったのですが、 自分の子どもだったらこういう表現が分かりやすいかなーとイメージしながら翻訳しました。 声に出して読みたくなるような作品だと思います。 ぜひ誰かに読んであげてください。
「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント
女の子と宇宙人のやりとりが、すごく微笑ましくてかわいい絵本です。絵本の文章が「こんどは きんぎょばちに しゃがんだの!」など、女の子がママに状況を説明するような口ぶりで書かれているのもいいですね。翻訳を担当したユージさんは2人の娘さんのパパなので、子どもたちの普段している会話の雰囲気が絵本にも反映されているのだろうなあと思いました。「未来へいこーよ」では、ユージさんが家族への愛について語ったインタビューもあります。
タイトル「そこでしちゃダメ!」のセリフの理由は表紙を見れば一目瞭然ですし、大人側からすれば日ごろ子どもに「つい」言ってしまいがちな言葉のひとつだと思います。でも相手は地球の文化や常識を知らない「宇宙人」。頭ごなしにしかっても問題の根本的な解決になりません。そこで女の子は宇宙人でもわかってもらえる方法で「トイレの仕方」を教えようとします。この「教える」という行動に自然と子どもの成長の種が隠されています。
「誰かに何かを教える」ということ、情報を整理してわかりやすく伝える必要があるので、自分自身にとってもよい経験になります。宇宙人にもわかりやすくするため、リズミカルに「トイレのうた」で教えてあげるところは、相手の立場でものを考える「思いやり」の大切さも描かれていますね。
この歌のところは「トイレ(トレーニング)って楽しい」って思わせる底抜けな明るさがあって、読み手を楽しい気持ちにさせてくれます。実際にトイトレに行ったときに同じ歌を歌ってもいいですし、子どもに歌わせてみてトイレで再現してもよさそう。作中にもあるように「れんしゅうすれば ぜったい できるよ。(中略)うちゅうじんに できるなら、きっと きみにも できるから!」と、応援しながらトイトレに挑戦してみるのもいいですね。
じつは「トイレのうた」を教えてもらった宇宙人は、すぐにトイレができるようになるわけではないんです…。そこから先もたくさんの失敗をするんですが、仲間の宇宙人たちが楽しそうにしていますし「トイレを使う」ということは覚えてくれたようなので読んだあとは「少々の失敗があっても大丈夫!」というおおらかな気持ちになれます。読んであげる大人のほうも「そんなことしちゃダメ!」と頭ごなしにしかるのではなく、子どもにあった「教え方」を考えてみるきっかけになる絵本ですね(KAZ)
そこでしちゃダメ!
本体1,500円(税抜)
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