春の田植えから秋の収穫まで約6カ月、大切に育てられる日本のお米。そんなお米が育っていく過程を未来へいこーよで「季節の手仕事」連載しているユッキーさんと、2カ月に一度紹介します。
9月の水田/稲の成長を見守る


9月にユッキーさんと訪ねたのは、埼玉県深谷市で古代米を栽培している野辺さんの田んぼ。色や形、味が異なる4種類の米をバランスよく配合し「薫 古代米」として販売しています。
原種の特徴を持つ細長い「黒米」
まず訪れたのは、原種の特徴を強く持つ「黒米」の畑です。中国南部、タイ、ベトナム、インドなどで現在も生産されている長粒米(ちょうりゅうまい)の一種で、背丈が180センチほどにもなります。
「古代米には粘り気の強い『餅系』と粘りの少ない『うるち系』の2種類があります。この黒米は『餅系長粒種』と言われるもので、お米屋さんからも『本当に珍しくて美味しい古代米を作っているね』とよくお声がけいただきます」(野辺さん)
背丈が高く伸びていましたが、ここまで背が高くなってくると数日前の雨と風で倒れてしまいました。
田んぼに入って野辺さんとユッキーさんが倒れた稲を立たせてみると、確かに身長約170センチの野辺さんの身長を超える高さ!
「こんな背の高い稲は初めてみました!」とユッキーさんも大興奮!
「背が高い稲は育てるのも大変ですが、稲刈りも手がかかります。背丈が高いのでコンバインが進むとすぐに詰まって止まってしまいます。一度止まってコンバインを掃除してまた動かすことを繰り返して少しずつ刈っていきます。どうしてもダメなときは手で刈ります」(野辺さん)
ほのかな香りと甘みを楽しめる「緑米」
続いて訪れたのはほのかな香りと甘みから「香り米」とも呼ばれる「緑米」の田んぼです。こちらも比較的背が高くなる古代米です。
「『緑米』なのに稲穂は濃い紫色なんですね!」(ユッキーさん)
「遺伝子組み換えの種や化学肥料、殺菌剤、殺虫剤は一切使わず、水が入ってくる部分にほんのわずかな除草剤を使うだけの『特別栽培』を行っています」(野辺さん)
緑米の畑には、目をこらすとユスリカやイトミミズ、魚の稚魚などを食べて成虫になるイトトンボがゆらゆらと風にのって、稲の葉の間を飛び交い、畔を歩くと、足先をカエルがぴょんぴょんと飛び跳ねていきます。
「見学に来られる方は徹底的に農薬を減らしているから、こんなにたくさんの昆虫やカエルが田んぼでは元気に生活しているんですねと驚かれます。農薬をほとんど使わないということは、夏の間の草取りがとても大変なですが、少しでも安心して食べていただけるものを作りたいという一心で取り組んでいます」(野辺さん)
縄文時代に伝わったとされる「赤米」
次に「赤米」の田んぼを見学させてもらいました。
「縄文時代に伝わったとされる米で、赤飯の起源とも言われています。比較的背が低いのが特徴です。奧にはうるち米の田んぼがありますが、うるち米よりも背が低いのが見ていただくとわかると思います」(野辺さん)
「1週間ほど前に水を止めたので、この田んぼはそろそろ収獲時期。水を落とした後は、もみがらをむいて色合いを確認したり、水分量を調査するなどしてベストな収獲時期を見極めます。熟練の技が必要です」(野辺さん)
弥生時代に中国から伝わった「紫黒米(しこくまい)」
最後に訪れたのが、アントシアニンがたっぷりと含まれた濃い紫色が特長の『紫黒米(しこくまい)』の田んぼです。
「刈り取った稲穂は、時間をかけて乾燥させて、丁寧に水分量を調整して旨味を引き出します。最後に4種類の古代米をバランスよく配合して販売を行っています」(野辺さん)
「一口に古代米といっても、様々な種類があり、生育にかかる時間や栽培のポイントが異なることに驚きました。農家さんのご苦労がしのばれますし、生産者さんの思いを知ることでより心をこめて料理をしたり食べたいという気持ちが自然とわいてきますね。この記事を読んだり、自分でも稲刈り体験に参加するなどの経験を通じて、農家さんの思いがたくさんの人に届いてほしいですね」(ユッキーさん)
【子ども(幼児)と古代米や雑穀米を食べてみよう!】
野辺さんが作る「薫 古代米」は以下のリンクから購入できますが、スーパーやお米屋さんで雑穀米などを購入して食べる前に、どんなお米があるのか、観察して見ましょう。思った以上にさまざまな種類の米があり驚きます。
「薫 古代米」をオンラインショップでチェック!
今回お話を伺った「薫 古代米」を作る野辺さんが元気に農作業をこなすチカラの源の農家飯は「古代米を使ったしいたけの雑炊」。 こちらのレシピを以下のリンク先でご紹介しています。 こちらもぜひチェックしてくださいね!
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