自閉症の息子は、一人で遊ぶことが好きです。児童館などで同世代の子どもと一緒になっても、友だちとして遊ぶことはなかなかありませんでした。自分のテリトリーに近づくものは赤ちゃんだろうと敵視していた息子が、初めて友だちと一緒に過ごすようになるまでを当時の記録をもとにしてみたら、息子の成長の足跡が見えてきたんです。
どうなったら「友だち」って言えるのだろう?
息子の「初めて友だちができたのはいつだったか?」を考えたとき、最初に思ったのは「そもそも、どうなったら『友だち』って言えるのだろう?」ということでした。一緒に何かで遊んだとき? 手を握って歩いたとき? 「友だちだよね?」と聞いて「うん」と答えたとき? 「友だちの定義」は人によって多少の差はあると思います。今回の記事では僕個人の基準で「世代が近く、お互いが一緒にいて楽しく遊べる相手」をいったん「友だち」と定義しています。
近づくやつは赤ちゃんでさえも敵!
赤ちゃんから幼児期にかけての日常のお出かけ先として重宝するのが児童館(児童ホーム)ですよね。いろんなおもちゃや絵本があって、体を動かせる遊具もあり、大声で泣いてもOK(よくあることなので)という素晴らしい施設です。僕も抱っこ紐やベビーカーで息子を連れてよく行っていました。最初の頃は1人で遊んでいてよかったんですけど、2歳ごろになると自分に近づいてきたほかのお子さんを押すようになりました…。
そのときは単純に「自分が遊んでいるおもちゃが取られるのがイヤなのかな?」と思い、これは自我が育ってきた証拠! と喜んでいたんです。「うちは一人っ子だから、きょうだい児がやるようなおもちゃの取り合いができて、むしろ経験としてはいいかな」とのんきに思っていました。
しかし、たまたまハイハイで通りがかった赤ちゃんにも、敵意むき出しで押そうとしたときには、血の気が一気に引きました…! 幸い、息子の手が届く前に僕が息子を押さえて事なきを得たのですが、本人に悪気はなくても赤ちゃんにケガをさせてしまうわけにはいきません。それからは児童館に行く機会が減り、行っても赤ちゃんには絶対に近づけないようにしていました。息子はますます1人で遊ぶようになりました。