自然体験は好奇心や運動能力、コミュニケーション力を育む絶好の場といえます。慶応義塾大学の野口和行教授は、発達がゆっくりな子どもたちを10年以上も3泊4日のキャンプに連れて行くなかで、プログラム自体の内容よりも大事なことに気づいたそうです。先生が大事にしていることや、サードプレイス(学校と家以外の第3の居場所)としての役割などをお話いただきました。
発達障がいの子どもが参加できる「プチ冒険倶楽部」とは?
未来:野口先生が活動している「プチ冒険倶楽部」とはどのようなものなのでしょうか?
野口先生(以下、敬称略):「プチ冒険俱楽部」は心身の障がいやその他の要因でさまざまな支援を必要とする人々に対し、自然の中での楽しい活動や、チャレンジの必要な活動を通してその人が持つ可能性を広げ、すべての人が個性に応じて自分らしく生きていくことができる社会の実現を目指すことを目的として活動しています。
2011年からスタートしていまして、サマーキャンプは、群馬県にある青少年野外活動施設をお借りしています。対象は小学〜中学生の発達障がいのある子どもで合計16名です。16名のお子さんそれぞれに、1人ずつ大学生のボランティアがつきます。さらに子ども4名、ボランティア4名で構成されるグループに、 2人ずつ支援学校の先生や障害の施設で働いている方がサポートでついて、プログラムのリーダーも合わせると総勢 45 人ぐらいで行きます。
未来:参加人数からすると、スタッフがかなりの大人数ですね。
野口:安全面や、私たちが大切にしていることを実践するためには、どうしてもそのくらい必要になります。
未来へいこーよ スタッフ KAZ(以下、KAZ):私には自閉症で知的障害の小学2年生の息子がいて、家にいるときは片時も目を離せません。本人のこだわりも強く、保護者がいない中で3泊4日のキャンプに参加させるのはかなり心配な面もあるのですが、どのように実施されているのでしょうか?
野口:保護者の方がご心配されるのは本当にわかります。でも、家にいてもそれだけ気を抜けない保護者の方に、短い期間でも心穏やかに過ごしていただくことも、この取り組みを行う理由のひとつです。
具体的には、初めにお子さんと保護者、ボランティアのスタッフで顔合わせをする「プレキャンプ」を行います。保護者からお子さんの普段の様子や気をつけるところ、好きなもの、得意じゃないものなどをヒアリングします。
KAZ:なるほど、自閉症の子はそれぞれにさまざまなこだわりがあるので、事前に知っておいていただけるのはうれしいです。子どもも現地で初めて会うよりは、一度顔を合わせた人のほうが一緒に行動しやすいと思います。
野口:それでも1年目に始めたときは不安な保護者の方も多くて、キャンプ場まできて遠くから見守っている人もいたくらいです。2日目になったら「安心して預けられる」ことをご理解いただいたようで、みなさん帰って行かれました。
自然の中で遊ぶ楽しさや居心地のよさを重視
未来:東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に「未来へいこーよ」がインタビューをした際に「野外での自然体験は、子どもの脳の発達に必要な好奇心のほか運動能力やコミュニケーション力を磨かれる」というお話を伺いました。野口先生が発達障がいを持つ子どもたちとキャンプをしていくなかで、子どものどのようなところが伸びていっているとお考えでしょうか?
野口:「自然の中で体験活動をするとこんな心理的な効果がある」や「いい影響がある」ということを実証するのは大事ではあるのですが、その前にまず、私はその目的が「子どものためなのかどうか」がとても重要だなと思っています。
子どもは、遊びや活動の中からいろんなことを吸収しながら育っていくもので、自然体験もそのひとつだと考えています。効果に注目しすぎて、それを高めるプログラムにこだわってしまうと、もっと根源的な「自然の中で遊ぶ楽しさ」や「居心地の良さ」を削ってしまうんじゃないかと、私自身は最近よく感じています。
実際に発達障がいのある子どもたちとキャンプをしてきて感じることは、「彼ら一人ひとりがそれぞれの方法で自然の中での活動を楽しんでいる」ということです。
そして、保護者の方からお話を聞くと、体験前よりもいろんなことに前向きに取り組めるようになったという声や、本人がまたキャンプに参加したいと言っているという声をたくさんいただいています。
ですが、参加した発達障がいのある子どもたちはうまく言葉で表現ができないので、アンケートなどでは答えを集めることが難しいのです。
教育は「こうしたらこう変わる」というエビデンスが大事だと言われていますが、エビデンスにはなかなか表れないところが自然体験で発揮できている例が多いのかなと私は考えています。

未来:野口先生が最も重視されているのは「自然の中で遊ぶ楽しさ」や「居心地のよさ」というわけですね。
野口:はい。自然体験の効果はいろいろ出ているんですけど、効果自体よりも一人ひとりをちゃんと見ることで、こちらがまったく想定していなかったような子どもの反応に出会えます。
子どもの「好きなこと」を見守ることで生まれた変化
未来:具体的にはどんな反応に出会えたのでしょうか?
野口:プチ冒険倶楽部で実施しているキャンプには、食事や排泄、洗面、入浴などの生活面のすべてに支援が必要で、自分のことを言葉で表現することができないような子も参加しています。
ある年に参加してくれた1人の男の子は、キャンプ中にただひたすら東京ドーム1個ほどの広さがあるキャンプサイトの回りをずっとぐるぐると歩いていたんです。もちろん、彼とパートナーになっている大学生のボランティアスタッフも、その子に合わせてずっと一緒に歩いています。実際のところ彼自身が楽しんでるかどうかは、私たちにはまったくわかりませんでした。
未来:楽しいかどうかわからないままずっと一緒につきあうのも大変ですね…。
野口:歩いているだけで疲れてしまうので、ときどきスタッフが交代しながら、ずっと歩いていました。2 日目に土砂降りの雨が降って、雷も激しくてどこにも出かけられなくなり、 約30人が入れる大きな屋根付きの広場で雨宿りをしました。その子も雨が降っていて歩けないので広場に座ったんですね。すると担当しているスタッフの隣でゴロンと横になってくれたんです。
未来:それまで行動を共にしていたから心を開いてくれたということでしょうか?
野口:実際どうしてそうなったのかはわからないのですが、それからは用意したプログラムの参加者が集まる場所にいるようになったり、当時実施したカヌーのプログラムは一緒にできるようになったことがありました。
プログラムよりも「そこにいることが大事」
未来:自然の中をひたすら気ままに歩いたり、雷雨のなかでみんなで雨宿りするなんて、キャンプでなければあまりないシチュエーションの体験です。その子にとって何かが変わるスイッチになったのかもしれませんね。

野口:こういう例はいろいろなところであると思いますが、自然体験はそういう「スイッチ」が入るタイミングや場所が、他のプログラムよりおそらく多いんじゃないかと思います。なぜかというと「プチ冒険俱楽部」のキャンプはいろんなプログラムを用意していますが、別にそのプログラムに参加できなくても OK なんですね。
未来:子どもたちがその場でやるかやらないかを選択できるということでしょうか?
野口:はい。彼らがそこにいることが大事なので、その子が気に入ったことにひたすら付き合うなかで、自然ならではの体験やパートナーとのコミュニケーションで成長のきっかけをつかむ子もいますし、みんなでやるプログラムで、自分の成長のスイッチを見つける子もいます。
未来:まさに参加者1人に1人、スタッフがパートナーとしてついているからできることなのだと感じます。一人ひとりが何かをつかむきっかけになる体験ができる場になっているんですね。
野口:ただ、これは実証が難しいことでもあるんです。「この場面でこういうことがあった」という事例を積み上げていくしかないのですが、私自身は「自然の中で好きなことができる」環境を、すごく大切にしたいと思っています。
「居心地のいい環境」はどうやって作られるのか?
未来:野口先生が子どもたちに「居心地がいい」や「やりたい」と思うような環境づくりで心がけていることを教えてください。
野口:参加者とパートナーの 2人がうまく関係性が作れるように、サポートをしています。子どもって、ボランティアの人がどれぐらい言うことを聞いてくれるか、結構最初は試したりするんです。
KAZ:わかります。我が家でも子どもが僕と妻とで「ここまでは言うことを聞いてくれる」というラインを使い分けていると感じてます。
野口:あえてひどいことを言ったり、やったりしてどこまで許されるかを試す子もいます。それでもいろいろな形で、しっかりとその子を見ているということを大事にしています。
例えばパニックになったときなどは、ちょっと離れていてもよくて、それでもちゃんと見守っていることを示すのはすごく大事ですね。こういう関係づくりは 2人だけだと行き詰まってしまうことがあるので、私を含めてほかのスタッフが適宜サポートをしています。
KAZ:2人だけで関係を完結させるのではなく、周りの大人が協力してみんなで支えてくれているというのは保護者としても安心です。
野口:参加者の子どもたちもちゃんと人を見ていて、僕はキャンプでは「なんちゃん」と呼ばれていますけど、なんちゃんが出てきたら「ちょっとやりすぎちゃったかな…」と子どもが観念するところが結構あります。
未来:なんちゃんが出てくるのはどんな場面なんでしょうか?
野口:ある年に参加した中学2年生の子は、キャンプに来たら好き放題できると思っていて、「もうやりたくないこと絶対やらない」や「こんなことはやらない」と言ってました。まあ別に「やる・やらないを決める」こと自体は大切なことだと思ってるので、それについてはいいんです。
2 日目の午後にクラフト工作のプログラムがあって、その後みんなで食べる夕食のカレーライスを作るときも「クラフトは嫌いだからやらない」「夕食も作らない」と言っていました。
未来:発達障がいではない子がいる家庭でも、子どもがそういう状態になることはありますが、全部やらないのは困りますね…。
野口:いろいろなスタッフが関わってもずっと動かなかったため、私が「君の選択は尊重したいので、やりたくないことはやらなくてもいいんだけど、ご飯を食べるんだったら夕食づくりに何かひとつは関わってほしい」と伝えました。
そこで、夕食作りの中で野菜を切ったり、火を起こしたり、お米を研ぐなど、いくつかできることの選択肢を出して「どれか一つはやりましょう」と言ったら、それで本人は納得して薪割りをしてくれました。そういった意味では「やらなくてはいけない」ではなくて「選択肢を出す」ことは大事かなと思います。
未来:確かに、家でも「〇〇しなさい!」と強く出るよりも、選択肢を出してあげたほうが本人が納得して行動に移してもらいやすいですよね。
野口:もちろん多くの参加者は、普段以上に自発的にいろいろとやってくれます。それはキャンプに参加している子どもが小学生から中学生までと年齢の幅が広いことも、きっかけにつながっているかもしれません。
キャンプも子どもにとっての「サードプレイス」になる
野口:先ほどお話したように、プレキャンプで保護者からお話を伺い、それからキャンプに向かうのですが、保護者といるときのお子さんの顔と、キャンプに来て見せる顔が結構違っているところがおもしろいです。
保護者から離れてキャンプに行くと、発達とは別に本人が持ってる個性や子どもらしさ、「じつはこういうことができる」ところが見えてきます。一時的に保護者と離れることも、本人にとってすごく大きな経験になると思います。
KAZ:確かに、学校や放課後等デイサービスにいるときの話を聞くと、家では一人っ子なのでわがままなのですが、学校では友だちとおもちゃを分け合って遊んだり、放課後等デイサービスでは自分より学年が下の子に遊び方を教えたりしていて、そのときの写真を見せてもらうと「家とは違う顔をしている!」と驚いたことがあります。

野口:今はサードプレイス(学校と家以外の第3の居場所)の話もメディアなどで出ていて、キャンプもそのひとつの形といえます。同じキャンプでも、例えば10泊くらいしてマウンテンバイクで100kmくらい走ったり、渓流をヘルメットとライフジャケットをつけて登る「沢登り」をしたりと、少しストレスがかかった状況で、その子の可能性を引き出すキャンプをやっている方もいます。
未来:それはなかなかハードな挑戦になりそうですが、それだけに新しい一面も出てきそうです。
野口:反対に僕は彼らがキャンプや自然体験の中で心地よく過ごせるように、こちらで環境を調整することを大切にしています。プログラムやスタッフとの関わりがあるなかで、引っ張るのではなくて「待つ」ことがすごく大事なのかなと。
未来:子どもひとり一人にスタッフをつけて、子どもが成長するきっかけを見つけるのを「待つ」体制にしているわけですね。弊社でもイベントを運営していますが、プログラムがしっかり決まっている方が運営としてはやりやすかったりしますよね。
でも、例えば弊社で実施している「おもいで創造」という海デビューイベントのプログラムの間の待ち時間に砂を掘って遊び始める子がいて、夢中になって砂を掘って「(砂から出てきた)海水が温かい!」と気づいたのを見て、自然の中で自由に楽しむ時間がその子にとっては大きな発見の瞬間になったんだなと思ったことがあります。
そのため、予定時間に余裕を持たせたり、自由時間を作るなどプログラムよりも夢中になっていることに時間をある程度使えるように工夫をしています。とはいえ、みんながそうなるわけではないので、バランスがすごく難しいと思っています。
野口:そうですね。自然体験の効果については、いわゆる質的な研究によってエピソードを集めて丁寧に分析していくことと、アンケートなどを分析して量的に「こういう効果がある」と数字で出していくことの両方が大事なんです。いかにバリエーションの豊富な活動を提供できるかが、子どもが育つ中では必要だと思います。
互いにサポートしあう関係が人間力を育てる
未来:パートナーになる大学生のボランティアの方も、キャンプを通じてある意味「人間力を育てる」ことにつながっているのではないでしょうか?
野口:はい。大学生ボランティアは子どもが好きだけど、子どもと接した経験はまったくない学生もいますし、保育や教育の看護の子など、いろんな(バックボーンがある)学生に協力していただいています。でも、大学生ボランティアが自然体験のことをすごく知っているか? と言うと、そんなことはまったくないんです。
未来:えっ、そうなんですか⁉
野口:もちろん大学生の方が大きくていろんなことを知ってたり、力もあったりするので、いろいろなお手伝いができます。でも、川遊びはやったことがないという学生がいて、何回も来ている支援が必要な子に「ここはこういう風にして遊ぶと楽しいんだよ」と教えてもらったりもしています。また、大学生と参加者がお互い初めて挑戦するということも、もちろんあります。どちらにしても「一方的に支援する、支援される」という関係じゃないところが見ていておもしろいなあと思うんです。

未来:歳の差はあるけど、ある意味対等な関係なのですね。
野口:歳が離れた友だちみたいな感覚もあるのは、お互いにとっていいのかなと思います。
毎年行っていることで「積み重ねの力」を実感
野口:参加者の中に何年か連続できてくれる子もいますので、回数や年月が積み重なっていくことで、できるようになったことが増えた例もあります。中学生になって個性の問題で学校でうまくいかないことがあって、家にいる間はずっと部屋の隅にいるという子がいました。
その子は毎年キャンプに来てくれていて、保護者の方から事情を聞いたとき「本人がキャンプには一応行きたいと言っているのですが心配です」というご相談を受けました。
「それでは受け入れましょう」とスタッフが事情を知ったうえで来てもらったのですが、キャンプ場についたら、昔の思い出がよみがえったのでしょう。保護者の方から言われたようなことはまったくなく、元気に参加できました。
未来:昨年までの体験が楽しかった記憶が、内向的になってしまった心を切り替えるきっかけになったのはすごいです。
野口:ほかには毎年行く川に、3mくらいの高さから飛び込んでも大丈夫な、少し深くなっているポイントがあるのですが、高いところが大好きでバンバン飛び込んでいく子もいれば、それがすごく怖いという子もいて、飛び込むかどうかは本人しだいなんです。そこで毎年「あそこから飛びたい」って言って行くものの、やっぱり怖いからなかなか飛び込めなかった子がいました。
それが 2 年 3 年と続いて中学2年生 のときに初めてそこから飛び込めました。我々が設定したことではなく、自分が立てた目標を何年かかってでもやれたというのは、何回か参加することでできるようになったことなのかな? と思います。
未来:何年か越しでできるようになるなんて、本人の達成感がすごかったと思います。
野口:そうですね。小さいことですが複数回参加することで子どもが「できるようになった」例はほかにもたくさんあります。前年は火が怖くて広場に入れなかった子が、キャンプファイヤーに参加できるようになったことや、輪の外にずっといた子が輪に入れたこと、毎年参加していて他の友だちが包丁で材料を切っているのを見て、アドバイスをするようになった子もいますね。

野口:できたことが増えてくると「次はこうしてみよう」と新しいステップが見えてきます。小さなことですが、少しずつできることを増やしていく。それを運営している我々が気づいて「一緒に喜んであげる」ことが、我々ができる一番大事なことなんじゃないかなと思いますね。
KAZ:発達障がいの子どもは成長がゆっくりなので、数年単位で見ると成長したことが見つかりやすいというのは親として私も実感しています。
野口:1 回のキャンプですごく変わることももちろんあるんですけど、「積み重ねの力」が大きいと思います。定型発達の子どもなら 1 回のキャンプでこれぐらいできるかもしれないと思うことでも、発達障がいのある子たちは 5 年や 6 年くらいかかることがあって、長いスパンで見たときに「そういうこともできるようになるんだ」という発見があるのもうれしいところです。
子どもたちが将来楽しむ余暇のひとつに
未来:「プチ冒険倶楽部」は2011年から活動されているとのことですが、最初に体験された子はもう大人になっていますね。どんなことをしているのでしょうか?
野口:第1回を体験した子のなかで最年長は 現在24 歳ぐらいです。その子は今、キャンプで体験したクライミングにハマって、月 1でジムに行っています。年に1 回、実際の岩に挑戦しているそうです。いろいろな体験を積み重ねていくことで彼らが楽しいと思える活動が見つかったら、それが余暇にもつながると思います。
未来:知的障がいがある方は、大人になるとどのような道に進むことが多いのでしょうか?
野口:少し障がいが重い子は、平日は 9 時から 17 時まで授産施設(さまざまな事情から働くことが難しかったり、十分な収入を得ることが難しい人に、就労やスキル習得、自立をサポートする施設)で仕事をしています。休日になると家族と過ごすことが多くなるので、余暇をどうするか悩んでいるご家庭も多いです。
未来:子どもが大きくなったぶん保護者も歳を重ねるので、週末ごとにどこに行くか考えたり、体力が衰えてきて付き合うだけでも大変というご家庭もあると思います。余暇として選ぶものは自然体験でなくてもいいのでしょうか?
野口:もちろん、僕は自然体験に限らず、鉄道やアニメなど、余暇に好きなものがあるのが大事だと思っています。でも、一つの選択肢として自然の中での活動が選ばれたとしたら「プチ冒険俱楽部」で実施していることでもありますし、毎年内容を充実させていることでもあるのでうれしいです。
未来:支援が必要にはなるものの、その子の好きなことが余暇としてできるようになっていくといいですね。大人になった発達障がいの人たちが余暇の過ごし方を見つけたり、一緒に楽しむサービスなどは増えているのでしょうか?
野口:例えば一緒に映画を観たり、買い物に行ったりといった余暇活動が少しずつ増えていると思います。NPOでは就労のことだけではなくて、余暇の支援も定期的に行っている団体も増えています。自然体験も、私のほかにつくばの方でもやられていて、いくつかは増えてはいるんじゃないかと思います。
未来:自然体験のなかでいろいろな挑戦をしていくことで、将来の余暇や生きる楽しさを見つけるきっかけになったらいいですね! 本日はありがとうございました。
野口先生のお話を伺って
発達障がいがある子どもの保護者として、3泊4日で子どもを預けられるキャンプがあることにまず驚きました。毎日毎日夫婦2人がかりでどうにかうまく回している現状を考えると、このような体験があるのが本当にありがたいです。同時に、それが教育や研究の場に活かされていることもうれしく思いました。
我が子は成長がゆっくりなので、できないことをできるようになった瞬間をよく見つけています。と自負していたのですが、それでも、ときどき「あれ? いつの間にこんなことができるように⁉」と驚いたり「前にあんなに困っていたことが、今はぜんぜんしなくなってる…」とあとから気づくこともたくさんあります。
これは学校に行くようになって、自分の知らないところでの息子の活動が増えてきたのが理由のひとつだと思います。
「プチ冒険俱楽部」のような取り組みは子どもを成長させる機会としてはもちろん、学校や家以外での大人とのコミュケーションの場「サードプレイス」としても有用といえそうです。保護者が普段できないような、いろいろな経験をたくさんの大人が見守りながらしてくれるのはとても魅力に感じました。
また、野口先生がおっしゃっていた「好きなことができる環境を整えて待つ」というお話もよかったです。我が家でも家族旅行などで、ついスケジュールを詰め込んでしまい、「子どもが自分で楽しいと思うものを見つけたり、好きなことを発見するのを待つ」余裕がない場合があったので、これからは時間的にも保護者の精神的にもゆとりを持って息子と過ごせるようにしたいです。
定型発達のお子さんを育てている方も「好きなことができる環境を整えて待つ」姿勢は、大事なことだなと感じました(KAZ)。
お話を伺ったのは…野口和行先生(慶應義塾大学 体育研究所 教授)
〈監修者プロフィール〉
共通教育の体育科目の一環として、キャンプ、登山、スキー、スケート、カヤック等の授業と、野外教育に関する研究に従事。
また、特別な配慮や支援を必要とする人たちを対象とした自然体験活動の実践や、ネットワーク団体の運営に携わっている。
(公社)日本キャンプ協会 常務理事
日本野外教育学会 理事
JAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD 運営委員・選考委員
プチ冒険倶楽部 代表
スペシャルニーズ・キャンプ・ネットワーク 代表
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