発達障害の人が見ている世界

好き嫌いが多すぎる=食わず嫌いではない? 発達障害の子を多く診る精神科医が「感覚過敏」を解説【連載第7回】

「人の話が聞けない」や「片付けられない」など日常生活における困りごとがある「少し付き合うのが大変」な人たち。その原因のひとつとして、脳にある特性が原因となっている「発達障害」が挙げられます。しかし、発達障害の患者を診る精神科医によると、こうした困りごとは「定型発達と呼ばれるいわゆるごく普通の人にも当てはまる」と言います。発達障害の人がよくある「困りごと」から発達障害の人が見ている世界を知り、我が子が同じような場面に出会ったときにどう対処や声がけをしたらいいのかを知るインタビュー連載の第7回です。今回紹介する困りごとは「好き嫌いが多すぎる」です(株式会社アスコムさまより献本していただきました)。

岩瀬利郎先生

好き嫌いが多く、少数の決まったものしか食べられない子どもにはどうしたらいい?

未来:岩瀬先生の著書「発達障害の人が見ている世界」から紹介する今回の困りごとは「好き嫌いが多く、少数の決まったものしか食べられない」お悩みです。

発達障害の中でもASD(自閉症)の人は感覚過敏があることで強い偏食傾向を示す人が見受けられるそうですね。相談された方は「イチゴのツブツブが怖く、ハンバーグは味が濃すぎるように感じ、麦ごはんはパサパサする」など、定型発達の子どもよりも何倍も大きな刺激を感じているのも驚きました。その子は給食はやめて特別にお弁当を持たせてもらっているそうです。

本では岩瀬先生が「過去に食べた物のどこが嫌だったのかを整理して少しでも具体的に分かれば食べられそうなものが作りやすくなります。栄養バランスは気にしながらも無理強いせず、食べられるものが増えるのを待ちましょう」とアドバイスをされています。

著書の中で紹介されているような感覚過敏は今、結構多いのでしょうか?

岩瀬先生:そうですね。では視覚過敏の例を挙げていますが、視覚よりは聴覚の過敏の方が多く、また触覚や匂いなどの過敏症の子どももかなり多いです。

未来:食べ物を口の中に入れた時の感覚が嫌で食べられない子がいるということを保護者が理解して、単なる好き嫌いではなく自分とは違う感覚があるということを知ってもらうことが大切ですね。

岩瀬先生:食べられない理由はいろいろあって感覚過敏だけではないと思いますが、感覚過敏が原因で食べられないものがある場合は、食形態(形や見た目)を工夫することで食べられるようになる可能性があります

未来:我が子の場合はとにかく「嫌い」「食べたくない」と言われることが多くて、食べず嫌いもありました。とくに野菜でその傾向が多かったです。そういう家は多いと思うのですが、何とか食べてもらいたいとがんばって保護者はいろいろと工夫しています。ですが、そこに「もしかしたら感覚過敏かも」と思い至る親はほとんどいないと感じています。そのためにも、「食わず嫌い」などと決めつけずに食べられない理由を本人に聞いてみることが大事なんですね。

発達障害の人が見ている世界

岩瀬先生:先ほどお話したとおり、偏食の原因が感覚過敏であることがわかっていれば、食形態を工夫することである程度改善することはできます。しかし、そもそも実際に「何でも食べるようにしつけないといけないかというと、別にそうではない」ですよね。なので、ある程度工夫するところはしていただくとして、悩みの元は、親御さんの態度として完璧を目指しすぎているところもあるのではないでしょうか。

未来:確かに、そうかもしれません。

岩瀬先生:あらゆる食材を使った料理を食べさせて、子どもが美味しいと言ってなんでも食べてくれるような、そういうケースはあまりないと思います。大人になると味覚が変わるので、子どもの頃は食べられなかったものが食べられるようになることもあります。何が何でも食べさせなくちゃいけないと思うことは間違っていると思います。

未来:「こうあるべき」や「何でも食べる子が健康だ」と思うことは、もしかしたら考え方が固定的過ぎるということですね。

岩瀬先生:偏食は直さなきゃいけない、しつけの一環として直せると思っている人もいるでしょう。でも、子どもの偏食は問題になって話題になりますが、大人の偏食は問題にならないですよね。

未来:そうですね(笑)。

岩瀬先生:大人の偏食の人に対して「この人を何とかして治さないといけない」と思う人はいますか?

未来:食べられないなら、それはそれでという感じですよね。

岩瀬先生:まあその程度で済んじゃいますよね。

未来:保護者として良かれと思って子どもにと言っていると思うんですけど、「こうするべき」「直さないといけない」という想いが強過ぎると考え方が偏ってしまうということですね。ありがとうございます。

岩瀬先生のお話を伺って

インタビュー中に「野菜が嫌い」という悩みを相談しているのは別のスタッフですが、知的障害がある自閉症の我が子も家では超がつく偏食家です。一時期は納豆とご飯しか食べていなかったくらいだったのですが、少しずつ食べられるものが増えてきました。学校の給食は完食してくるので、感覚過敏ではなさそうな気もするのですが、本人がうまく説明できないためわかりません。それでも年に1つか2つ新しく食べられるものが増えているので、栄養のバランスがある程度摂れていればいいと思うようになりました。新しい食材や料理に挑戦させる姿勢は持ちつつも、おおらかな心でいたほうがお互いいいのだなと、お話を聞いていて思いました(KAZ)

岩瀬先生の著書「発達障害の人が見ている世界」を抽選で5名にプレゼント!

発達障害の人が見ている世界

記事でもエピソードを紹介している「発達障害の人が見ている世界」は、発達障害の人やその保護者が抱えている日常の困りごとを「なぜそうなるのか?」と「どうしたらいいのか?」をやさしく丁寧に解説している本です。今回は、この本を抽選で5名にプレゼント! 以下のフォームにメールアドレスとお名前、記事の感想を書いて応募してください。締切は12月8日(金)まで。たくさんのご応募、お待ちしております。

応募フォームはこちら(受付は終了しました)

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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