発達障害の人が見ている世界

話の流れでわかるはずなのに…小学生の「あるある」な困りごとを精神科医が解説【連載第2回】

「人の話が聞けない」や「片付けられない」など日常生活における困りごとがある「少し付き合うのが大変」な人たち。その原因のひとつとして、脳にある特性が原因となっている「発達障害」が挙げられます。しかし、発達障害の患者を診る精神科医によると、こうした困りごとは「定型発達と呼ばれるいわゆるごく普通の人にも当てはまる」と言います。発達障害の人がよくある「困りごと」から発達障害の人が見ている世界を知り、我が子が同じような場面に出会ったときにどう対処や声がけをしたらいいのかを知るインタビュー連載の第2回です。今回紹介する困りごとは「話の流れでわかることなのに細かく説明しないとわからない」です(株式会社アスコムさまより献本していただきました)。

岩瀬利郎先生

「話の流れでわかるでしょ?」が通用しなく、事細かに説明しないと伝わらない子どもにはどうしたらいい?

未来:岩瀬先生、今回もよろしくお願いいたします。今回は、「話の流れでわかるでしょ?」が通用せず、細かく説明しないと何度も聞き返してくる子どもにはどう対応したらいいかという困りごとについてお伺いします。

「発達障害の人が見ている世界」では、指の骨折で診察に来た子どもに、骨折したところを見せてもらうために「じゃあ指を見せて」と言うと「どの指のこと?」とキョトンとしてしまい、「骨折の話をしてるのだから骨折した指を見せてという意味に決まってるでしょ…」と質問する側が困惑してしまうというお話が収録されています。

先生はそのお悩みに対して、そういうお子さんには「いつ、誰が、なにを、どうするなど、具体的な表現をするよう心がけましょう」とお話されています。例えば「あれやった?」でなく「今日の国語の宿題やった?」などですが、具体的な表現をする際に気をつけておきたいことやコツなどはありますか?

岩瀬先生:物事を具体的に説明することは、なかなか難しいところがあります。やはり一般の方は毎日それほど細かいところまで綿密に定義して言葉は発していませんので、つい「あれやった?」「これやった?」という曖昧な表現を使ってしまい、最終的には「宿題に決まってるでしょ」となってしまいます。質問している側の大人がかなり具体的な何を説明しているのかについて注意しながら伝える必要があります。

未来:先生に言われると説得力があります。難しいのは私だけではなかったんですね(笑)。

岩瀬先生:自分の頭の中では「あれ=宿題」と無意識につながっているので相当注意をしていないと具体的に表現することは難しいと思います。工夫としてできることは、実際に本人に言う前に紙に書いてみて、この内容だったらある程度わかるなと客観的に自分の考えを見つめ直してから本人に伝えることです。とはいえ、学校の先生方はこの方法で対応することができると思いますが、家庭ではなかなか難しいと思います。

未来:そうですね。特に朝や夜はバタバタして忙しかったりして気持ちの余裕がないことが多いです。

岩瀬先生:あとは物事をルーティーン化していただくことですね。これはイレギュラーなことは出さないということ。例えば朝は顔を洗ってご飯を食べてトイレへ行って、その後登校するなど、それ以外のことはあれこれ提示しないように心がけることです。イレギュラーなことを提示するとお子さんは困惑してなんと答えたらいいか分からなくなってしまいます。なので、毎日の行動をルーティーン化して、とくに急いでいる状況ではイレギュラーなものは持ち出さない工夫を心がけましょう。

未来:「未来へいこーよ」でも朝や夜にやることをリスト化したり時計を使ってわかりやすく1日の予定を見やすくしたりする記事を出したことがあります。そのような「見える化」は1日のやることや時間が分かっていて、明確に表示できていると良いということでしょうか?

岩瀬先生:はい、そうですね。

「おしたく時計」の記事では、朝の1時間でやることを時計に書いて「今何をする時間か」というのを見える化しています。

岩瀬先生のお話を伺って

普段、自閉症で知的障害のある小学生を育てているため、エピソードで紹介したような会話ですら、我が子の場合はまだできません。聞くことを1つにしぼってみて、それでもダメなら「1.●●、2.●●」というように選択肢で情報を整理して簡単に答えられるようにしています。岩瀬先生のお話にあるように、ルーティーン化もうちの子には有効でした。今では朝の支度と夜の寝る前の準備は、ほぼルーティーン化できています。我が子の場合はタイマーを使って「タイマーが鳴ったら●●しよう」と伝えていると、素直に従ってくれることが多くなりました。発達障害でない子どもや大人でも、ルーティーンのように習慣化すると「あれをやらなきゃ、これをやらなきゃ」とそれほど意識しなくても進められるので、うまく日常生活に生かしたいなと思います(KAZ)

岩瀬先生の著書「発達障害の人が見ている世界」を抽選で5名にプレゼント!

発達障害の人が見ている世界

記事でもエピソードを紹介している「発達障害の人が見ている世界」は、発達障害の人やその保護者が抱えている日常の困りごとを「なぜそうなるのか?」と「どうしたらいいのか?」をやさしく丁寧に解説している本です。今回は、この本を抽選で5名にプレゼント! 以下のフォームにメールアドレスとお名前、記事の感想を書いて応募してください。締切は12月8日(金)まで。たくさんのご応募、お待ちしております。

応募フォームはこちら(受付は終了しました)

この記事を読んでいる人は「多様性」に関するこんな記事も読んでいます
・小学校で人の話が聞けず、席を立ってしまう…子どもの困りごとの解決法を精神科医が解説
・100均で簡単DIY! 「おしたく時計」で小1娘が課題克服に挑戦
・小1娘の生活改善に! 忘れ物や遅刻をなくす「問題解決」の練習法
・子どものコミュニケーション能力が格段にアップするペーシングとは?
・【子育て人生相談】どうしたら自分で時計を見て行動するようになる?
・【未来へいこーよ】が育むココロのスキル(非認知能力)について

SHARE ON
Facebook
Twitter
6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

RELATED ARTICLEあなたにおすすめの記事

  1. りんけんゲームズ

    二足歩行したら小さな大人!「8歳と5歳のゲームデザイナーの「成功体験」を後押しした大人の役割とは

  2. Pieces of milk chocolate stacked on a white plate with a blue diamond pattern on a wooden table

    カカオを使わないチョコ風味のお菓子「チョコか?」が子どもに手渡す、未来の美味しい選択肢

  3. 妖怪博士・小松和彦先生が語る「ワクワク」と「ドキドキ」を失わない方法

  4. 自由すぎる研究EXPO 小澤さん

    「好奇心は、その人の未来そのもの」高校生が「神経科学」を通して見つけた学びのかたち(自由すぎる研究®EXPO2025受賞者インタビュー)

  5. カゴメ Beyond

    にんじんが、オレンジの味になる? カゴメ「Beyond」開発者・今井さんの“つくる”物語

  6. 子ども記者 オーエックスエンジニアリング取材

    車いす製作メーカーを子ども記者が取材!意のままに動かせる車いすの秘密とは?(PR)

  1. Night scene of a city riverbank with a large LED sign in purple, blue, and gold characters reading '___ 400年' against the dark sky, reflecting on the water below

    隅田川の夜空に赤穂の塩400年をドローンで描く KITTE「赤穂塩博」…

    2026.10.07

  2. 塾の先生と面談する親子

    地方・公立育ちで中学受験がわからない…小4の保護者が最初にできる…

    2026.10.06

  3. Middle-aged man in a suit sits at a table with newspapers and a coffee cup, in a glass-walled office overlooking a cityscape.

    「中学受験、うちはどうする?」に答える新連載がスタート 教育ア…

    2026.10.06

  4. Children in a train car hold up colorful paper cards with letters and dots during a group activity.

    「好き」から出会う、学校以外の居場所 小田急の貸切ロマンスカー…

    2026.10.06

  5. A joyful family dancing together in a living room, arms raised and smiling at the camera.

    「いつでも遊んでいいよ」と言えるゲーム機。広告もゲーム内課金も…

    2026.09.30

  1. やりぬく力を育む絵本

    【年齢別】図書館司書に聞いた、子どもの「やりぬく力」を育てるお…

  2. やらない子育て

    通知表の成績が気になったら?結果より「プロセス」に注目してみよ…

  3. やらない子育て

    「やっぱり辞めたい」と言われたら…習い事は1か月で辞めてもいい?…

  4. 子どもの運動神経を伸ばすベストな方法は? 遺伝や工夫も紹介!

  5. Bright blue electric passenger train on tracks under a clear blue sky, overhead power lines above.

    貸切ロマンスカーが1日限定の教室に 9月22日「走るAOiスクール」開…

みらいこSNSをフォロー

子どもの未来を考える子育てサイト「未来へいこーよ」をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む