子どものコミュニケーション能力が格段にアップするペーシングとは?

ビジネスの場でコミュニケーションを円滑にする技法「ペーシング」。大人だけではなく、子どもとのコミュニケーションも円滑にしてくれるって、ご存知ですか?上手な取り入れ方や、子どもにどんなメリットがあるのかお話しします。

いっしょにゲームをするのもペーシング!?

ペーシングとは、相手に話し方や行動を合わせて、共感の意識を得るというコミュニケーション技法の一つです」。

そう話すのは、子育てカウンセラーの東(ひがし)ちひろさん。

例えば、相手が腕を組んだらこちらも腕を組む、驚いたらいっしょに驚くなど、動作や話し方を合わせることがペーシングの基本だといいます。さり気なく取り入れられるのは、話す速度や声のトーン、目線の高さを合わせるなど。そうすると、相手に共感の意識が芽生え、より良い信頼関係のベースが作られていくそうです。

「人間には防衛本能があり、自分と質が似ている人に出会うと、直感的に安心します。すると心が開放的になり、相手の話を素直に聞けるようになるのです。逆に、相手を否定的な人物だと感じると、心は開きにくくなります」。

ゲームをやめない子どもを叱っても、なかなか言うことを聞いてくれない−−。そんなときは、いっしょにゲームをしてみるのもペーシングだと東さんは話します。

「ゲームで遊んでから『少し休憩しようか』と声をかけると、素直に応じたという話もあります。共感の意識が心を開かせる一つの例ですね」。

子どもとのペーシングは相づちがポイント

では、子どもとの信頼関係を築くためのペーシングとは、具体的にどのようなものでしょうか。

もっとも重要なことは聞き手にまわること。まずは子どもがどんどん話したくなるよう、たくさん相づちを打ってあげてください」と東さん。

「ふんふん」「それで?」「へえー」「なるほど」など、否定せずに話を合わせてあげることがポイントだそう。目線の高さや話すスピードも合わせてあげると、子どもはもっと安心するそうです。そしてもう一つのポイントが「ママがしゃべり過ぎないこと」。

会話は子どもが7割、ママが3割くらいの気持ちで、話を聞く側に回ってあげてほしいですね。ママが『うんうん』と聞いてくれているだけで、子どもの情緒は安定します」。

メンタルが落ち着くと、ママが「ダメだよ」と言ったことにも素直に耳を貸すようになるそうです。

ちなみに、子どもが誰かの悪口や良くないことなど、ネガティブなことを話してきたときには、どうすればいいのでしょう。

「そんなときは、YESともNOとも言わず、『あらそう』『へえ』とさらっと流すのがコツですよ」。

まずは聞いてあげることが、子どもとのペーシングの基本なのですね。

コミュニケーションに必要なのは「自信」

「不登校の子どものほとんどは、自分に自信がもてなくて気持ちが不安定になっています」と東さん。子どもが元気に友達と過ごせるようになるには、幼少期にママが自信をつけてあげることが大切だといいます。

「ペーシングは子どもに安心感を与えます。否定せずにママが自分を受け入れてくれることで、子どもはママが味方だと感じるのです。『ママに認められた』という感覚が自信につながっていけば、他人とのコミュニケーションを積極的に楽しめる人格が形成されますよ」。

ペーシングを上手に活用して、子どもにしっかりと自信をつけてあげたいですね。

※参考書籍

お話を聞いたのは…
東(ひがし)ちひろさん
一般社団法人子育て心理学協会代表理事。元、幼稚園講師、小学校教諭。現在は、全国で子育て心理学講座を開講し、子育てママをサポートできる子育て心理学インストラクターを養成中。「子どもが伸びる!魔法のコーチング」(学陽書房)など著書多数。
[1歳~6歳]9割は「叱ること」ではありません
東ちひろマザーズセラピー「子育て心理学」

ライター紹介
近藤 浩己
1974年生まれ。ライターズオフィス「おふぃす・ともとも」のライター。トラック運転手からネイルアーティストまでさまざまな職を経験。しかし幼い頃から夢だった「書くことを仕事にしたい!」という思いが捨てきれずライターに。美容・ファッション系ライティングが得意だが、野球と柔道も好き。一児の母。

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