約1,000人の小学生が、1年間の学びの集大成として模擬店を企画・準備し、当日の運営まで担って「1日限りの街」を作り上げる体験型イベント「KBCタウン2025」が開催されました。会場は東京ポートシティ竹芝内・東京都立産業貿易センター浜松町館。午前・午後の完全入れ替え制で行われ、子どもたちがそれぞれの役割を担いながら街を運営します。会場では疑似通貨「ケビィ(KB)」を使い、本格的なお金のやりとりも体験可能です。今回は「未来へいこーよ」スタッフが子連れで参加し、子どもたちが本気で働く姿を間近で取材しました。
KBCタウンとは?
KBCタウンは、東急キッズベースキャンプが実施する独自の小学生向けキャリア教育プログラム「キッズMBA(大人のいる社会(よのなか))」の一環として行われる体験型イベントです。小学1年生から6年生までが協力し、店舗ごとに会社を立ち上げ、役割分担をしながら街を構成していきます。

半年以上前から子どもたちが主体となり、お店を決め、商品開発を行います。商品準備の計画や販売戦略、接客方法の検討まで、子どもたち自身が話し合って決めます。看板制作や紹介動画の撮影、接客練習、リハーサルも重ね、本番に臨みます。当日は接客も会計もすべて子どもたちが担当。会場内では疑似通貨「ケビィ」が使われ、買う側と売る側の両方を体験できる仕組みです。
4フロアに広がる“子どもが運営する街”
会場は2階から5階までを使用。東急キッズベースキャンプが東京・神奈川で展開する学童保育施設「キッズベースキャンプ」「キッズベースキャンプα」「キッズベースキャンプ∞」のあわせて22施設が参加し、スイーツ、手作りグッズ、体感ゲームなど個性あふれるショップが並びました。

さらに株式会社伊藤園や株式会社朝日小学生新聞社をはじめとする協賛企業の23社のうち18社も独自ブースを出展。子どもの模擬店と企業ブースが混ざり合い、大人と子どもが同時に質の高いイベントを運営しています。

イベントは午前と午後の二部制。途中で完全に入れ替えを行い、参加する子どもたちも総入れ替えになります。限られた時間の中で、子どもたちは集中して働いていました。
小学生市長の想いとは?
開会式では、市長選で選ばれた子どもが挨拶を行います。今回は午前中の市長を担当する4年生の「そうちゃん」に、挨拶後にお話を伺いました。挨拶を終えた直後の感想を聞くと、「緊張しました」と照れ笑い。それでも壇上では堂々と話しており、責任を背負う覚悟が伝わってきました。

KBCタウンの参加は今回で4回目というベテランです。なぜ立候補したのかを聞くと「みんなが楽しく、笑顔で参加してほしかったから」と答えてくれました。何度も参加する中で、「楽しいだけでは街はうまく回らない」ことも感じてきたそうです。だからこそ「自分が中心になって、みんなが気持ちよく働ける街にしたい」と思ったのだとか。
理想のKBCタウンについて尋ねると、「みんながつくる、笑顔な街」と笑顔で答えてくれました。自分が目立つのではなく、みんなで作ることを強調していたのが印象的でした。
その後は、市長の仕事に同行。協賛企業のブースを回り、名刺交換を行います。相手の目を見てしっかりあいさつをする姿は、まさに街の代表です。

低学年の子どもたちがその様子を見つめていたり、移動するたびに「そうちゃん市長!」と声をかけてくるのも印象的でした。市長という役割が、街全体の雰囲気を作っているのだと感じました。
疑似通貨「ケビィ」でリアルなお買い物体験
知的障がいがある自閉症の息子と参加した私は、まず銀行で疑似通貨「ケビィ」を購入します。紙幣を手にした息子は、それだけで少し誇らしげです(笑)。

「ぎんこう」で1000円を1000ケビィに両替。紙幣らしいデザインも素敵です
最初にKBCα用賀が運営している果物狩り体験がテーマの「もぎっとフルーツあにまるランド」に行きました。

※設営時の写真
各ショップは会計や案内、説明など、それぞれ役割を細分化して難易度ごとに担当の子を振り分けているようです。体験料は100KB。体験前の説明は1年生の女の子が元気よく読み上げてくれ、どの子にも活躍の場が用意されているところに好感が持てました。

スタッフの服装も動物がモチーフになっているようです
果物狩りは木が描かれたボードにフックがたくさんついていて、それを専用の棒を使って取っていきます。難易度ごとにポイントがついていて、ポイントによって異なる景品がもらえます。

息子はたどたどしいながらも果実をいくつか取り、満足げにお菓子を受け取っていました。
次にKBC武蔵小杉東急スクエアの「ゴロゴロごろっとジュースやさん」へ。こういうショップ名も子どもたちが相談して考えただけあり、看板をながめるだけでも楽しいです。こちらではフルーツジュース&ティーを販売しています。息子はリンゴジュース(400KB)を自分で注文して買いました。子ども同士のやりとりなので、お互い多少たどたどしいところがあってもほほえましく見ていられるのがいいです。

いつもは商品をもらう専門の息子ですが、ケビィの受け渡しと注文、商品を受け取るところまでがんばりました
リンゴジュースは、中に細かくカットした本物のリンゴが入っていて、大きなストローでジュースと一緒に飲めます。息子は買い物でケビィを払うだけでも緊張したのか、リンゴジュースを一人で一気飲みしていました(笑)。とても美味しかったそうです。
「ゴロゴロごろっとジュースやさん」をはじめ、さまざまなショップで宣伝スタッフも子どもが担当しています。みんな「もうすぐ売り切れです~!」や「美味しいですよ~!」など、一生懸命売り子をしていて楽しそうでした。

衣装から始まった挑戦。ウエスタンキッズストアのものづくり
続いて、KBC下丸子の「ウエスタンキッズストア」の小学校3年生の女の子2人にお話を伺いました。

インタビュワーである筆者の後ろにある手は、一緒に参加していた子どものもの
「まずはこのウエスタンの衣装でお店をやりたい、という気持ちがありました」と教えてくれました。そこから、カウボーイの世界観に合う商品を考え、革を使ったグッズづくりに挑戦。イメージから素材、そして商品へと発想を広げていったそうです。
商品は、男の子も女の子も使えるデザインを意識。色のバリエーションを増やし、性別に関係なく選んでもらえるよう工夫したそうです。しかし、実際の制作は想像以上に大変だったといいます。塗る、貼る、仕上げるという作業を何度も繰り返し、数が増えるほど忙しさも増していったそうで「こんなに作業が多いとは思わなかった」と笑いながら振り返っていました。

普段は“買う側”でいることが多いからこそ「お店の人ってこんなに苦労して売っているんだと分かりました」と実感していました。
本番当日のショップの様子を聞くと、さまざまな子どもや大人がブースを訪れてくれて「うれしかった」と笑顔。リピーターが来てくれたことも、大きな励みになったといいます。準備の時間があったからこそ、喜びもひとしおだったのでしょう。
2人は今回で3回目の参加で「毎回ちがう発見がある」と話す姿からは、挑戦と振り返りを重ねながら成長している様子が伝わってきました。
目立たなくてもかっこいい。人気の市役所職員
KBCタウンにはショップだけでなく、市役所職員という役割があります。広報課、環境課、まちづくり計画課の3部署があり、事前準備では新聞制作やゴミ分別の呼びかけ、営業許可証の作成、共有ブースの看板制作などを担当します。

イベント当日、会場にてエレベーター前の案内やアナウンス、ゴミ回収を行うのも市役所職員。きびきびと働く姿は頼もしく、高学年の子どもたちに人気の役割だそうです。

目立つ仕事ではありませんが、街を支える存在。その姿を見て「かっこいい」と感じる下級生も多いと聞きました。役割の価値を自然と学べる環境がここにはあります。
取材を終えて
まず感じたのが参加している子どもたちの熱量の高さです。子どもたちが自分たちの仕事に全力で取り組み、小さな仕事も精一杯やっている姿に大人としても襟を正す思いでした。会社の設立から始まり、半年かけてすべてを自分たちで準備したことがこの熱量につながっているんですよね。大人になる前に、こうしてみんなで協力して商品や企画を作り上げていく体験をしたことは、その子にとって大きな財産になると思います。KBCタウンは楽しさだけでなく、社会の仕組みや役割を学べる「未来につながる本気の体験の場」だと感じました。ちなみに、我が家の息子は自分と同世代の子が店員さんをやっているのを見たのが刺激になり、我が家で「コーヒー屋さん」を始めました(笑)。(KAZ)。
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