全国の中高生が制作した自由研究作品を、さまざまな業種の企業や大学などの多彩な視点から称賛する「自由すぎる研究EXPO2025」の最終審査結果が発表され、「未来へいこーよ賞」として「より多くの方へ熱気球に親しみを!」が受賞しました。受賞特典としてインタビューに登場するのは、N高等学校の高澤陽奈さんと中川茉莉花さん。二人は熱気球に魅せられ、「同好会」を立ち上げ、オンラインとリアル双方でイベントを企画・運営してきました。幼い頃の体験や偶然の出会いから始まった挑戦は、学びや仲間との関わりを通じてどのように広がっていったのか。本人たちの言葉から、その歩みと未来への思いを聞きます。
「自由すぎる研究EXPO」とは?
全国の中高生から自由研究作品(探究の成果物)を募集し、企業や大学などで構成される「称賛団体」が、多様な観点から生徒の探究を称賛するコンテストです。社会の一線で活躍する大人たちが、それぞれの専門領域から生徒の挑戦に光を当てるのが特徴です。
「より多くの方へ熱気球に親しみを!」が未来へいこーよ賞を受賞
子育てサイト「未来へいこーよ(アクトインディ株式会社)」では昨年に引き続き「自由すぎる研究2025」に称賛団体として参加。「次の世代に価値を残せるような、ドキドキやワクワクが詰まった」研究に「未来へいこーよ賞」を贈ることにしました(今回は2つの自由研究が受賞)。そのひとつとして紹介するのが、N高等学校の高澤陽奈さんと中川茉莉花さんによる「より多くの方へ熱気球に親しみを!」です
この自由研究では、小さい頃から熱気球に惹かれた中川さんが「熱気球同好会」を立ち上げ、そこに高澤さんが加わり活動が広がっていった様子が発表されています。通信制で全国に仲間がいるというN高ならではの強みを生かし、現役パイロットや企業を招いたオンラインセッションを企画。気球の仕組みや大会の裏側を知るだけでなく、高校生との対話を通して研究発表の場としても盛り上がりました。

さらに佐賀では宿泊型イベントを開き、参加者に搭乗体験を提供。N高グループの文化祭「磁石祭ZERO」では、約3万人が来場したオンライン会場で自作動画を公開し、気球の魅力を届けました。

活動を通じて「知る」「伝える」「動かす」「つなげる」ことの大切さを学び、今後も教育や地域交流につなげたいとしています。
作品詳細はこちら (外部サイトでPDFが開きます)
受賞の理由
「気球が好き!」という思いが、ずっとブレずに活動の中心にあるのがとても素敵だなと思いました。課題を解決する方法として、自分の高校の特徴を生かしてオンラインで広げていこうとする視点もいいですね。さらに、オンラインだけでなく、宿泊型の気球体験イベントを企画するなど、同好会を通じて仲間を増やしながら、自分の「好き」を大切にして取り組んでいる姿勢がすばらしいです。
幼い頃から憧れてきた空と気球
未来: 小さい頃から気球に興味を持っていたそうですが、きっかけを教えてください。
中川: 私は毎年、家族で佐賀バルーンフェスタに行っていました。物心つく前から通っていたので、自然と大好きになりました。

中川茉莉花さん(写真右)
高澤: 私は石川県の能登に住んでいて、気球と接点のない生活をしていました。でもテレビ番組をきっかけに熱気球に興味を持ち、N高で中川さんの同好会を見つけて参加しました。実際に体験に誘ってもらった時の光景や感動が今でも忘れられません。

高澤陽奈さん(写真左)
未来: 熱気球の魅力を一言で言うなら?
高澤: 「太古から変わらない空の憧れ」だと思います。人類が空を飛ぶという夢を初めて叶えた乗り物で、文明が進んでも昔と同じ景色を見せてくれる。根源的なロマンがあると思います。
中川: 私は「心を動かすもの」ですね。空を見上げるだけでも感動しますけど、そこに気球が浮かんでいると「こんなものがあるんだ」と心が揺さぶられるんです。

未来: 実際に乗ってみるとどんな景色が見えるのでしょう?
中川: 雲の高さまで行くこともあって、鳥になったような気分になります。人が小さく見えるほど高く上がるので、地球の大きさや丸さを実感できるんです。
未来: 幼いころはどんな子どもでしたか?
中川: 小さいころから気球に親しんできて、空を見上げる時間がとても好きでした。身近にないものに出会うと「どうなっているんだろう」と考え込むことも多く、好奇心のままにのめり込むタイプでした。家族からも「好きなことに一直線」「熱中すると周りが見えなくなる」とよく言われていました。
高澤: 私は自然やテレビから刺激を受けるとすぐに「やってみたい」と口にする子どもでした。行動に移すのも早くて、家族からは「思い立ったらすぐ動く」「自由でマイペース」とよく言われていました。自分の「好き」に素直に動くところは、今の活動にもつながっていると思います。
ゼロから始まった“熱気球同好会”の挑戦
未来: 同好会を立ち上げる際に大変だったことは?
中川: N高では仮の同好会を作るのに最低2人、正式な同好会を設立するには5人メンバーが必要なんです。最初に1人で同好会立ち上げに向けて学園内のSlackで呼びかけをして、高澤さんが入ってくれたときはすごくうれしかったです。
高澤: 私はちょうど気球に興味を持っていた時期で、同じ想いを持つ人を探していました。そこに中川さんのメッセージを見つけて、おもしろそうだと思い参加しました。
未来: イベントを実施して感じたことは?
高澤: オンラインの良さは参加のハードルが低いこと。移動や交通費を考えずに参加できるので、気球を知らない人にも広く届けられました。一方でリアルは迫力や感動が何にも代えがたいものでした。
中川: N高は通信制なので全国に生徒がいます。その特徴を生かしてオンラインイベントを企画できたのは、私たちならではだと思います。リアルでは搭乗体験を実施して、参加者が実際に乗ることで魅力を強く感じてもらえました。どちらもできたのは本当に良い経験でした。
オンラインとリアルで広げた気球の魅力
未来: 準備の中で特に大変だったことは?
中川: 気球は風速3メートルを超えると飛べなかったり、雨や曇りでも視界が悪いと中止になったり、本当に条件が厳しいんです。だから「せっかく来てもらったのに飛べない」ということを避けたくて、2日間のどちらかで乗れればいいようにと1泊2日のプランにしました。また、開催が1月で雪や雨もあり、早朝はとても寒かったので、体調管理や安全面での工夫も必要でした。

高澤: オンラインイベントでは「ただ話を聞くだけで終わらないように」と意識しました。パイロットの方や協賛企業の方に「企業と気球の関わり方」や「職業としての魅力」を具体的に聞きました。参加した生徒が「こんな未来もあるんだ」と思えるように、たくさん質問を考えました。
未来: チームで活動するうえでの役割分担は?
高澤: 中川さんはずっと気球に関わってきたので知識が豊富です。私はまったく知らないところから魅力に引き込まれたので、同じく知らない人に熱意を持って伝える役割を担っています。
中川: 私は行動力があるけれど、不安になることも多いんです。そんな時に「大丈夫」と言ってくれるのが高澤さんで、本当に支えられています。精神的なサポートが一番大きいですね。
高澤: 中川さんの情熱や前に進む姿勢を見ると、私も刺激を受けます。精神的にも助けてもらっています。
気球を越えて広がる学びのフィールド
未来: 気球活動以外で取り組んでいることは?
高澤: 学園の「地域国際委員会」でイベント企画に携わっています。テーマを決めてアイデアを出し合い、一つの企画を実現していく過程が楽しいです。気球活動とは違う魅力があります。
中川: 私は最近、環境問題に関心を持つようになりました。お墓参りに行ったとき、造花を供える習慣を見て「これは環境に良くないんじゃないか」と母と話しました。「水に溶ける素材で花の代わりになるものを作れないか」、といった議論から新しいプロジェクトを考えています。
次の世代に「空を見上げるきっかけ」を
未来: 今後挑戦したいことは?
中川: 気球を使った地域創生やSTEAM教育を始めたいです。自然の中で風を読むなどの科学的な学びを増やし、机上の勉強ではなく実体験を通じて学べる場を作りたい。自然や人との交流を大切にしながら将来につながる学びを提供したいと思っています。
高澤: 私も同じ考えです。気球を通じて自然や科学に触れ、空を見上げるきっかけを届けたいです。
未来: 最後に、これから探究活動や自由研究に挑戦する子どもたちにメッセージをお願いします。
中川: プロジェクトは甘くありません。大人から厳しい言葉を受けることもあります。私も心が折れそうになったことがあります。大切なのは、立ち止まるのか、学びに変えて進むのかだと思います。でも一歩踏み出さなければ何も始まりません。どんなアイデアでも共感してくれる人は必ず現れます。案外なんとかなるので、挑戦してみてください。
高澤: 仲間を探すことをおすすめします。自分で立ち上げるのも素晴らしいですが、誰かの活動を手伝うことから始めてもいい。オンラインでも繋がれる時代です。仲間と一緒なら新しい発見や成長につながります。とりあえずやってみること、失敗から学ぶことは多いので、失敗を恐れず、まずは「おもしろそう」という気持ちを大切にしてください。
取材を終えて
中川さんと高澤さんの話を聞いて強く感じたのは、「好き」という気持ちが仲間をつなぎ、学びや挑戦を広げる力になっていることです。気球をテーマに同好会を立ち上げ、オンラインとリアルの両面でイベントを実現した背景には、N高等学校が通信制で全国に仲間がいるという特徴がありました。その強みを生かしてオンラインセッションを企画し、さらにリアルの搭乗体験へと発展させたのは大きな成果です。自分たちが今いる場所で何ができるのかを考え、的確に生かしていく。それを高校生のうちに学んで成功体験にできたのは本当に素晴らしいと思います(KAZ)
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