「負ける経験」で子どもは成長する
未来:何かを自分で成し遂げた体験が自信となり、子どもの自己肯定感を育むことに繋がるということでしたが、どうすればこの体験をより効果的にできるでしょうか?
「子どもがした努力を親も一緒になぞってあげることです。あのとき頑張ってこれができるようになったよねなど、子どもが頑張ったことを認めてあげるのです。こうして自分で努力してできるようになった記憶が残ると、その後も困難にぶつかったときに頑張れるようになります」
未来:前に頑張ってできるようになったことがあったから、今度もきっとできるはずだと思えるわけですね。もし努力した結果その成果が出なかった場合でも、努力したこと自体を褒めてあげた方がいいような気がしますが、いかがでしょうか?
「もちろんです! 人を成長させるのは『負ける経験』なんですよ。なんでも最初からうまくいっていたら人は成長しません。なぜ勝てたのか、その理由を突き止めようとはしませんから。でも負けたときは違います。なぜうまくいかなかったのか原因を分析したり反省したりする。こうして次はどうすれば勝てるのかを考えながら、人は成長していくんですね」
未来:できた・できないの結果ではなく、たとえ失敗しても挫折とどう向き合い、その経験から何を学ぶかが重要ということですね。
「もう一つ、子どもを褒める際に親に意識してほしいことは、加点主義で評価するということです」
未来:加点主義とは?

「やったこと、できたことに対して、どんどん点数を積み重ねていく考え方です。これはアメリカ的な考えで、まぁまぁできたときは60点だけどすごく良くできたときは300点の可能性もある。上限がなく評価に無限の可能性があるので、どんどん新しいものが生まれるんです」
「対して日本では、減点主義で評価されることが多いように感じます。100点満点で評価されるので、たとえすごいことをしてもそれ以上に評価されることがないんですね。これでは伸びない。ですから、子どもを褒めるときはぜひ加点主義を意識してほしいと思います」
未来:なるほど。できていない点をマイナスするのではなく、できたことをプラスに捉える。それを積み重ねていけるように評価してあげることが大切なんですね。
ここまで、子どもの自己肯定感を育むうえで大切な「褒め方」について教えてもらいましたが、子どもを褒めて伸ばすためには子どもが得意なことや好きなことを見つけて、その「好奇心」を育むことも大切です。次回は、子どもの「好き」を見つけるポイントや、好奇心を伸ばすコツについてお話を伺いたいと思います。
東京大学名誉教授、化学者、工学博士。シックハウス症候群・化学物質過敏症研究の第一人者。ハーバード大学大学院の准教授・併任教授を経験したこともあり、教育分野に熱心に取り組む。2011年から開成中学校・高等学校の校長を9年間務め、現在は北鎌倉女子学園の学園長に就任。『「頭のいい子」の親がしている60のこと』『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』など、子育てに関する多数の著書がある。
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