発達障害の人が見ている世界

子どもは「散らかしている」と思っていない⁉ 片付けられない人の心理を精神科医が解説【第8回】

「人の話が聞けない」や「片付けられない」など日常生活における困りごとがある「少し付き合うのが大変」な人たち。その原因のひとつとして、脳にある特性が原因となっている「発達障害」が挙げられます。しかし、発達障害の患者を診る精神科医によると、こうした困りごとは「定型発達と呼ばれるいわゆるごく普通の人にも当てはまる」と言います。発達障害の人がよくある「困りごと」から発達障害の人が見ている世界を知り、我が子が同じような場面に出会ったときにどう対処や声がけをしたらいいのかを知るインタビュー連載の第8回(最終回)です。今回紹介する困りごとは「片付けができない」です(株式会社アスコムさまより献本していただきました)。

岩瀬利郎先生

片付けが苦手な子どもにはどう声をかけたらいい?

未来:片付けが苦手な子どもについて、どうしたらいいかという相談についてお伺いします。岩瀬先生の「発達障害の人が見ている世界」ではADHD(注意欠如・多動性障害)の傾向がある大人の例として「片付けられない、ものを処分できないお部屋に住む人の心理とは」が紹介されています。大人の場合は注意力が散漫になって片付けられないのが原因と書かれています。

対処法として、「今必要なもの」「とりあえずとっておくもの」というようにとりあえず分類し、ざっくりでいいのでわけておく、明らかな不用品は捨てることを徹底する、机の上、引き出しの中など片付ける場所をブロック(エリア)に分け、1日1か所ずつ片付けていくなどが紹介されていました。

それを踏まえて子どものケースをお伺いしたいです。片付けることが苦手な子どもに対して「片付けなさい」と言っても片付けられないですし、どのようにして保護者が誘導してあげたら少しでも片付けられるようになるのでしょうか?

岩瀬先生:まず、子どもが思っている考えと、親御さんが持っている考えで大きく隔たっていると思います。余談ですが、私なんかもしょっちゅう片付けができていない、本が散乱していると家内に怒られております(笑)。確かにいろんなところで本を読み散らかしてその場でそこに置いたままにしてしまうんですが、私としては例え本を食堂のテーブルに置いても別にテーブルの上に「置いている」だけで、「ごはんを食べたあとで読むかもしれない」と思って置くわけです。ですが家内からすると「本来ごはんを食べるべきテーブルに何であなたは本を置くのか、おかしいでしょ。あなた何か問題あるんじゃないの?」と、そういうふうになっちゃうわけなんです。

未来:どちらの気持ちもわかります(笑)。

岩瀬先生:そのように私はしょっちゅう本を置いてしまっていて、家内が業を煮やして勝手に片付けてしまうんです。そうすると、確かに食堂のテーブルに置いたのに「あれ、あの本どこいった?」と、わからなくなって非常に困るわけです。

なので、子どもの話に戻すと、本人としては散らかしているという認識はないのですが、保護者から見ると散らかしているように見えることが多いと思うんですよね。本人がどういう理由で片付けないのかを明確に聞いてみると、その人なりの考えがあって「散らかしていない」認識かもしれないですよ。

未来:お話を伺って、「どういう理由で片付けないのか?」とか、「ここに置いているのはちゃんと意味があるのかもしれない」と思って、子どもの散らかしを見るのはすごくいいなと思いました。

岩瀬先生:ですので、片付けないのではなくて本人なりに片付けているんです(笑)。そのような理屈づけがある可能性がありますね。

未来:本人がわかるところに置いているということなんですね。

発達障害の人が見ている世界

岩瀬先生:そうですね。あとは、「片付ける」というのは本来の決まった場所にきちんと戻すということなわけですが、それは発達障害特性のある子には非常に難しいことです。「とりあえずなんかここに置いておく」という何でもボックスや、床に線を引いて特定のエリアを作ってあげることも1つの工夫です。

未来:すごくシンプルな方法で子どもでもできそうですね。

岩瀬先生のお話を伺って

第5回にも出てきた片付けのお話ですが、毎日子どもの散らかしたものを片付けたりしている保護者のみなさんにも、頭が痛い問題だと思います。「とりあえずなんか入れておく」という大きな箱を用意するのは、知的障害がある自閉症の息子にとっても有効でした。我が家では大きな箱と「電車のおもちゃ」「駅関連」「ミニカー」とジャンルで分けた箱を用意していて、今では本人も「どこに何を入れるか」が自分の中で決まっているようです。

現在、ちょっと苦労しているのが「片付ける気持ちにどうやったらなってくれるのか?」というところ。なかなか自分からは片付けてくれないんですよね…。片付けができたら拍手して褒めたり、片付けたあとにご褒美(10分だけYouTubeが見られるなど)を用意して、片付け中も応援団のように応援したり(のちにこれが本人にとって大きな励みになっていることがわかりました)、乱雑に散らかっているおもちゃをジャンルごとに並べて片付けやすくしたりと応援とサポートをしています。毎日やることなので、簡単にできるのはもちろん、楽しくできるように工夫するといいのかもしれませんね!(KAZ)

岩瀬先生の著書「発達障害の人が見ている世界」を抽選で5名にプレゼント!

発達障害の人が見ている世界

記事でもエピソードを紹介している「発達障害の人が見ている世界」は、発達障害の人やその保護者が抱えている日常の困りごとを「なぜそうなるのか?」と「どうしたらいいのか?」をやさしく丁寧に解説している本です。今回は、この本を抽選で5名にプレゼント! 以下のフォームにメールアドレスとお名前、記事の感想を書いて応募してください。締切は12月8日(金)まで。たくさんのご応募、お待ちしております。

応募フォームはこちら(受付は終了しました)

※本キャンペーンはアクトインディ株式会社が独自に行うもので、米Appleとは一切関係がありません。

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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