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【子育て人生相談】毎日絶えない「きょうだい喧嘩」に疲弊しています…

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今回は、4歳と2歳の息子さんを持つママからの相談。毎日繰り広げられるきょうだい喧嘩にすっかり疲弊しているというママに、ご自身も5人きょうだいで育ち、現在は5人のお子さんを育てるパパからアドバイスを頂きました。

このお悩みにアドバイスをくれたのは…

本山 勝寛さん
本山 勝寛独学だけで東京大学やハーバード大学院に合格した教育イノベーター。現在は12歳、10歳、8歳、5歳、3歳の子どもを育てる5児の父。

Q:きょうだい喧嘩が絶えず疲弊しています…

もうすぐ4歳と2歳になる息子の母親です。息子二人がおもちゃの取り合いをして喧嘩が絶えません。
お互いに「あ~!!!」と大声で威嚇し合ったり手を出したり、しまいにはお兄ちゃんが「もう●●くん(弟)のことだーいきらい!」とすごい剣幕で言います。弟以外には優しい子なので心が痛みます。弟が生まれる前はこういうことはなかったのですが、生まれてからずっとこの調子で、弟が生まれてから、たぶん365日毎日、喧嘩のことで私が兄に怒っています。

私は、こうあるべきというのに反することをされるとイラっとしてしまいます。例えば、「お兄ちゃんならおもちゃなどは下の子に貸してあげるべき」と思うので、兄が弟のおもちゃを奪っていたりすると怒ります。兄は、弟が使っていると、ほかにもたくさんおもちゃがあり、今まで使ってなかったのに、わざわざ弟が使っているそのおもちゃを奪いに行ったりします。それなら一緒に遊べばいいじゃない、と言っても、嫌なようです。

私も夫も、長女、長男で、「お姉ちゃん(お兄ちゃん)はがまんするんだよ」と親から育てられました。自分の子どもには「お兄ちゃんだからがまんしなさい」とは口では言わないようにしているのですが、やっぱり弟におもちゃを譲ってほしいんです。怒るときは、兄には、「自分がそう言われたらどういう気持になる?」と聞くことにしています。そうすると、「悲しい気持ちになると思う」、「いやって思う」と言い、叱った後に弟に謝りに行ったりしています。夫もだいたい同じ対応をしています。喧嘩といっても友達と兄弟は違うし、一時の我慢と思い見守ったらいいのでしょうか。毎日のことで私も疲弊しています。
(4歳男の子&2歳男の子のママ)

 

A:それぞれが主役になれる時間を!

これは、きょうだいがいる家のよくあるパターンですよね。下の子ができて親がその子に優しくしている様子を見ると、上の子は必ず嫉妬してしまうものです。まずは「お兄ちゃんだから我慢しなさい」と叱るよりも、よくできたときに褒めたり、ポジティブな声かけをしたりすることに意識を集中するのがいいと思います

喧嘩もそうですが、親というのはできていないことに関して目がいきやすく叱るのですが、本来は普段「通常に過ごしている」状態がすでに素晴らしいことなんですよね。とくに喧嘩などをせずに何もない状態のときというのは、親はあまり気にしていないのでとくに声をかけない場合も多いと思いますが、普通に遊んでいるときでもお兄ちゃんは弟と遊んであげているんですよね。ですから、偶然でもいいから弟に何かを貸してあげたり、仲良く遊んでいたり、普通に楽しく過ごしているときに「さすがお兄ちゃんだね」「弟と一緒に遊んでくれてすごく助かるよ、ありがとう」など、ポジティブな声かけをしてあげるのがいいと思います。

あとは、きょうだいができるとどうしても嫉妬してしまい、いわゆる「赤ちゃんがえり」なども通常よくあることです。子どもからすれば、パパやママを下の子に取られたように感じてしまうんですよね。なので、下の子が生まれた場合は、上の子だけの時間を持ってあげるというのが大切です。たとえ短い時間でも、ママとお兄ちゃんだけの時間、パパとお兄ちゃんだけの時間などマンツーマンの時間を持つようにして、その時間はお兄ちゃんだけに愛情をたっぷり注いであげるというのを時々でもやってあげられるとお兄ちゃんも満足するかなと思います。

私は子どもが5人いて育休を4回取得しましたが、育休は「上の子どもたちの為」という意味合いも大きかったような気がします。もちろん新しく生まれてきた赤ちゃんの為でもあるのですが、やはりどうしてもママは赤ちゃんにとられてしまうので、私はどちらかというと上の子たちと全力で遊ぶというのを大切にしていました。もちろんそれだけだと赤ちゃんにママをとられたような気持ちになってしまうので、交替して私が赤ちゃんを見ている間に上の子たちがママとの時間を持てるようにするなども意識していました。

我が家のように子どもの数が多かったり、パパがなかなか家にいなかったり、それぞれの子どもとマンツーマンの時間を持つことが難しい場合もあると思います。そんなときは、一緒に遊んでいるなかでも「この時間、このタイミングはとくにこの子の時間」というのを意識するのがオススメです。たとえば公園に行って、上の子3人が自分たちで遊んでいたらその間は下の子2人に極力集中するなど、複数いるなかでもその時間はとくに「この子」というのを意識するだけでも随分変わると思います。マンガに例えるとわかりやすいと思うんですが、マンガの世界では主人公以外にも脇役などたくさんキャラクターがいて、回によってその脇役にもスポットライトが当たったりしますよね。毎回たくさんのキャラクターが登場するなかで、引き立たせるキャラクターは各回によって変わってくる。子育てもこれに近いものがあって、同じ時間を共有するなかでも「今はこの子が主役」という風に意識するといいですね。

あとは、「喧嘩するのが当たり前」だと思っているくらいの方が、ママの心構えとしてはいいかもしれません。今回の相談者さんの場合は男の子同士ですし、兄弟の喧嘩を気にしすぎてママが子育てに参ってしまうより、「喧嘩するのが当たり前だ」と構えているくらいの方が気持ち的に楽だと思います。私もよく兄弟と喧嘩していましたが、喧嘩することで社会性が身についたりもするので、子どもが成長するためのプロセスなんだと割り切って、見守るような意識でいてもいいのかなと思いました。

きょうだいでいつも喧嘩をしていると、上の子ばかりが有利になってしまう場合もあると思いますが、そんなときは喧嘩以外で「ルールのあるゲーム」をするといいと思います。喧嘩にはルールがないのでどうしても長く生きている上の子が有利になってしまいますが、「トランプ」や「ボードゲーム」などルールに基づいて遊ぶ体験のなかで社会性も身につけることができるんです。ルールに基づいて勝負をして、勝つことも負けることもあるけど、その結果を受け止めるという経験をすることが大切です。負けて悔しい思いをするという体験も大切ですが、下の子にも勝つ体験をさせたい場合は「ババ抜き」など結果が運に左右されるゲームをするといいと思います。あとは、対戦型でなく、きょうだいで協力してプレイするゲームもいいですよ。たとえばトランプやボードゲームでも、親が共通の敵となり、きょうだいで協力して倒すようにするだけで協調性が育まれます。

最後にもう一つアドバイスするとすれば、子どもが好きなアニメやキャラクターなどでお手本になりそうなものがあれば、それを使うのもおすすめです。たとえば今回の「弟に優しくしてほしい」「きょうだいで仲良くしてほしい」というお悩みを考えるとき、今であれば子どもに人気の「鬼滅の刃」の話をしながら「炭治郎は妹や弟にすごく優しいよね、そこがすごく素敵だよね、お母さんは炭治郎みたいな人がかっこいいと思うな」など伝えてみましょう。子どもは「優しくできることが素敵でかっこいいんだ」と認識します。叱られながらではなく、子どもが好きなキャラクターの話の中で伝えられる方が、子どもにとって響くのは間違いありません。

毎日絶えないきょうだい喧嘩に「ウンザリ!」というママは多そうですが、きょうだいで楽しそうにしていたり、仲良く遊んでいたりする通常の状態を「素晴らしい」と褒めているという人は少ないのでは? 日常の何気ない瞬間を見落とさないように意識して、子どもにできるだけポジティブな声かけをすることで、きょうだい育児がグンとうまくいくかもしれませんね。今回も貴重なアドバイス、ありがとうございました!

お話を伺ったのは…本山 勝寛さん
教育イノベーター。独学だけで東京大学やハーバード大学院に合格。アジア最大級の国際NGOである日本財団で、教育や福祉、NPO支援に携わり世界中を駆け回っている。「学びの革命」をテーマに言論活動を行い、「16倍速勉強法」や「最強の独学術」「好奇心を伸ばす子育て」など著書多数。自身が5人きょうだいで育ち、現在は12歳、10歳、8歳、5歳、3歳の子どもを育てる5児の父。これまで育児休業を4回取得し、独自の子育て論も展開している。

 

本山さんの記事
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2013年に長女、2015年に長男を出産し、育児に奮闘する日々。家の中にいるのは苦手で、新しい場所やモノが大好きな「THEミーハー」体質。子どもたちにもさまざまな経験をさせるべく、家族のおでかけや遊びの計画をたてるのが日課。趣味は読書、ドライブ、DIY、ヨガ、お酒、シートマスク検証、写真撮影。

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