おもちゃの取り合いなどで、わが子がお友だちを叩いてしまって、ママは真っ青! 何度言い聞かせても叩くクセが直らず、お友だちとの遊びのたびにハラハラ…。どうやって止めさせればいいの? そんなお悩みに、Twitterフォロワー数39万人の人気イケメン保育士、てぃ先生がお答えします。
コミュニケーション力が、まだまだ発展途上の段階
叩くクセが気になるのは、お友だちとのふれあいが増える2〜3歳の頃が多いもの。ママとは「どうぞ」や「貸して」と言って遊べるのに、お友だちとおもちゃを取り合うといきなりパンチ…!という子もいます。いったいなぜですか?
「そもそも2〜3歳は子ども同士で遊ぶ時期ではないんです。もちろん多少のやり取りはできますが、まだまだコミュニケーションがヘタなのは当然。『周りのものはぜんぶ自分のもの』と思うのも正常な感覚ですから、当然ケンカになりますよね。」
「それに、叩く子自身がおしゃべりできても、相手の子がしゃべれなければ、意思は伝わらないもの。イライラして手が出ちゃうのも仕方ないんです。」
早くお友だちと仲良く遊べるようになってほしいと思うあまり、無理に一緒に遊ばせること自体が、子どもにとってはストレスなのかもしれません。うまく違う遊びに誘導するか、お友だちと同じ遊びをさせないよう、大人が注意してあげたいものですね。
「叩かずに済む」環境作りを心掛けよう
子どもの成長に合わせたお友だちとの関わり方に加え、遊ぶ環境も見直しが必要と、てぃ先生は指摘します。
「おもちゃの数が全然足りていない…!ってこと、よくあります。たとえば積み木で取り合いになるのは、三角とか丸とか色がついてるのとか、数が少ないものなんですよね。使ってないように見えても『あそこに置いてある三角の積み木は僕のだ』とある子が思っていて、別の子がそれを取ったら『僕のだからダメ!』とケンカになる…。だから与えるおもちゃの工夫が必要。それだけで平和に遊べちゃいますよ。」
実際、てぃ先生が勤める保育園では、全部同じ形・色の積み木を用意しているそう。たいてい手が出るのはおもちゃの取り合いのときですから、同じおもちゃをいくつか揃えておくと安心ですね。
ただ、公園の滑り台やブランコなど1つのものをみんなで使わざるをえないシーンもあります。「みんなのでしょ!」と言い聞かせてもダメな場合、どうすれば良いでしょうか。
「『みんなのもの』って言い方が、子どもには漠然としていて分かりにくいんですよね。『○○ちゃんも××君も、△△ちゃんも使うんだよ』と少し具体的に言ってみるといいですよ!」
声かけを少し工夫するだけで、意識が変わるのですね!
叩いたあとの声かけ、OK例とNG例
では、叩くのを防ぎきれず手を出してしまった場合、どう接するのが正解でしょうか。
「これまでの連載でもお話してきたんですが…子どものケンカの場合、どっちが悪いとは言い切れないので、叩いた子にも『どうしたの?』と聞いてあげるのが一番です。叩いたことを叱るんじゃなくて、助け舟を出してあげる感覚。その子なりの理由を聞いて、相手の子にはお母さんが謝ってフォローすればいいんですよ。」
親としては叩いたことが申し訳なくて「○○君に謝りなさい!」ときつく叱ってしまいがちですが…。
「そのとき謝らなかったからって、一生謝らないわけじゃないんです。どうして悪いのか理解できていないのに、無理に言わせるなんて酷。子どもにはそんな悲しい想いをさせない! 『××もごめんなさいって思ってるよね』でおしまいでOK。そのためにママがいるんですから!」
てぃ先生いわく、「叩きグセ」なんて無いとのこと。成長面や環境面が整えば、自然と手は出なくなるもの。焦らなくていいと言います。
子どもなりのストレスに気づいてあげて
保育園では「叩かせないためにどうするか」という配慮だけでなく、その子ども自身の気持ちに寄り添うことを何より重視しているそう。家庭環境や生活習慣からくるストレスによって手が出てしまうこともあるため、たっぷり遊んであげたり、よく話を聞いてあげたりして、ストレスの原因を探っています。
もし成長面や環境面を整えても、なかなか叩く行為が無くならない場合は、家庭での生活を見直してみるのも一手。もちろんママ一人で抱え込まず、家族や園の先生など周りの協力を得ながら、じっくりと振り返ってみてくださいね。
お話を聞いたのは…
てぃ先生
関東の保育園に勤める男性保育士。ツイッターで保育園の日常をつぶやき続け(@_HappyBoy)、フォロワー数は43万人(※)超に。著書『ほぉ…、ここが ちきゅうの ほいくえんか。』、『ハンバーガグー!』(いずれもKKベストセラーズ)のほか、原作を担当するマンガ『てぃ先生』(KADOKAWA)も好評。オフィシャルブログや子育て関連のメディア、各地での講演会で、子育てや保育に関するポジティブなメッセージを発信。ちなみにアラサー・未婚、猫と二人暮らし。 ※共に2018年1月現在。
てぃ先生 Twitter
てぃ先生 オフィシャルブログ
ライター紹介
金子 陽子
1976年生まれ。3年間のOL生活を経てコピーライター、編集ライターの道へ。連日終電ときどき徹夜の会社員生活に限界を感じた36歳の夏、待望の娘を授かり、独立。いい歳をして人見知りながら人物インタビューは大好き! 大抵その人のファンになる。いまだに3歳の娘のお肉が赤ちゃんみたいにフニフニで癒される。
※2016年12月にいこーよで公開された記事の再掲です。
この記事を読んでいる人は「思いやり」に関するこんな記事も読んでいます
・【てぃ先生に聞く】子ども同士のトラブル解決法 コツも紹介!
・幼児期に始まる「おもちゃの取り合い」は心の成長の証 年齢別対処法も
・頭ごなしに叱っちゃダメ!子どもの「叩く、つねる」の対処法
・【子育て人生相談】怒るとすぐ叩いてくる子ども、どうしたらいい?
・【未来へいこーよ】が育むココロのスキル(非認知能力)について