子どもの夢応援企画 サッカー選手・石川直宏さんインタビュー

子どもの憧れの職業について、その道のプロから話を伺い、夢の育みをサポートする『子どもの夢応援企画』。今回は国内外で多くの子どもたちが憧れる人気スポーツの「プロサッカー選手」。元日本代表で2017年に現役を引退し、現在はFC東京でクラブコミュニケーターとして活動する石川直宏さん(36)にお話を伺いました。

(C)F.C.TOKYO

Jリーグ開幕戦がプロを目指すきっかけに!

2017年、多くのファン・サポーターに惜しまれながら18年間の現役生活にピリオドを打った石川さん。Jリーグに300試合以上出場し、日本代表にまで選ばれたサッカーとの出会いは5歳の時。最初は「近所のお兄さんや友達との遊びの延長だった」と言います。

とにかくボールを追いかけるのが楽しくて、自分から親に『サッカーをやりたい』とお願いして地元のサッカーチームに入りました。週末はチームの練習に参加して、それ以外の時も休み時間や帰宅後に時間があればサッカーをする日々でした。一日一日、上手くなる感覚が面白くてとにかく夢中でしたね」

横須賀シーガルズに所属していた小学6年生の夏 (C)F.C.TOKYO

そんなサッカーが具体的に将来の夢となるきっかけは、小学6年生の時のJリーグ開幕だったといいます。

「幸運にも開幕戦のチケットを手に入れることができて生で観戦しました。スタジアムの雰囲気を肌で感じて、ピッチで輝く選手たちを見て、あそこから見えるのはどんな景色なんだろうって。漠然としていた夢が具体的な目標に変わった瞬間でした

挫折を味わった高校時代を乗り越えられたのは…

プロサッカー選手が具体的な目標になってからは、そこに辿り着くためには何をするべきなのかを逆算して、そのための課題をひとつずつクリアできるように、自ら考えながら練習や試合に臨むようにしていたとのこと。

その後、横浜マリノス(現在の横浜F・マリノス)のジュニアユースに合格し、高校生になると、そのままユースチーム入りを果たします。

「周りから見ると順調に上がった感じかもしれません。でも、実際には高校時代はほとんど自分の思い通りのプレーができませんでした。僕は身長が伸びるのが遅く、技術が身に付いてもそれに身体の成長が追い付かなくて、バランスが合わなかったんですよね。つらい時期でしたが、絶対に身長は伸びると思っていたし、その時のために今できることをやろうと思いました

「サッカーが好き」という気持ちと「プロになる」という具体的な目標があったからこそ、つらい時期を乗り越えられたと石川さん。

「何の壁もなく順風満帆にプレーできるサッカー選手なんてほとんどいません。どちらかというと上手くいかないことの方が多いので、その乗り越え方をどれだけ知っているかが重要。その引き出しが多ければ多いほど、どんな局面であっても対応していける。若いうちにこういう経験をしたからこそ、その後もさまざまな困難を乗り越えられたのだと思います」

プロ選手になっても変わらない「目標からの逆算」

卒業を間近に控えた高校3年生の2月、石川さんはユースからトップチームへの昇格が決まり、晴れて目標だったプロサッカー選手になります。

ここからが本当の勝負なので、喜びと同時に身が引き締まる思いでした。お金を払ってスタジアムに見に来ていただくわけですから、自分のプロとしての価値をどう見出していくのかということをきちんと考えていかないといけないなと。もちろん勝ち負けは重要ですが、その中でどう心に残るプレーをしていけるか。新たな目標に向かって今やるべきことを逆算してクリアしていく。それは、子どもの頃からやってきたことと同じですね

さらにサッカー以外でも積極的に人に会うことが自分の成長に繋がったと言います。

「だいたい週に1日はオフがあり、チーム練習が午前のみという日もあるので、自由に使える時間はサッカー関係者以外の人と会って話をしたりするのが結構好きでしたね。趣味がサーフィンなんですが、海で出会う人たちとの会話がすごく新鮮で、とてもいい気分転換になっていました」

ケガを経験したからこそ見える景色がある

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魂のこもった全力のプレーで多くのファン・サポーターを魅了し続けてきた石川さんですが、3度の膝じん帯断裂など大きなケガを経験しています。

「ケガをしている間は、とにかくサッカーができないのがもどかしくて。それでもサッカーが好きだという強い気持ちと、待っていてくれる仲間やファン・サポーターがいるから、乗り越えられたんだと思います。ケガを乗り越えるとそれまでとは違った景色が見えてくるんですよね。ピッチに戻ったときに新しいチャレンジができたり、躍動できたり。そうやって乗り越え方がわかってくると、もう何が来ても乗り越えてやるぞっていう気持ちになれました

プロとしての最高の瞬間は現役最後の試合!

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そんな石川さんの現役生活の中で忘れられない最高の瞬間は、ゴールを決めた試合でも日本代表戦でもなく、引退前のJ1とJ3のラスト2試合だったそうです。

「それまでも印象的な勝利とかゴールとか、うれしかったシーンはいろいろあったんですが、それとはまた違う喜びがありました。自分がプレーして躍動する姿を待っていてくれたファン・サポーターのみなさんの笑顔が、ピッチの上から見えたときに『自分が見たかった景色はこれだ!』と。自分が選手としてやってきた価値があったんだなと、心から思えた2試合でしたね」

子どもたちの素朴な疑問に石川さんが回答!

ここで石川さんに、子どもたちから寄せられた3つの質問にも答えてもらいました。

Q.ケガをしないためにはどうしたらいいですか?

「子どものうちは身体も柔軟なのでケガはしにくいと思いますが、小さい頃からの積み重なったダメージや疲労が大人になってケガとしてあらわれることが多いもの。今やっていることがこの先の自分に繋がっているんだっていう意識を持って食事をバランスよく摂り、ストレッチをしっかりしていけば、将来ケガをしにくい身体づくりに繋がると思いますよ」

Q.小学生のときはどれくらい練習しましたか?

「当時はチーム練習が土曜日だけで、日曜日が試合というのが基本でした。あとは学校で休み時間や放課後など、暇さえあれば友達とサッカーをしていました。上達するスピードは人によって違いますが、練習すれば、やった分だけ絶対に技術は身に付きますので、ぜひ頑張ってください」

Q.ボールを上手に蹴るにはどうすればよいですか?

蹴り方などの技術も大事ですが、どんなボールを蹴りたいのかという具体的なイメージを持つことも大事です。前を走る味方にはこんなボールを蹴ったら通りやすいんじゃないかとか、こういうボールなら相手は取れないんじゃないかとか。そういうことを考えながら練習すると、技術面の上達スピードもきっと変わってくると思います」

次は自分が恩返し! サッカーで多くの人を幸せにしたい

現役を引退した石川さんは所属していたFC東京のクラブコミュニケーターに就任しました。

サッカーを通して学んだことのひとつに“繋がりの大切さ”があります。クラブ、チームメイト、ファン・サポーター、そういう自分と繋がっている人たちへの想いを現役時代はプレーで表現してきましたし、周りの人のサポートがあったからこそ、ここまでプレーを続けられました」

「引退して、プレー以外で何が自分にできるかを考えたときに、改めて感じたのが“コミュニケーションの重要性”です。自分が橋渡し役となってクラブ内のスタッフやスポンサーとのコミュニケーションを密にすることで、もっとFC東京を強くできると思うんです。さらに、サポーターとともにサッカーを盛り上げることで、FC東京のファン・サポーターがもっと増え、『サッカーは面白い』ってたくさんの人に思ってもらえるような活動をしていきたいですね」

サッカー選手を目指す子どもたちにアドバイス

最後に、石川さんからサッカー選手を目指す子どもたちにメッセージをいただきました!

「サッカーだけじゃなく、勉強やそれ以外のことでも同じだと思うんですが、人の話をよく聞くことが大事です。自分の基準だけで物事を考えていると考え方が固まってしまいます。一旦受け入れた上で、これは自分には合っていないとか、これは参考にしようと判断すればいいんです。とにかく最初は何でも意識的に興味を持って話を聞く習慣を付けましょう。そして本当に興味のあることには、どんどんチャレンジしてください

子どもの夢を応援するお父さん・お母さんにもメッセージ。

「僕がここまでサッカーに本気で打ち込めたのは、自分でやると決めたことが大きいと思うんですね。親がいろいろな選択肢を与えるのはいいと思うんですが、最後は子どもが本当にやりたいって決めたことをとことんサポートしてあげてほしいと思います。子どもって思ったよりも自立していて、あまり口出しされない方が、自分で考えて責任を持ってやっていくものです。そんな親子の信頼関係の中で、ぜひ一緒に夢に向かっていってほしいなと思います

石川直宏さん、貴重なお話をありがとうございました!

お話を聞いたのは…
石川 直宏さん
神奈川県横須賀市出身。5歳からサッカーを始め、小学生時代は横須賀シーガルズに所属。中学校に入ると横浜マリノスジュニアユース追浜に所属し、高校進学時に横浜マリノスユースに昇格。2000年に横浜F・マリノスのトップチームへ昇格し、Jリーグデビューを果たす。2002年にFC東京へ移籍。2017シーズンをもって現役を引退し、2018年1月にFC東京のクラブコミュニケーターに就任している。
石川直宏オフィシャルWEBサイト

ライター紹介
石橋 夏江
編集プロダクションverb所属。編集者・ライター。趣味は、旅行と写真とスキューバダイビング。プライベート旅でも、取材旅以上の分刻みスケジュールを組むため、友達がなかなか一緒に旅行に行ってくれないのが最近の悩み…。

※2018年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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