今回取材したのは、レスリング選手の田南部夢叶(たなべゆめか)さん(21歳)、田南部魁星(たなべかいせい)くん(18歳)の姉弟。アテネ五輪で銅メダルを獲得したレスリング選手・田南部力(たなべちから)さんを父親に持ち、幼少期からレスリングに慣れ親しんできたという二人が目指すものとは…? レスリングに対する思いやこれからの目標などをご両親と共に取材しました。
「負けたくない」から練習する
未来:全国少年少女選手権や全国中学生選手権など、幼少期からさまざまな大会で成績を残されてきたお二人ですが、レスリングを始めたのは何歳の頃ですか?
(魁星くん)僕は4歳からレスリングを始めました。幼稚園の年中のときですね。父が大会に出ている姿をずっと見ていたので、「かっこいい、自分もこうなりたい」という思いがあって、レスリングに興味を持ったのがきっかけです。
(夢叶さん)私は小学校2年~3年生のときに始めたので、7~8歳の頃です。とにかく負けず嫌いで、先にレスリングをしていた弟ばかりに目がいくのが悔しくて…レスリングを始めた理由としては、弟に負けたくないという気持ちが一番大きかったですね。
未来:レスリングを始めた頃は、どのような練習をされていたんですか?
(魁星くん)最初は楽しく身体を動かすのがメインで、遊びの延長のような感じでした。強い身体をつくるために、柔道や水泳などもしていました。小中学生の頃は父が監督を務めるクラブチームで練習していて、チーム練習が2時間、その後に個人練習をするような毎日でした。個人練習は、自分の調子が良ければ30分で終わるときもあるし、できなければ2時間かかるときもあるといった感じで結構ハードだったと思います。
(夢叶さん)私はもともと体操をやっていたこともあり、マット運動などから始めて小学校4年生くらいからレスリング一本になりました。小学校の間はそこまでハードな練習はしていなかったと思います。中学生からJOCエリートアカデミーに入校して、レスリング漬けの毎日になりました。
未来:練習が嫌になったり、辛くなったりすることはなかったですか?
(魁星くん)練習漬けで友だちとあまり遊べなかったりすると、もっと遊びたいなと思うこともありましたが、試合などで勝つと「やっぱりレスリングが楽しいな」と感じるので夢中で続けてこれました。
未来:試合に勝って楽しいと感じることが、練習のモチベーションだったんですね。
(魁星くん)そうですね、負けて「悔しい」と感じることもそうだと思います。もっと沢山練習して、次こそは勝ちたいと思いますね。
未来:練習自体はやっぱり苦しいものですか? 練習中にも楽しいと感じることがあるんでしょうか?
(魁星くん)練習はきついけど、自分がやってみようと思った技が決まった時や、相手を倒したりした時は楽しいです。
未来:練習中に「もう嫌だ!やめたい!」みたいになることはなかったですか?
(魁星くん)ありましたね。練習中に褒められることはほとんどなくて、とにかくたくさん怒られていたので。でも父が怖くて…ここで投げ出したら、もっと練習時間が長くなると思ってやったりしていました(笑)。
未来:怒られるというのは、どのようなことで怒られるんですか?
(魁星くん)泣き虫だったので泣いてしまったり、嘘をついたりしたときによく怒られていました。レスリングの技術もそうですけど、人としてやってはいけないことをしたときは怒られましたね。
未来:小さな頃はお父様に怒られるのが怖くて投げ出せない部分もあったけど、やはり根底にある「悔しい」「勝ちたい」という思いが練習の原動力なんでしょうね。