勝つためには努力を積み重ねるしかない

未来:試合で負けたときは、どんなことを感じますか?
(魁星くん)もちろん「悔しい」という気持ちはあるけど、勝ち負けよりも重視するのは内容です。小さな頃は父から怒られるのが怖くて「勝ち」を目指していたけど、勝っても負けても内容がダメだと怒られるんです。
未来:内容がダメというのは、どういうことですか?
(魁星くん)試合で練習の成果が出せるかどうかですね。練習してきたことが実践で活かせないと意味がないと。
未来:たとえ勝てたとしても、練習でやってきたことが試合でできなければ怒られていたんですね。大切なのは、単純に「勝ち負け」ではないと。
(魁星くん)「勝ち負け」だけが大切なわけではないけど、そもそも内容が良ければほとんどの試合は勝てると父は言っていました。やっぱり「試合で勝つための練習」をしているので、その練習の成果を出すことができれば勝てるはずだと。勝つためには、練習を積み重ねるしかないんです。小学生のときにすごく強くて勝てない相手がいたけど、高校になって勝つことができた。練習の成果が後々に活きてくるということが実感できました。反対に全然相手にもしていなかったような選手に負けたりすると、「相手はお前よりたくさん練習していたということ」だと言われます。悔しいですね。
未来:そのときに自分だってこれまでベストを尽くして頑張ってきたのに、というような反発心を持つことはなかったですか?
(魁星くん)それはなかったですね。自分としてはベストを尽くして努力したつもりでも、相手は自分よりもさらに努力していたということなんだと思います。
(夢叶さん)私も内容はすごく大切だと思いますが、やはり「勝ち」にこだわるということもすごく大切だと最近思うようになりました。高校生に入って階級が上がり、負けてしまうことも多くなったんです。それまでは1回戦負けでも2位でも同じ(1位じゃないと意味がない)という考えだったんですが、一つひとつの試合で「勝つ」ということも大事だと思うようになりました。内容にこだわるのはもちろん、勝ちにもこだわっていきたいです。
未来:レスリングで勝つということは、ご自身にとってどんなことですか?
(夢叶さん)対戦相手がいる競技なので相手との闘いはもちろん、自分との闘いでもあると思います。負けてしまったら相手よりも充実した内容のある練習ができていなかったんだと思うし、自分はもっとできたかもしれないとも思います。ただ、自分が一番力を入れていることなので勝つともちろんうれしいし、父や母が喜んでくれるのがすごくうれしいですね。
未来:その心の強さはどこから来るんだろう。普通ならいくら努力しても無理だと感じることもありそうですが、今までそう思ったことはないですか?
(魁星くん)それを感じるときは、引退するときなんだと思います。これはレスリング以外にも言えることですが、すぐにできるようにならなくてもコツコツ積み重ねていくしかないので、何事もできるだけ放棄しないようにしています。たとえば僕は勉強が得意じゃないけど、苦手なことでも諦めないでやればできるようになると思うので、テストの前に少し勉強を頑張ったりするのもそうだと思います。
未来:レスリングを通して、努力を重ねることで出来なかったことが出来るようになった経験があったからこそ、何事も諦めずに努力する大切さが実感できたんですね。素晴らしいです。
(夢叶さん)やってもやってもうまくいかないときは当然ありますよ。いろんな人から意見を聞きながらとりあえずチャレンジして、それでも無理なときは一度肩の力を抜いてリラックスしたり、ほかのことを考えながらまた再度挑戦したりするなど、気分の切り替えはうまくできるようになってきたと思います。
未来:戦うことが怖いと感じるときはないですか?
(夢叶さん)あります。
未来:それでも戦い続けるのはなぜ?
(夢叶さん)怖いなと思うこともあるけど、勝ったときのうれしい気持ちや達成感の方が大きいから戦うんだと思います。試合にあがるときはもちろん緊張するけど、相手も自分のことを怖いと思っていると思うと「負けられない」と思いますね。
未来:もうレスリングをやめてしまいたいと思ったこともあるんですか?
(夢叶さん)たくさんありますよ(笑)。でもやっぱり、レスリングが好きなので。
未来:レスリングの魅力ってどんなところですか? どんなときに楽しいと感じますか?
(魁星くん)練習している技が決まったとき。試合に勝ったとき。フォームを確かめるためにも鏡や撮影した動画を見て練習したりするんですが、自分の身体を見てごつくなったと感じたり、動きが早くなったと感じたり、自分で成長したことを実感できる瞬間が多いのが魅力だと思います。前は勝てなかった相手に勝てるようになったときもうれしいですね。
(夢叶さん)レスリングは引き分けがないので絶対に勝敗が決まるんです。負けるときもあるけど、はっきりと勝負が決まるところが好きです。武器などを持たず、自分の身一つで闘えるというのもレスリングの魅力だと思います。
未来:レスリングをやっていない自分って想像できますか?
(夢叶さん)できないです。私は今21歳なので、あと何年レスリングができるかわからないけど…やめたあと何をしたらいいのか、今はまだ正直わからないです。それくらい、私にとってレスリングは生活の一部になっていますね。







