海、虫取り、スイカ、夏休み…さあ、子どもたちが待ちに待った、夏の到来です。夏は子どもにとって、楽しいことがギュっと詰まった季節。体だけでなく、頭と心も使って暑い夏を楽しめる絵本を、千代田図書館の大塚さんに選んでいただきました。
「夏だからこその経験」を絵本からたくさん取り入れて
四季のある日本だからこそ、夏はその暑さがもたらしてくれる楽しい遊びやイベントがいっぱい。親としてはなるべくたくさんの経験を子どもたちにしてもらいたいですね。絵本には、そのための様々なヒントがひそんでいます。水や虫など、夏にしか楽しめないものをテーマにした絵本を読んで、遊びの幅をどんどん広げましょう!
2歳におすすめの絵本
『わにわにのおでかけ』
(文:小風 さち 絵:山口 マオ 出版社:福音館書店 本体価格:800円+税 発行日:2007年9月)
なかなか寝付けない夏の夜「わにわに」は、たくさんの足音に気が付いて外に出ました。みんなの後に付いてたいこ橋を渡り、「わにわに」が向かったのは、なんと縁日。綿あめ、お面、金魚すくい…たくさんの屋台が並ぶ中を満足そうに練り歩く「わにわに」。最後はきれいな花火も見て、帰路につきます。お祭りの音や虫の声が聞こえてくるような一冊。
<おすすめポイント>
短い言葉とくっきりした絵が特徴的で、小さな子供にもわかりやすくまとまっています。夏の夜ならではのにぎやかな縁日の様子に、「行ってみたい!」と小さな胸が高鳴ることでしょう。ちょっぴりリアルで一見怖そうなワニの「わにわに」が、人間の子どもと同じようにはしゃぐ様もユーモアたっぷりで、子どもを引き付けます。
3歳におすすめの絵本
『ゆうれいとすいか』
(作:くろだかおる 絵:せな けいこ 出版社:ひかりのくに 本体価格:1200円+税 発行日:1997年6月)
あまりの暑さにゆうれいは、人間が井戸で冷やしていたスイカを食べてしまいました。怒った人間は、代わりにあれをしろこれをしろと、ゆうれいに命令をします。ゆうれいは奇想天外な方法で次々と命令されたことをこなし、最後には人間と協力してあるものを売り始めます。さて、あるものとは…?
<おすすめポイント>
ゆうれいだって食べたくなるほど美味しそうなスイカ、そして、蚊、ところてんなど、夏らしさを感じさせるアイテムがぎっしり。ゆうれいというと怖いイメージですが、この絵本に出てくるのはちょっと気弱で人間らしいゆうれいなので、子どもも怖がらずに楽しめるはず。ゆうれいのユニークなアイデアは、子どもを喜ばせること必至です。
4歳におすすめの絵本
『みどりのホース』
(作:安江 リエ 絵:やぎゅう げんいちろう 出版社:福音館書店 本体価格:800円+税 発行日:2006年7月)
「おい、けんた。さんぽにでかけようぜ」ベランダでぐるぐるに巻かれている緑のホースが発したこのひと言から、けんたの冒険が始まります。車を勝手に洗って叱られたり、落書きされた壁をきれいにしたり、ケヤキの木に水をかけたり…結果、新しいお友達をみつけることができたけんたの爽快な夏の一日。
<おすすめポイント>
夏といえば、水遊び! やり過ぎて叱られたりしつつも、水と1本のホースだけでどんどん展開する夏の遊びに、わくわくさせられます。ホースや壁がしゃべるという設定が、子どもの心をがっちりつかむことでしょう。読んでいると冷たい水が降りかかってくるように涼しく、暑く照り返すような迫力のある絵のタッチも夏にぴったりです。
5歳におすすめの絵本
『 およぐ』
(作・絵:なかの ひろたか 出版社:福音館書店 本体価格:900円+税 発行日:1981年2月)
犬も猫も、象だってみんな犬かきで泳げます。なぜ? それは体が水に浮くからです。その仕組みを、少し科学的な話を交えて教えてくれます。顔を水につけ、潜り、浮くことを段階的に練習し、泳げるまでの過程を丁寧に解説。そうして浮くことができた男の子、さて次は、泳ぐことができるのでしょうか?
<おすすめポイント>
泳げない子や水が怖い子に。顔を水につけて、体を横にして…順を追って理論的に説明しているので、不思議と自分も泳げるような感覚になります。まずは水への不安を取り除いて、泳ぎたいという気持ちを高めてあげられます。“象だって浮くことができる”という事実に、泳げない子も大いに勇気をもらえることでしょう。
6歳におすすめの絵本
『せみとりめいじん』
(作:かみや しん 監修:奥本 大三郎 出版社:福音館書店 本体価格:900円+税 発行日:2001年6月)
虫取り名人のごんちゃんが、小さいてっちゃんにセミの取り方を教えます。セミ取り用の網の作り方やセミを捕まえるコツなど、虫好きの子どもにはたまらないノウハウがぎっしり。最後にセミの種類やそれぞれの異なる鳴き声もまとめられています。これを読めばあなたも「せみとりめいじん」に!
<おすすめポイント>
子供にとって、セミの声は虫取りというエキサイティングな遊びが始まる合図でもあります。この絵本は、子どもにわかりやすい言葉を使っていても、内容はまさにプロしか知りえない情報が詰まった「セミ取りガイド本」といえます。これを読んで、今年の夏は親子でセミ取り名人を目指してみては。
長い夏休み、どこに行こうかと悩んだら、親子で図書館へ出かけてみてはいかがですか? 子どもに本を選ばせると、親が与えるものとは違うことが多いものです。つまり、それが今子どもが興味があるもの。親がそれについて知識を深める方法を教えてあげることで、子どもの調べる力も付き、親子のコミュニケーションも弾むことでしょう。
お話を聞いたのは…
千代田区立千代田図書館
平日は夜10時まで開館し、街案内も行うコンシェルジュサービスや電子書籍の貸出を行う千代田Web図書館、子ども向けから大人向けまで様々なイベントを開催するなど、画期的なサービスを実施。
住所:千代田区九段南1-2-1千代田区役所9・10F 電話番号:03-5211-4289・4290
月~金 10:00~22:00/土 10:00~19:00 日・祝・12月29日~12月31日 10:00~17:00 ※夏期は9時開館となる期間あり。
休館日:第4日曜日、1月1日~1月3日、特別整理期間
千代田区立千代田図書館
ライター紹介
吉田 飛鳥
子どもを持ってからというもの、これまで生きてきた世界が色んな意味で全く別のものに見える、ライター兼一男一女の母。旅行が大好きな夫婦のもとに産まれてきた子どもたちは、2人とも1歳前から何度も飛行機を経験。子どもと一緒のおでかけ時に感じるリアルな声をお届けします。
※2016年7月にいこーよで公開された記事の再掲です。
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