調べるたびに「考える力」が身につく辞書

注目の新刊
子どもの成長や子育てに役立つ本を厳選して紹介します。

子どもの成長や子育てに役立つ本を厳選して紹介します。今回は「新明解国語辞典 第八版(発行・三省堂)」です。

読解力を育て、日本語が正しく使える「考える辞書」

「新明解国語辞典」は言葉の意味を正確に細かく表現していることが人気の「日本で一番売れている国語辞典」です。じつは国語辞典の解釈は、辞書によって異なっています。新明解国語辞典は「辞書は単に言葉の意味や使い方を知るだけでなく、そこから自分の考えをまとめるための起点になり、発展させていく道具」として編纂された辞書なのです。

この辞書では日常生活における多くの使用例を収集したうえで、語の意味を深く考えた結果としての語釈を掲載しています。語釈を読んで理解し、日本語が正しく使えるようになる「考える辞書」が、新明解国語辞典です。

9年ぶりの全面改訂で言葉の変化をとらえる

新たに発売された第八版では、総収録項目数が7万9,000にも及びます。「エッセンシャル」や「ダイバーシティー」「ほぼほぼ」「沼」といった近年登場した新語も多数収録。もちろん語釈については細かいニュアンスまでも含めて、言葉の本質に迫る解説となっています。また間違えやすい言葉に関しては誤用の指摘も入っていたり、文法や類義語、実際の使い方がわかる「運用」欄が記載されているなど、学習辞典としても使える工夫が施されています。

気になる言葉を引いてみよう!

実際に新明解国語辞典 第八版で「未来へいこーよ」に関わる言葉を引いてみました。

こころ【心】

「心」を引くと「特に人間に顕著な精神作用を統合的にとらえた称。具体的には、対象に触発され、知覚・感情・理性・意志活動・喜怒哀楽・愛憎・嫉妬となって現れ、その働きの有無が、人間と他の動物とを区別するものととらえる。古くは心臓がこれをつかさどるものとされた」とあり、その後に「ペットとの―のふれあい」や「―の琴線に触れる」などの使用例が続きます。

さらに「宗教的感動・美的感興・倫理的高揚など、直接人間の精神構造を高める働きを持つもの」という意味もあり、使用例として「神を畏れぬ―のなせるわざ」などを紹介。さらに「その人が言葉によって表そうとした本来の意味。文の趣旨や『謎』成立の根本的契機など」「経験を積んで、初めて会得する、その芸道の持つ深い意味」という意味も。そこから先は「―あたたまる」や「―がかり」といった使用例が入り、1ページ半近くまで「こころ」関連の言葉で説明されています。

「心」は目には見えないですが「確かにある」もので、人間がそれにさまざまな意味を持たせてきた経緯がわかります。

みらい【未来】

「未来」を引くと「(何が起こるかは全く想像の域を出ない)これから先の時」と出て「豊かな―を切り開く」などの使用例が出るほか、「(仏教で)死んでから行くと言われる世界。来世。後生」として「―永劫」などの言葉が紹介されています。

「未来」という言葉からは仏教は想像しにくいものですが、じつは「未来永劫」の未来は「来世」を示していたというのは意外に感じる人も多いのでは?

こ【子】

「子」をひくと「(夫婦関係にある)一組の男女の間に生まれた人。また、自分たちの間に生まれたのと同じように養い育てる人。(哺乳動物は親と同形の個体として、一般に島・魚・虫の類は卵として生まれる)」のほか「まだ一人前に成長していないもの。(広義では結婚適齢前までを指し、狭義では幼児・乳児を指す)」「元の物から分かれて、新たに生じたもの」と紹介。

また、「踊り子」などの造語で使われる「子」にも言及していて「特定の職務(役割)を負わされて働いている人を表す」と解説しています。さらに「花子」などの「女性としての名前を構成する語」や「振り子」などの「そのような働き(状態)を負わされたものであることを表す」ものとして記されています。

「子」の意味で調べる人は2つ目までの解説で十分納得できると思いますが、確かに「踊り子」や「振り子」や人の名前としても「〇〇子」が使われています。その言葉が使われている場面があわせてわかるのはとても便利です。

「未来へいこーよ」スタッフの注目ポイント

子どもの頃はわからないことがあると親に「辞書で調べなさい」とよく言われたものですが、最近ではわからないことはすぐにネットで調べるようになっていました。久しぶりに新明解国語辞典を手に取ってひいてみると、一つひとつの言葉に編集にかかわる人たちが真正面から向き合って思索を巡らせているのが伝わってきます。

中には表記について貴重な歴史的情報が書かれているのもおもしろいです。例えば「クラブ」は明治期以降「倶楽部」と書かれましたが、『「苦楽部」とも書いた』と新明解国語辞典には記載されています。これは僕の想像ではおそらく「苦楽をともにする」という当て字だと思われますが、漢字の意味を考慮して「苦」という文字を変えたのではないでしょうか。こういうことが推測できると、言葉の世界はもっと広がっていきますよね。

ネットで調べるのも便利ですが、子どもと一緒に辞書を引くことで、単に意味だけではなく言葉の広がりや時代による変化も感じることができ、より深い理解につながります。辞書ですが読み物のように読んでいくのもおすすめの一冊です(KAZ)

新明解国語辞典 第八版
本体3,100円(税抜)
購入はこちら(Amazon)

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5歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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