「登校しぶり」の原因&親の正しい対応は? SOSの気づき方も!

春休みやGW、夏休みなど長期の休み明けには、子どもが学校に行きたがらない「登校しぶり」が増えやすい傾向にあります。

そこで今回は、「不登校新聞」編集長の石井志昂(いしいしこう)さんに、子どもが学校に行きたがらない理由や、SOSの気づき方、親の対応や接し方などについて詳しく聞きました。

休み明けに子どもが学校に行きたくない理由は?

子どもが休み明け、「学校に行きたくない」としぶっている場合には、どのような理由があるのでしょうか。

「登校しぶりは、休日にはなかった不安を感じる環境に戻らなければならないことで、学校に行きたくなくなるものです。小学校低学年の場合ならば、理由は大きく分けて、4つが考えられます。『母子分離不安』『いじめ』『先生との関係性』『集団生活が苦手』というものです」

母子分離不安とは、母親と離れることに不安を感じることです。学校に行くことで母親と引き離されてしまうため、登校したくないという気持ちになります。個人差はありますが、小学校低学年頃に多く見られます。決して愛情が足りないからではないので、親は過度に心配せず、子どもの不安な気持ちを受け止めてあげるのが良いでしょう」

いじめは小学校の低学年から起こることが多く、この時期は体格なども関係しているので、力が強い子どもが有利になる場合があります。また、友達だけでなく、先生との関係がうまくいっていないことで、学校に行きたくないと感じる子どももいます

「集団生活が苦手なケースでは、たくさんの子どもの中に入る学校生活に苦痛を感じます。発達障害を持つ子どもに多い傾向で、とくに聴覚や触覚が敏感な子はなおさらです」

登校しぶりと一概にいっても理由はさまざまあるとのことです。

子どもからのSOSにはどう気づく?

では、学校へ行きたくないと感じている子どもが出すSOSについてはどうでしょうか。

「子どもの気持ちの中では、いろいろな理由が重なって、『行きたくない』と感じていることが多いように思います。そのため、子どもがそれを言語化して伝えることは難しいです」

SOSとしてよく言われるのは、食事ができない、眠れない、登校しようとすると腹痛や頭痛などの体調不良が起きるなど、身体的な異変です

「さらに、今までいろいろな人に話を聞きましたが、多くは『親の勘』で子どものSOSをキャッチしていますこれらは、はっきりと言葉にできるものではなく、『いつもとどこか様子が違う』という違和感のようです

親は自然と子どもの様子を気にかけていて、変化に敏感なため、勘は信じていいとのこと。明確にどこがおかしいのかわからなくても、違和感があれば何らかのSOSが出ているかもしれませんね。

学校に行きたくないと言われたら?

では、実際に子どもが「学校に行きたくない」と言った場合は、どのように対応すれば良いのでしょうか。

「これにはいろいろな意見があると思いますが、可能であれば休ませてあげても良いのではないでしょうか」

学校へ行くことに不安を感じているのであれば、家で楽しいことをしてゆっくりと過ごすなど、子どもに安心感を与えてあげるのが必要だと思います。自分が苦しいときに『親が守ってくれる』『自分には安心できる場所がある』と実感することで、学校に行きやすくなります」

一方で、休ませることが「甘え」や「休み癖」につながることはないのでしょうか。

学校に行きたくないのは、何かつらい思いを抱えているからで、それを受け入れて休ませるのは甘えではありません。親が子どもの不安な気持ちを受け入れ、一緒に楽しく過ごすことで、子どもも落ち着きを取り戻します。まずは、目の前の子どもの状況を考えてあげることが大切です

「子どもの気持ちを受け止めることなく無理に行かせると、親に対する不信感が生まれ、後々の親子関係に影響する場合もあります。とはいえ、親の仕事の都合などで休ませるのが難しいこともあるでしょうから、できる範囲で対応していくのが良いでしょう」

「あるアンケートによると、子どもを持つ親の約50パーセントは『学校に行きたくない』と言われた経験があるそうです。ですが、そこから年間30日以上休むような不登校になることはほとんどありません。休み癖がつくと心配するよりは今を大切にしてあげてください

学校に行きたくないと言われたら、まずはその気持ちに耳を傾け、親が受け止めてあげると良いのですね。

「休みたい」や異変が深刻になったら…

登校しぶりが頻繁になるような場合は、どうすべきでしょうか。

「休みたいと頻繁に訴えるようになったり、身体的な異変が続いたりなど、ただの登校しぶりではないと感じたら、プロに相談するという方法もあります」

小児科の先生や不登校に詳しいスクールカウンセラーのほか、不登校の子どもたちが通うフリースクールという場所もあります。フリースクールの加盟団体には無料で電話相談できる窓口が多くあります。カウンセラーが対応してくれるので、悩んだときは利用してみるのも良いでしょう」

休み明けに学校に行きやすくする工夫は?

長い休み明けに子どもが学校に行きやすくするための工夫などはあるのでしょうか。

休み中はできるだけ楽しく過ごすのがおすすめです。休み中の生活と学校生活のギャップで行きたくなくなるのでは、と考える人もいるかもしれません。ですが、子どもにとって休みは元気をためる大切な時間です

嫌なことがあったときに、親に『嫌だ』と伝えるのはとてもパワーがいることなので、休み中は、子どもが元気に過ごせる環境を整えてあげましょう

ちなみに、親が不安になると、子どもにもその気持ちは伝わるようです。もし休みたいと言われたら、「今日一日は、好きなことをしてゆっくり過ごそう」くらいの気持ちで受け止めてみるのもよさそうです。楽しい新学期を迎えられるよう、笑顔の休日を心がけたいですね。

お話を聞いたのは…
石井 志昂さん
石井志昂(いしい・しこう)/1982年、東京都出身。中学校受験を機に学校生活があわなくなり、教員や校則、いじめなどを理由に中学2年生から不登校。フリースクールを経て19歳からNPO法人全国不登校新聞社が発行する『不登校新聞』のスタッフとなり、2006年から編集長。

ライター紹介
飯田 友美
出版社、編集プロダクション勤務を経て、フリーランスのライターに。好きなものは猫とパンダ、趣味はライブに行くこと、お芝居を観ること。杉並区在住。2児の母。

※2020年3月にいこーよで公開された記事の再掲です。

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