伸びる子どもが共通して持つ「熱中体験」
未来:では、実際にどのようにすれば子どもの好奇心は育めるのでしょう?
「子どもが熱中できることを見つけてあげてください。サッカーでもピアノでも読書でも何でもいいので、なにか一つ、子どもが夢中になれるものを持つことがとても大切です」
「東大生や医学部の学生など、学力が高い多くの人に共通するのが、子どものときにこの『熱中体験』をしていることです。物事の極め方というのは、なんでも同じです。スポーツでも楽器でも、自分でトライアンドエラーを繰り返し、わからなくなったら本を読んで調べたり人に聞いたり…このように試行錯誤しながら一つのことを極めた経験がある人は、ほかのことも極めることができます」
未来:受験など学習面の課題克服にも繋がるということですね。
「子どもがスポーツばかり夢中になっていて全く勉強しないのが心配だと話す親も多いですが、夢中になれるものがあることは素晴らしいことです。一つのことを徹底してやった子どもは物事を極める楽しさを知っているので、いずれ必ず勉強するようになります。やり抜く力や困難を乗り越える力が身についているので、あとからいくらでも学力を伸ばせます」
「ここで大切なのは、本人が楽しんでやること。何事も『楽しんでやる』ということが一番大切なのです」
「勉強ができる人は、スポーツや趣味など、ほかのことでも優秀な功績を残している場合が多いですよね。これは物事の極め方を知っているからという理由以外に、知的好奇心の高さが関係していると思います。ただ単に好きだから、おもしろいから、さまざまなことに熱中できるのです。『好きこそものの上手なれ』という言葉があるように、本人が好きなこと、楽しいと感じることを徹底してやることが一番大切です」
未来:子ども自身が熱中できることを見つけるためには、親はどのような働きかけをすればよいのでしょうか?
「親自身が好きなこと、楽しいと思うことを子どもと一緒にやってみることです。子どもは親の模倣をして育ちます。そのため、親が楽しんでやっていることは、子どもも楽しいと感じやすいのです。まずは親子で一緒に『熱中する』体験をする、そこで子どもが何かにハマることができれば次のことにもハマれるようになります」
未来:これを繰り返していくうちに、子どもが興味や関心を持ったことにハマり、自分自身で世界を広げていけるようになるということですね。
「そうです。反対に、このように物事にハマる体験がない子どもは、何に対してもハマりにくい。だからこそ最初は、親子で一緒に何かに熱中する体験をしてほしいです。ここでも大切なのは、とにかく楽しむということ。親が無理矢理やらせるのではなく、子どもがハマりやすい環境を作ってあげることが大切です」
未来:子どもの知的好奇心を育むには、子どもが夢中になれる体験を見つけて、親子で一緒に楽しむことが有効だと言えそうですね。
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東北大学加齢医学研究所教授、医師、医学博士。脳のMRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。読影や解析をした脳MRIは、これまでにのべ約16万人に上る。10万部を突破するベストセラーとなった「賢い子に育てる究極のコツ」の他、多数の著書を執筆。脳科学の知見と自身の子育て経験を活かして「こんなカンタンなことで 子どもの可能性はグングン伸びる!」「16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える こどもの頭がよくなるルールブック」を出版するなど、メディア出演など幅広く活動中。
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