親の「ちょい足し」で世界が広がる! 子どもの知的好奇心の育み方

「好き」探しの旅は一生続く!

柳沢幸雄 日本の化学者未来:せっかく好きなものを見つけたと思っても、子どもがすぐに飽きてしまうという悩みも多いです。たとえば、子ども自ら「やりたい!」と始めた習い事をすぐにやめてしまうなど…。こういうときはどう対処するのがよいのでしょうか?

「すぐに飽きてしまうというのは仕方ありません。子どもの好奇心の継続は、せいぜい3カ月程度だと言われています。じつはこれは小学生でも大人でもあまり変わりません。習い事だってすぐに変わったっていい。いろんなことをやってみて、夢中になれるものが見つかればいいんです。それを探すためにもさまざまなことにチャレンジしてみることが大切ですから」

未来:中学生、高校生になっても夢中で打ち込めるものや将来やりたいことが見つからないという場合もあると思うのですが、いつまでそれを探せばいいんでしょう?

それは一生ですよ! 自分が本当に好きなもの、やりたいことが見つかるのはいつなのかという質問は、いつ恋人が見つかるのかという質問と全く同じです。いつ運命の人に出会えるのかなんて誰もわからないですよね。明日かもしれないし50歳かもしれない…(笑)。だから中高生になって夢中になれるものが見つかっていなくても心配する必要はありません」

未来:なるほど、恋愛と同じだと思うとすごくわかりやすいです(笑)。反対に、好きなことを見つけてそれに夢中になっている子どもを見ていて、あまりにもそればかりで心配だという親もいますよね。もっといろんなものに興味を広げてほしいと思った場合は、どうすればよいのでしょうか?

子どもの興味のあることに関連するものをちょい足ししてあげればいい。たとえば乗り物が好きな子どもに地図を見せながら場所を教えてあげれば、地図で空間認識ができるようになって地理にも興味が広がるかもしれません。ただ、子どもが何か一つのことに夢中になっているからと言って心配する必要はないと思います」

「終身雇用の時代には、いろんなことが均等にできる人材が求められました。いわゆるジェネラリストです。でもさまざまな仕事がAIに代替される今の時代に、ジェネラリストは求められません。それよりも個性が求められる時代なので、これなら誰にも負けないというものがあった方が圧倒的に強い。前回もお話したようにそういったものがあると、子どもの自信に繋がり自己肯定感も高まります。ですから夢中になれるものがある子どもは、それを十分に伸ばしてあげればいいと思います」

子育ての目標は子どもを「自立」させること

柳沢幸雄 北鎌倉女子学園学園長未来:前回も子どもが小さなうちに手間をかけることで子育てが楽になり将来への投資になるというお話がありましたが、小さな頃に子どもの好奇心や自己肯定感を育んでおけば自ら考えて行動できる子どもになりそうですね。

子育ての最終目標は、子どもを自立させることです。いつまでも親はいませんから、子どもが自分自身で生きていけるようにしなければならない。それなのに親がいつまでも子離れできずに密着していると子どもは自立できません。子どもの自立を促すためにも、思春期以降は子どもと意識的に距離をとり、子離れすることが大切です」

「私は常々、子どもが18歳になったら1人暮らしをさせた方がいいと言っています。日本では大学生になっても実家を出ない子どもが多く、海外の学生に比べて生活力が非常に乏しい印象があります。実家の居心地が良くなかなか家を出たがらない学生が多いのですが、日本の若者の保守化傾向はここに原因があるとも考えられます」

「1人暮らしをすると生活水準は当然下がるので、子離れできない親だけでなく、子どもも二の足を踏んでしまう。とはいえ、今の生活水準は親が作り上げたものであるというのもわかっているので、将来に対して漠然と不安を抱えてしまうのです。だからこそ18歳になったら一人暮らしをして、一度生活水準を下げることをおすすめしています。下宿でも寮でも何でもいいから、親元から離れて暮らすのです。そうすることで、生活の満足度を上げるために努力しようという気持ちが生まれるし、上がったときに自分の成長を肌で感じて自己肯定感を大きく上げることにも繋がるのです

未来:そうですね、私も大学生になったときに一人暮らしをしましたが、実家を出て気づくことは本当に多いですよね。

「子どもを早く自立させる意味としてもう一つ意識してほしいのは、親子が共に『大人』でいられる時間をいかに長くするかということなんです。子どもが小さな頃は親が子どもの世話をする、反対に親が歳をとれば今度は子どもに世話をされるわけですよね。この時間をいかに短くするかをテーマに考えると人生が楽しくなると思います」

未来:と言うと?

「子どもが大人になると、一緒に遊びに行ったり一緒にお酒を飲んだり、我が子と大人の時間を楽しめるわけですよね。自分が育てた子どもとさまざまなことが楽しめるようになる。親にとってこれほど楽しい時間はありませんよ! そのためには親自身も介護される時間が短くなるように、健康寿命を延ばす努力が必要ですし(笑)。今子育てをしている人たちには、ぜひこれを楽しみに頑張ってほしいですね!」

未来:たしかに我が子と大人として楽しめる時間が増えると思うと、子どもが早く自立するようにと願って楽しみながら子育てができそうです!

お話を伺ったのは…柳沢 幸雄先生
東京大学名誉教授、化学者、工学博士。シックハウス症候群・化学物質過敏症研究の第一人者。ハーバード大学大学院の准教授・併任教授を経験したこともあり、教育分野に熱心に取り組む。2011年から開成中学校・高等学校の校長を9年間務め、現在は北鎌倉女子学園の学園長に就任。『「頭のいい子」の親がしている60のこと』『男の子の「自己肯定感」を高める育て方』など、子育てに関する多数の著書がある。

 

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2013年に長女、2015年に長男を出産し、育児に奮闘する日々。家の中にいるのは苦手で、新しい場所やモノが大好きな「THEミーハー」体質。子どもたちにもさまざまな経験をさせるべく、家族のおでかけや遊びの計画をたてるのが日課。趣味は読書、ドライブ、DIY、ヨガ、お酒、シートマスク検証、写真撮影。

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