幼いころから多様な人たちと遊んで学ぶ「インクルーシブ教育」のメリットとあり方とは?

「多様性」や「共生」という言葉がよく使われるようになった昨今、障がいを持つ子ども(障がい児)と健常児が一緒に勉強や遊びの時間を過ごす「インクルーシブ教育」に注目が集まっています。児童発達支援や就労移行支援などを事業として手掛けるデコボコベース株式会社が、インクルーシブ教育を実践している事業者を集め「共生社会の実現に向けて全ての人に知ってほしいインクルーシブ教育」というテーマで特別三者対談企画を実施。子どもだけでなく、大人も知ってほしい「共生社会」のためのインクルーシブ教育の未来を語った対談の模様をレポートします。

「共生社会」の課題を解決する「インクルーシブ教育」とは?

「共生社会」とは、 これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障がい者などが、積極的に参加・貢献していくことができる社会のこと。誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、 人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会ともいえます。文部科学省においても「このような社会を目指すことは積極的に取り組むべき重要な課題」と位置づけていますが、現実では障がいの有無による分断はまだまだあり「障がいのある方に対してどう接していいかわからない」という人が多いのも実情です。

この課題を解決する手段の一つとして「障がいのある者とない者が共に学ぶ」インクルーシブ教育が挙げられています。インクルーシブ教育とは、「障がいのある者とない者が共に学ぶ仕組み」であり、通常級(健常児)と障がい児の子どもたちが直接まじわることで、障がいのある子どものスキルが上がったり、学びや刺激になります。さらに普通の子どもが大人になったときに「あいつは障がいがあるからおかしい」ではなく、「小さいころにこういう子もいたよ」という価値観が当たり前になる社会を実現する可能性を持っています。そして、その可能性は「知る」というところから始まります。

共生社会の実現に向けて最前線で活躍する御三方が登場

今回の対談の参加者は「学校法人 柿の実学園」園長の小島澄人さん、一般社団法人 sukasuka-ippo 代表理事の五本木愛さん、デコボコベース株式会社 取締役副社長 松井清貴さんの3名。対談の冒頭ではそれぞれ簡単に自己紹介をしていただきました。

柿の実学園 小島

小島:私は高校教師を経て現在まで40年余り、幼児保育に携わっています。幼稚園の運営に携わるようになり、すぐに障がい児の受け入れを始め、1500人余りのお子さん達を受け入れました。その頃はインクルーシブという言葉もなかったのですが、統合保育という形で障がい児も健常児も一緒に過ごしていました。今は特別支援という形で100人余りの障がい児たちが900人の子供たちの中で楽しく過ごしています。残りの人生インクルーシブでがんばりたいと思います。

一般社団法人sukasuka-ippo 代表理事 五本木愛

五本木:私は神奈川県横須賀市でsukasukaippoという法人を運営しております。私自身は6人子供がおりまして一番上は28歳、4歳になる孫もおります。一番下の子どもがアンジェルマン症候群という遺伝子疾患で障がいをもって生まれたというところから、彼女を育てていく中で必要なものや困ることなどを同じように障がいを持つ子の母親たちと一緒にどう解決していくかを考えながら事業展開をしています。

デコボコベース株式会社 取締役副社長 松井清貴

松井:デコボコベース株式会社の松井です。よろしくお願いいたします。私は2児の父で、子供は2人とも柿の実幼稚園の卒園生で今は小学生になっています。弊社は発達に凸凹のある障がい児者の自立を支援する施設を全国にフランチャイズで200店舗ほど展開しております。

――それぞれの事業サービスにおいてどういったところがインクルーシブにつながっているのか、ご紹介いただけますか?

五本木:うちは5事業展開しているのですが、インクルーシブを基本的な柱としています。0~6歳の障がいのある子もない子も預けられる一時預かり保育事業、小1~小6まで障がいのある子もない子も一緒に過ごせるインクルーシブ学童、中1から中3までの要支援の勉強に苦手感のある子などの学習支援事業といった「放課後デイではない居場所づくり」を行っています。

提供:sukasuka-ippo

それ以外にも、障がいの有無にかかわらず安心して来られる美容室の運営、就労を諦めてしまいがちな障がいのある子の母親がどうしたら地域で働けるか、といった課題解決からスタートした「よこすかテレワーク」という横須賀の商工会議所と連携した事業も展開しています。その中で、今回のお話でメインになるのは障がいのあるこのない子も一緒に過ごせる場所として作ったインクルーシブ学童になるかと思います。

インクルーシブ学童

提供:sukasuka-ippo

現在お預かりしている30名弱のお子さんのうち約半数の14名が障がいのあるお子さんです。養護学校から来られているお子さんや、知的重度、自閉症、発達障がいなど、いろいろなお子さんがいます。

小島:柿の実幼稚園では「みんな違ってみんないい、同じ空間で同じ空気を吸って楽しくやろうよ」というイメージで子どもたちを受け入れています。(健常者と)何も変わらない空間で一緒に歌ったり遊んだりしています。

かきの実幼稚園

提供:柿の実幼稚園

(五本木さんのお子さんと同じ)アンジェルマン症候群の子もいましたし、あらゆる障がいのお子さんがいて、今でも車椅子の子が十数人、医療的ケア、ダウン症、自閉症などの障がいのお子さんが一緒に楽しくすごしています。受け入れるにあたり(障がいのある子は)各クラスに4~5人、職員が180人。みんなよくお互いを理解し、一人ひとりのケアにしっかり携わってくれています。

かきの実幼稚園

柿の実幼稚園は広大な園庭にたくさんの遊具があり、取材当日もたくさんの子どもたちが、大人の迎えを待ちながら遊んでいた。 提供:柿の実幼稚園

 

(どんな障がい児でも受け入れる態勢をしているので)北海道、仙台、名古屋、いろんなところから引っ越してくる子もいます。関東近辺では鎌倉、中野区大田区新宿、八王子などからも毎朝通っています。ご両親とやってきて、いい笑顔を見せてくれたり、笑顔が出ないお子さんも私の顔をじっと見ようとしてきたり…そういった姿を見ていると受け入れてよかったと思います。

柿の実幼稚園

提供:柿の実幼稚園

障がいのある子もない子もさまざまな活動を幼児期から一緒に過ごすと、さりげなく車椅子を押してくれたりします。卒業してからも園児に声をかけたなど、小学校にあがった保護者からお手紙でお知らせいただくこともあります。

かきの実幼稚園

園庭だけでなく、広大な敷地内に田んぼやブルーベリー畑などもあり、泥んこ遊びなど自然に触れる機会も多い。 提供:柿の実幼稚園

松井:私たちの会社はお二方のように事業内でインクルーシブな取り組みという形ではなく、そこに向かって障がいのある方をサポートしていく、凸凹のある方に対して自立していくための支援をしています。大きくは3つあります。1つ目が未就学0歳から6歳までのハッピーテラスキッズ。2つ目が小学生から高校生までの放課後等デイサービスのハッピーテラス。

デコボコベース

提供:デコボコベース

3つ目は18歳以上の障がいのある方の就職支援で、就職までの支援をしています。就職する年齢から逆算してカリキュラム、プログラムを作ってトレーニングをしていきます。一番大事にしているのはキッズファーストということ。保護者ファーストではないところがありますのでお母さんからのオーダー通りではなくこどもを中心の考えとしています。あくまでも障がいのある方への支援がメインということですね。

幼いころからいろんな人と接する時間はたくさんあったほうがいい

――続いてインクルーシブの観点での事業運営のこだわりについて、五本木さんに伺います。ほかの学童との違いや、運営上のこだわりなど教えていただけますか?

五本木:そもそもなぜ支援の必要な子の母親である私がこういう学童を立ち上げたのか経緯をお話しします。我が子の放課後の居場所を作るため、インクルーシブ学童を立ち上げたんですが、そこで我が子を育てながら「引っかかっていた部分」があるんです。

地域の学校は、支援級在籍でも学校内でも定型発達健常児と障がい児に「区切り」があって、一緒に過ごす場がなかなかなく、学齢期の放課後も障がいのある子は障がいのある子の中だけで過ごすことが多いんです。「(障がいか健常か)どちらかだけではなく、もう少し交われないか」という思いがありました。たくさんの方の支援を受けて生きていく中で、幼い頃からいろんな人と接する時間は本人とってもたくさんあった方がいいと思うし、健常児にも小さい頃から友だちとして周りに障がいのある人の存在を感じてほしい。「デイサービス」ではなく「学童」にこだわったのはそういう経緯がありました

一般社団法人sukasuka-ippo 代表理事 五本木愛

小1から小6まで障がいのある子も混ざっていて、発語のない子もいる中で最初はトラブルが必ずあります。子どもはその中で「自分と違う」というところに拒否反応を示すことがあるんです。親御さんにも、そういうことがあるというのは想定しておいてほしいと話しています。ただ、それで終わりではなくトラブルのある中で半年後一年後に相手の子との関わりがどうなっていくかを楽しみに、気を長く待ってほしいのです。

お互い警戒から始まり、取った取られたやったやられたなどを経験していく中で、指導員に気をつけてもらっているのは「障がいがあるからこうしてあげて、障がいがあるからこうだよ」という説明はしないでほしいということです。学童の中では障がいがあろうとなかろうと同じ環境下で遊ぶのだから、どちらかの視点だけを伝えるのではなく、意志や感情を伝えることが難しい子の手伝いをするときにお互いの気持ちを上手に橋渡しをするのを意識してほしいんです。

そのおかげか少しずつコミュニケーションがうまくいくようになってくると、指導員が入らなくても子ども同士で問題を解決できるようになっていきます。障がいの有無ではなく一緒の時間を過ごすことでお互い育ちあっていける心の部分を大事にしていきたいと考えています。まだ立ち上げて5年ほどの学童ですが、こういう環境で育った子達が将来大人になったとき、自分との違いをわかった上で、障害のあるなしで誰かを排除をするということはないんじゃないかと期待し、願っています

「支援を要する子は必ず受け入れる」が全国に広がるようにしたい

――続いて小島さんにたくさんの子供を受け入れてきた中での反響や、スタッフ等環境面の整備について伺えますか?

小島:まず「支援を要する子が来たら必ず受け入れること」です。入園前に必ず私と面接をし、お母さんの気持ちを聞いて子どもの様子を見てどんなケアをしたらいいかをまず見ています。それまでに30、40の園から入園を断られたあと、柿の実幼稚園にたどり着いたという方が全国から引っ越してきたりするのですが、うちに集まるのではなく日本全国どこででもそういう人達が受け入れられるようになることが本当の願いです。

学校法人 柿の実学園 園長 小島澄人

4~5月は放課後1時間ほどの報告を丁寧に行い情報共有をするチームティーチングの態勢を取っています。保護者とのコミュニケーションも大切で、ハンディキャップを持った子の保護者に限っては面談はいつでもできるようにしています。(受け入れ後の)一番の気掛かりは、柿の実幼稚園卒園後に、障害のある子どもをどこの小学校でも受け入れてもらえるようにしたい、というところです。

(受け入れ先の小学校の)校長先生に電話をして「『車椅子の子が受け入れられない』と聞いたけれど、うちにもエレベーターはないし、小学校にも先生はたくさんいるでしょう? 小学生も大きいでしょう? 助けてほしいときは、この子はいくらでも合図ができるよ」とお話ししたところ、翌日受け入れてくれた、ということもありました。そのお子さんはもう大人になっているんですが、今も元気で暮らしています。

行政を相手にいろんな人と関わりながら医療的な支援の必要な人の就学も支えました。大人の就労もですね。ケアはできているかな、と心配もありながらも楽しくやっているのを見ているとこれでいいのかなと思いながら。現在15の園を経営していますが、どの園もハンディキャップのあるお子さんを受け入れ、バックアップもしっかりあります。

――デコボコベースではあえて障がい者と健常者を分けて扱う部分もあるかと思うのですが、事業運営のこだわりをお聞かせください。

松井:私たちは「凸凹が活きる社会をつくる」ということで、その中で事業所のこだわりというと「自立に向かう」ことです。障害のある子どもも、最初は小さくても大人になったり親が亡くなったあとは自立して生きていく必要があります。そのためにプログラムの成果を数値で可視化して、どの部分が苦手か、どの部分が伸びているのかをわかるようにしています。次に、しっかり長時間の預かりをすることにもこだわっています。支援の中でのこだわりとしては「多数派に寄らない」ことです。社会はこうだから、ということには寄らないように、かといって少数派にも寄らず、学校や幼稚園企業との間に立ちしっかり通訳することがインクルーシブにつながっていくと考え、大切にしています

障がい児を持つ親が「申し訳ない」という気持ちが弊害になってしまう

――ここからはインクルーシブな社会を実現するにあたり今の課題や、障がいに対する知識もない人もいらっしゃる中で知っておいてほしいことなどお伺いできたらと思います。

五本木:自身が子育てをしていく中で感じるのは、障がい児の母あるあるで、私自身もそうなんですが「すみません、迷惑をかけて」という気持ちが強くなってしまうことです。でもそれが弊害にもなるんだろうなと。本当は、受け入れられることが当たり前なのに「申し訳ない」となってしまう。いろんなところで断られてそういう心持ちになれないこともすごくわかるんですが。親自身も自分の中に勇気が必要だと、自分も含めて思っています

松井:大多数の健常者と少数派の障がいのある方で、互いに分かち合わねばならないですよね、少数派だけで何かを変えるのは難しい。インクルーシブは、メリットデメリットではなく必須ですよね。ちゃんと理解して経緯を示すことで、障がいのある子のお母さんたちがそんな風に感じなくていい世の中を、それを当たり前だと思えるようにしていくことが必須だと思っています。

デコボコベース株式会社 取締役副社長 松井清貴

五本木:家族だからこそ、我が子のことをたくさんの人に知ってもらうことを、自分自身もしなくちゃいけないと思います。我が子の障がいを受け入れるところも大きな山でそこを乗り越えられない人もいたり、けろりと受け入れる人もいる。さらにその次のステップで他の人の意見を受け入れられないということもある。本当は理解をしようとしてくれているのに、自分の中に壁を作って「自分の辛さなんてわからないよね」としてしまうところを取り払わないと、いくら周りが理解を示そうとしても、それを受け入れなければ進まないのではないかと思います。

小島:本来であればなんでもしてあげるのがケアではなくその子が苦手なものを一つひとつクリアする手助けをするのが幼稚園の先生の役目です。「大人になって自活できるように」と小さい頃になんでもしてあげすぎたことが、自活の道を妨げることもあるのではと思うことがあります。大人になって両親から離れて周りの人がサポートし生活できる社会ができていればいいなと思います。まだまだ家族の育て方が悪いとか、特に祖父母世代、身内から批判を受けるお母さんがいることも辛い。

松井:最近減ったかもしれませんが15年ほど前、発達障がいという考え方が日本に入ってきた頃は、育て方が悪いと。親世代はインターネットで調べられますが、おじいちゃんおばあちゃんにとっては発達障がいの概念が当時はまだなかったですから。

小島:お母さんが1人が抱え込んでいるケースもあり、児童発達支援を立ち上げて我が子を入れ仲間を集めてやっている方もいます。そういう人のサポートができればなと思って児童発達支援をひとつ作りましたが…いや、大変ですね(笑)

松井:(児童発達支援は)インクルーシブでの支援とも、また違った難しさもありますね。

小島:自分の身近な問題としてそういう施設が必要だと思い立ち上げ展開しましたが…複雑ですね。子どもが育っていくなかで親は老いていく。「大丈夫かな」という心配は常に付きまといます。お母さんが我が子を守れなくて亡くなるケースもあります。周りが互いに「あなたと共に在るよ」という思いだけは持っていてほしいですね。

「ただ生きること」と「豊かに生きる」ことは別

五本木:極端な例ではあるんですが、医療的ケアのあるお子さんのお母さんで「我が子が亡くなった次の日に自分が死にたい」と言う人がいたりするんです。私自身も、事業を展開していく根本に「自分が死んだあと、今の世の中で我が子が生きていくことを考えたら不安しかなかった」んです。既存の福祉制度を使い色んな人の支援やサポートを受けて我が子なりの自立をしていくのだろうけれど、でも自分が納得して「大丈夫」とは思えなかった。事業を作り、働ける場所や暮らせる場所まで作ったとしても、きっとそのときにも不安なのでしょうけれど。

提供:sukasuka-ippo

でも諦めてしまうのではなく、彼女なりの自立につながることでやれることは少しでもしたい。「我が子のために」と始めた今ある事業すべて他のお子さんやご家族の笑顔が見られることにためになっていくことはうれしくも思うし、我が子のおかげだと思っています。

松井:ただの自立、社会福祉を使ってただ生きることと、「豊かに生きる」のとはまた別ですよね。そこまでが見えてくれば。

五本木:あと、うちにもきょうだいがいますが、きょうだいに見てもらえばいいとは思えないです。きょうだいたちにはそれぞれの人生があって、選びたい道を選んで行けるように、末の娘に障がいがあるということが兄弟の足かせになるようなことは絶対にしたくない。社会が変わる、というところでがんばる必要があると思いました。

障がいを持つ子のことをいろいろな人が好きになってほしい

――最後に「社会が変わる」という観点で、現時点でインクルーシブ教育を知らないような人も、みんなが何からはじめればいいと思いますか?

小島:柿の実幼稚園では、子どもを預けている間に好きなサークル活動ができます。お母さん同士のつながりが深くなり「まさか自分が(子育てから一時)解放されて仲間ができて、好きなバレーボールができるなんて」と言ってくれたお母さんもいました。まったく動けない我が子を抱えて(自分の時間がなかなか取れない中で)、でも子供が幼稚園のときにお母さん自身がこういう経験ができたことで、強くなるわけです。お母さんが「自分自身の時間を楽しんで(子育ての活力を得て)強くなる」。そういう雰囲気ができればいいなと思います。

松井:ダイバーシティ、多様性ということが言われてますが、それだけでなく他者の目線に立つ「視点を変えて考えられること」が大切だと思います。健常の親も子どもたちも、障がいのある子たちがうまくできないことを(想像して)その景色に立つということをみんなが考えられたらいいですね。多様性を認め合う他者の視点に立つことを求めていきたいと思います。

五本木:例えば障がいのことがわからない人が、理解をしようとするには、専門的な知識が必要でハードルが高いです。私は、知識や対応は二の次三の次で「どんな子? どんなことが好きなの?」と、障がいを持つ子のことを好きになってほしいです。「あの子かわいいね、好きだよ」という一言で、育てている大人はどれだけ救われるか…。お母さんの心が開き、壁がなくなり、心が軽くなると思うんです。まず好きになってくれたら、その次のことが発展していくんじゃないかと思っています。

対談を取材して感じたのは、インクルーシブ教育は健常者と障がい者が一緒に遊び、学ぶことで互いを「知ること」と、他人の目線に立って考える貴重な機会になっているということ。健常児には「ふーん、こんな子がいるんだ」とわかってもらい、障がい児は健常児とどう過ごせばいいのかを体験できるのはとてもよい環境だと思います。障がいのあるなしに関わらず、世の中にはいろんなタイプの人がいて、大人になってからも初めて会うタイプや、性格的に合わないタイプの人もたくさんいます。そんな人を拒絶せずにどうつきあって(共存して)いくかは、世の中を上手に生きていくスキルのひとつといえます。さらに知的障がいがある自閉症の子の親としては「自分の子どもをいろいろな人に知ってもらい、好きになってもらう」ことが最も「生きるチカラ」につながっているのだと感じました。今年小学校一年の息子は、おかげさまでいろんな人にふれあう機会があり、多くの人から愛されて育っています。そのことに感謝しつつ、僕自身もいろいろな人に「どんな子? どういうことが好きなの?」と興味を持って聞いていこうと思っています。そういう人が増えていくことが、おそらく多様な人が生きやすい共生社会につながっているのではないでしょうか(KAZ)

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6歳の息子と2歳下の妻と暮らすパパで、息子が成長していくにつれて「育児が最高におもしろい!」と気づいて、某ゲーム雑誌編集部からアクトインディに入社。発達がゆっくりな息子と向き合いながら、毎日笑いの絶えない生活を送る。子育て以外ではゲームとお酒が好き。息子の影響で鉄道にも詳しくなった。

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